TOX/ジュード中心/キャラ&口調崩壊気味/何があっても許せる
2020-10-18 17:31
愛に餓えた子供3
二人が宿屋に戻ると、ちょうど夕食の時間だったのか、食堂に皆集まっていた。端の席にエリーゼ、ローエン、レイアが揃って座っていた。
アルヴィンとミラを見付けたレイアが「こっちこっちー!」と元気良く手を振る。相当疲労していた彼女だったが、どうやら少し休んだお陰で元気を取り戻したようだ。
三人の元に歩み寄ったアルヴィンとミラは、直ぐにジュードの姿を探した。しかし、何処を見ても彼の姿は見当たらなかった。
「ジュードは?居ないのか?」
「ジュードはまだ帰ってきてないみたい」
「此方に来る前に部屋の方を訪ねたのですが、まだ帰っていないようでした」
ミラの問い掛けにレイアとローエンが答える。
二人の答えを聞いたアルヴィンとミラは表情を曇らせた。嫌な予感が、的中してしまった。
アルヴィンとミラの表情が変わったことに気付いたエリーゼが小首を傾げる。
「……どうか、したんですか?」
「ジュードが拐われたかもしれない」
ミラの言葉を聞いた三人が息を呑む。
一体どう言うことだ、と困惑する三人にアルヴィンとミラはこの港町では行方不明者が多発していること、ついでに真偽も分からない吸血鬼の噂も話した。
二人の話を聞きながら険しい表情で顎の髭を触っていたローエンが徐に口を開く。
「……お二人は何故ジュードさんが拐われたかもしれないと思われたのですか?」
「これだ」
ミラが胸元からあるものを取り出す。
皆の前に出されたあるもの───ミラがジュードにプレゼントしたペンダントがシャラリと音を立てて揺れる。
ミラから貰ったそれをジュードは凄く大事にしていた。無くさないよう大切に胸元に秘めていたことを皆が知っている。それなのに何故彼のペンダントがミラの手元にあるのか。
それは二人の話が本当であるかもしれないと言う証拠でもあった。
「道端にこれが落ちていた。これは間違いなく、私がジュードに送った物だ」
「ジュードがミラから貰ったペンダントを落とすわけがない」
「で、でももしかしたら知らないうちにペンダント落としちゃって、ジュードの帰りが遅いのもそのペンダントを探してるせいなのかも……」
「ペンダントと一緒に道具屋の紙袋も落ちてたんだぜ?流石に道具屋の紙袋は落とさないだろう?」
レイアの言葉を否定するかのようにアルヴィンが腕に抱えていた道具屋の紙袋を見せ付ける。
僅かな希望も即座に打ち砕かれてレイアは黙り込んでしまう。
「大変だー!ジュードが拐われたなら急いで探しに行かないとっー!!」
「ティポ!そ、そうですね!皆でジュードを探しに行きましょう!」
「駄目だ」
「ど、どうして駄目なんですか?ミラはジュードが心配じゃないんですか?」
心配に決まっている。
ジュードが拐われたかもしれないとわかってからミラの心は不安で大きく揺れていた。
表面上は落ち着いているように見えるだろうが、本当は今すぐにでも此処から飛び出して探しに行きたくて仕方がなかった。でも、ミラはそれをしなかった。出来なかったのだ。もし、今ミラが飛び出して行ったら仲間たちも一緒に着いて行くだろう。
アルヴィンとローエンなら心配いらないだろう。しかし、まだ子供であるレイアとエリーゼを外に出すわけにはいかない。吸血鬼の狙いはレイアやエリーゼのような子供ばかりだ。これ以上、行方不明者を増やすわけにはいかない。
「私もジュードを探しに行きたいです……!」
「もし吸血鬼が現れても私の棍でボコボコにしてやるんだから!だからお願い!ジュードを探しに行かせて!」
「駄目だ。お前たちもジュードの実力を知っているだろう?」
今のジュードはあのガイアスと互角に戦える程の実力を持っている。そんな彼が敵わなかった相手だとすれば、レイアとエリーゼではとてもじゃないが太刀打ち出来ないだろう。
「二人は此処でローエンと一緒に待っててくれ」
「で、でも……」
「もしかしたら全部俺たちの勘違いで、アイツがひょっこり帰ってくるかもしれないだろ?入れ違いになったら大変だし、レイアとエリーゼは此処でジュードを待っててくれ」
「アルヴィン……わかった」
漸く二人は納得したのか渋々だが頷いてくれた。
ミラは暗い表情で俯くレイアとエリーゼの頭を撫でながらローエンに目を向ける。
「と言うわけで、すまないが二人を頼む」
「わかりました。お二人も気を付けて」
「ああ。行くぞ、アルヴィン」
「はいよ」
腕に抱えていた道具屋の紙袋を三人に預けてアルヴィンはミラの後を追う。
気付けば外は暗くなっていた。が、ミラは構わずに町の中を歩く。
目指すは、町外れの森の奥───吸血鬼が住まう洋館へ。
◆ ◆ ◆
暗い部屋の中でポツリと浮かぶ蝋燭の火。
コツリ、と靴音が響く。同時に小さな灯りが揺らめく。
「気分はどうかしら?」
「…………」
闇に溶け込んだ存在が問い掛ける。
一人用の大きな椅子に座って眠っていた少年が蝋燭の火に照らされて目を覚ます。
「とても良いよ、母さん───」
闇に溶け込んだ存在を見上げる琥珀色の瞳。
少年は小さく笑って再び瞼を閉ざした。そして、深い、深い、眠りへと落ちていく。
アルヴィンとミラを見付けたレイアが「こっちこっちー!」と元気良く手を振る。相当疲労していた彼女だったが、どうやら少し休んだお陰で元気を取り戻したようだ。
三人の元に歩み寄ったアルヴィンとミラは、直ぐにジュードの姿を探した。しかし、何処を見ても彼の姿は見当たらなかった。
「ジュードは?居ないのか?」
「ジュードはまだ帰ってきてないみたい」
「此方に来る前に部屋の方を訪ねたのですが、まだ帰っていないようでした」
ミラの問い掛けにレイアとローエンが答える。
二人の答えを聞いたアルヴィンとミラは表情を曇らせた。嫌な予感が、的中してしまった。
アルヴィンとミラの表情が変わったことに気付いたエリーゼが小首を傾げる。
「……どうか、したんですか?」
「ジュードが拐われたかもしれない」
ミラの言葉を聞いた三人が息を呑む。
一体どう言うことだ、と困惑する三人にアルヴィンとミラはこの港町では行方不明者が多発していること、ついでに真偽も分からない吸血鬼の噂も話した。
二人の話を聞きながら険しい表情で顎の髭を触っていたローエンが徐に口を開く。
「……お二人は何故ジュードさんが拐われたかもしれないと思われたのですか?」
「これだ」
ミラが胸元からあるものを取り出す。
皆の前に出されたあるもの───ミラがジュードにプレゼントしたペンダントがシャラリと音を立てて揺れる。
ミラから貰ったそれをジュードは凄く大事にしていた。無くさないよう大切に胸元に秘めていたことを皆が知っている。それなのに何故彼のペンダントがミラの手元にあるのか。
それは二人の話が本当であるかもしれないと言う証拠でもあった。
「道端にこれが落ちていた。これは間違いなく、私がジュードに送った物だ」
「ジュードがミラから貰ったペンダントを落とすわけがない」
「で、でももしかしたら知らないうちにペンダント落としちゃって、ジュードの帰りが遅いのもそのペンダントを探してるせいなのかも……」
「ペンダントと一緒に道具屋の紙袋も落ちてたんだぜ?流石に道具屋の紙袋は落とさないだろう?」
レイアの言葉を否定するかのようにアルヴィンが腕に抱えていた道具屋の紙袋を見せ付ける。
僅かな希望も即座に打ち砕かれてレイアは黙り込んでしまう。
「大変だー!ジュードが拐われたなら急いで探しに行かないとっー!!」
「ティポ!そ、そうですね!皆でジュードを探しに行きましょう!」
「駄目だ」
「ど、どうして駄目なんですか?ミラはジュードが心配じゃないんですか?」
心配に決まっている。
ジュードが拐われたかもしれないとわかってからミラの心は不安で大きく揺れていた。
表面上は落ち着いているように見えるだろうが、本当は今すぐにでも此処から飛び出して探しに行きたくて仕方がなかった。でも、ミラはそれをしなかった。出来なかったのだ。もし、今ミラが飛び出して行ったら仲間たちも一緒に着いて行くだろう。
アルヴィンとローエンなら心配いらないだろう。しかし、まだ子供であるレイアとエリーゼを外に出すわけにはいかない。吸血鬼の狙いはレイアやエリーゼのような子供ばかりだ。これ以上、行方不明者を増やすわけにはいかない。
「私もジュードを探しに行きたいです……!」
「もし吸血鬼が現れても私の棍でボコボコにしてやるんだから!だからお願い!ジュードを探しに行かせて!」
「駄目だ。お前たちもジュードの実力を知っているだろう?」
今のジュードはあのガイアスと互角に戦える程の実力を持っている。そんな彼が敵わなかった相手だとすれば、レイアとエリーゼではとてもじゃないが太刀打ち出来ないだろう。
「二人は此処でローエンと一緒に待っててくれ」
「で、でも……」
「もしかしたら全部俺たちの勘違いで、アイツがひょっこり帰ってくるかもしれないだろ?入れ違いになったら大変だし、レイアとエリーゼは此処でジュードを待っててくれ」
「アルヴィン……わかった」
漸く二人は納得したのか渋々だが頷いてくれた。
ミラは暗い表情で俯くレイアとエリーゼの頭を撫でながらローエンに目を向ける。
「と言うわけで、すまないが二人を頼む」
「わかりました。お二人も気を付けて」
「ああ。行くぞ、アルヴィン」
「はいよ」
腕に抱えていた道具屋の紙袋を三人に預けてアルヴィンはミラの後を追う。
気付けば外は暗くなっていた。が、ミラは構わずに町の中を歩く。
目指すは、町外れの森の奥───吸血鬼が住まう洋館へ。
◆ ◆ ◆
暗い部屋の中でポツリと浮かぶ蝋燭の火。
コツリ、と靴音が響く。同時に小さな灯りが揺らめく。
「気分はどうかしら?」
「…………」
闇に溶け込んだ存在が問い掛ける。
一人用の大きな椅子に座って眠っていた少年が蝋燭の火に照らされて目を覚ます。
「とても良いよ、母さん───」
闇に溶け込んだ存在を見上げる琥珀色の瞳。
少年は小さく笑って再び瞼を閉ざした。そして、深い、深い、眠りへと落ちていく。
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