髪を切りました。さむい。

以前は狂ったようにショートにし続けていた。それは男の子っぽい姿でいたかったからだと思い込んでいた。
でも、ああこれ違うって10年目にして気がついた。

わたしが16の春に、大事な女の子が15で死んだ。
絵が上手くて、よく笑って、優しくて、友達も多くて、あまりにも強がりで泣くのが下手で。
彼女のこときらいな人なんてどこにもいなかったんじゃないかというくらいの自慢の幼なじみ。
ショートヘアのよく似合うかわいい女の子。

忘れたくなくて、薄れていく記憶に慄いて、彼女のシルエットをずっと模倣していた。
そんな憧憬と悲しみと恐れの入り交じった執着が、呪いのようにわたしに髪を切らせ続けていたんだと
気がついてからは髪を伸ばすことが平気になった。

でもまあ、やっぱり落ち着く。
おそらくちょっとした自傷行為のようなところはあるんだ、髪を切るということには。
髪を切るくらいで済む程度のこじらせ具合にしておかなくてはなあ。