話題:突発的文章・物語・詩

 嘘だろ?
 こんなこと、ある訳ない。

 どうして君は、血に塗れているの?
 どうして君は、動かないの?
 どうして君は……、何も言ってくれないの?

 僕を置いていくの?
 いつも一緒だって言ったのは君じゃないか。
 約束は破っちゃいけないんだろ?
 なのに、どうして君は、僕との約束を破ったの?
 一人じゃないって、もう一人ぼっちじゃないって、言ってくれたのは嘘だったの?

 お願い。
 お願いだよ。
 何か言ってよ。
 何か言えよ。
 いつもみたいにさ、笑って、笑って……。








 結局、君も所詮ただの人間だったんだね。
 嘘つきで、自分勝手で。
 良いよ。
 もう、良いよ。
 勝手にしろよ。
 僕も、勝手にする。

 君が裏切るから、悪いんだ。

 君をこんなにしたあいつらを、皆殺しにしてやる。
 そして、全部、全部、ぶち壊してやる。
 泣けばいい。
 叫べばいい。
 絶望すればいい。

 僕に縋った愚かな人間共に、望むものをくれてやる。
 大切な人を失う悪夢を、くれてやる。

 だって僕は救世主だから。


***


 文字は古く掠れて読みづらいが、かろうじて『SHATEIEL』という言葉が読み取れた。それが何を差すのか我々にはわからない。
 この手記を書いたものの名前だろうか? 他のページは血と何かよくわらない汚れで解読が出来ない。
 ただ、最後のページに『最愛の人へ』という真新しい文字が現代語で書かれていた。謎は深まるばかりである。