゛入居者募集!゛

歩はまだ浮かない顔をしている。強引にOKさせたのは良いけど、やっぱりどこか納得していないみたい。
「ねぇ、やっぱり怒ってる?」
分かりきってた事を聞いてみる。
「何が?」
ご立腹で目も合わせない。
「だから、この、、入居者募集の事。」
「別に。」
ほんと素っ気ない。
歩は本当に嫌な時は最後まで認めない。でも今回の事は、嫌がってるみたいだけど最終的に折れてくれた。なのにこの仏頂面。
歩はたまに何を考えてるのか分からない時がある。今がまさにその時だ。普段言いたい事は遠慮なく言ってくるのに、たまに何かを飲み込むときがある。
「あんたこそ後悔してんじゃないでしょうね?」
「全然!!」
私は意地の悪い顔をしてきっぱり言い放った。
「あっそ。」
素っ気ない返事にも気にせず私は続けた。
「それにさ、二人じゃ広すぎるし、掃除も大変だし、賑やかになるよー♪」
「・・・・・まぁね。」
歩の顔がどこか吹っ切れているように見えた。
歩だって何だかんだで寂しいのかもしれない。
「早く入居者来ると良いね!」
と押しの一手。
「そうだね。」
歩は少し笑った。
どんな人が来るんだろう、、、。ワクワクが止まらなかった。