温羅(うら)
 
岡山に残る桃太郎伝説のモチーフ。
「うらじゃ」の「うら」は鬼の事。
 

吉備地方で百済の王子と自称した鬼。
あまりに悪さをするから吉備の人に都に訴えられ、崇神天皇が孝霊天皇の子供の四道将軍(よつのみちのいくさのきみ)の一人、吉備津彦命が派遣された。

吉備津彦命が温羅に矢を一本ずつ射るも、その矢は尽く岩に飲み込まれてしまった。
そこで今度は二本の矢を一度に射た所、その矢は温羅の左目を射抜いた。

射られた温羅は雉に化けて逃げたが吉備津彦命はそれを鷹に化けて追った。
次に温羅は鯉に化けて更に逃げ、吉備津彦命は鵜と成りそれを捕らえ討った。

この伝説から矢喰神社、温羅の眼の血が流れた血吸川、鯉喰神社が存在する。

因みに、刎ねられた首は死んで尚唸り声を上げ、犬に食べさせ骸骨にしても唸り、御窯殿の下に埋葬しても唸り続けた。
それに困った吉備津彦命はある日温羅が夢に出てきて、温羅の妻である阿曽媛に神饌を炊かしめれば温羅自身がお前の使いとなって吉凶を告げようと言った。

この事から鳴釜神事が始まった。
 
また、温羅は吉備を治めた技術者で豪族ではないかともされる。

吉備は鉄の産地で「真金吹く吉備」と呼ばれました。
岡山県には哲多町(鉄多からしかも今は合併して新見市だけどする前は阿哲郡)、刀鍛冶、などの鉄に関係する地名が多数あります。
血吸川の赤さは鉄分によるもの。

実際に、温羅が拠点としたと言われる鬼ノ城の東麓には日本最古級の製鉄遺跡があります。