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そんじゃ、画像付き記事の更新をしますぜィ♪


今日は、4コマ漫画を載せてみます。

ちょっと見づらいかもしれませんが、
とりあえず、原画はこんな感じです。





文字まで見やすくするために、
以下に3分割して載せますので、

お見苦しいとは思いますが、
なにとぞ、温かい目でご覧下さい。。

感想など頂けると嬉しいかもです。









本編の内容を描くのに疲れて、
お遊びに走っている状況です。

いったい本編の方は、
いつになれば完成するのやら…笑

おススメの漫画です。




とにかく美麗なイラストに目を奪われること間違いなし!!

俺も色んな人の作品を見ているつもりですが、
この方の絵は本当に綺麗なんですよ!


パッケージ買いって分かります??
内容はよく分からないけれど、
なんとなく見た目がいいから買っちゃうってやつ。

俺が『Pandora Hearts』を最初に手に取った理由は、
まさに、それです。

そして、ストーリーの深さや、登場人物の個性など、
その全てがファンタジー特有の世界観を演出している。

初めて読んだ時は、かなりショックを受けました。
(あ、これ、すごく深い…)
って、感じました。


買って絶対に損はしない。そう断言できます。

むしろ、普段はあまりファンタジーを読まない人にこそ、
この圧倒的な世界観を味わっていただきたい。


パンドラハーツの魅力は、ずばり、
個性的なキャラクターなのだと思います。

なんというか、人の影というか、
誰もが持つ闇の部分の描写が凄く魅力的です。

たぶん、内容的にはかなりドロドロしているんですが、
それを和らげるような、温かいキャラ達の笑顔。

涙のシーンでは、
思わず感情移入しちゃいそうなぐらいです。

ちなみに俺は
ザークシーズ=ブレイクが好きです。



さて、
今回の12巻ですが、前の間に比べると、
血みどろな感じは薄いですね。

つかの間の休息ってトコロでしょうか。
笑顔が印象的なシーンが多いです。

しかし一方で、
少しずつ物語の真髄に迫っている気もします。


パンドラハーツには、
異空間や時空間の話も絡みます。

『過去』とか『記憶』とか『罪』なんてのが、
物語の大きなテーマかもしれません。

過去と現在が複雑に絡み合って、
家系、身分、組織、個人…
たくさんの思惑同士がぶつかり合う。

やっぱり、この作品は、深いんです。


早くも続きが気になってしまう。
そんな12巻でした。

そして、表紙裏のおまけの面白さも、
この漫画の魅力の1つですね。

ナスです


ラフです。

長門ナスです。

かわゆす〜(//∀//)

自作小説 part2 (試験版)


     2


 内樹大河という少年は、自他ともに認める、重度のヘタレ野郎であった。

 今回の告白にしろ、実は666回目の挑戦であったのだが、今この瞬間、見事に666連敗をマークしたのだった。自分はとことんダメなやつだ。想いの一つも告げられない、腐れヘタレ野郎だ…と、また一人でしょげ込む。
(もういっそ…いっぺん死んだほうがいいのかな……)

 少年は、やり場のない悔しさと情けなさに押しつぶされそうだった。そして、いつものように逃げ出す。
「…ふ、ふふふ……。うわぁあぁん!」

「え…ちょっと、あれ!?内樹くん!?」
 戸惑う彼女を尻目に、ヘタレ少年は全速力でその場から立ち去る。

(わたしも曇りの日が好きだよって言おうと思ってたんだけどな…)

 情けない声をあげて走り去っていく少年と、それをただただ呆然と眺める少女。第三者から見れば、相当にシュールな絵面だったであろう。
 そして、そんな彼らの一連の様子をニヤニヤと窺う影が一つ。

 身長は155cm程度で、スレンダーな体型をした女子である。
 服装は黒を基調としているようで、肩が見えるシンプルなデザインのシャツ(小さめな作りである為、体のラインがやけに強調されている)に、薄手のマフラーのような布を首に巻きつけている。下はというと、やたらとプリーツの多い淡い紫色のヒラヒラスカート(こちらも丈の長さが際どく、露出度がかなり高い)と黒いブーツ。そして、ももとふくらはぎの辺りには、黒いベルトのような物が無造作に結び付けられている。

 一方、その顔立ちは整っており、少し青みがかった黒い瞳。唇には薄いピンクのチークが施されており、柔らかさを演出しているようだった。綺麗な黒髪は後頭部で束ねられており、いわゆるポニーテールなのだろうが、その長さは髪を結んでいるにも関わらず、腰の位置まで達しているから驚きである。

 まぁ、一言で言うならば、「かなりの美少女」である事は間違いない。

 しかし疑問なのは、そんな目立った容姿であるはずの彼女を、道行く人たちが全く気にも留めていない、という事である。少し下心のある男性なら、少なからず目線を奪われるはずである。
 …にも関わらず、彼女の存在はまるでそこに誰もいないかのように£Nからも認識されないのである。

 そんな彼女は、ついさっき告白に失敗し放心状態の少年の様子を見て、なぜか満足気な表情を浮かべている。もちろん、誰にもその様子を不審がられる事は無い。

 内樹(うちき)大河(たいが)は今にも転びそうな感じで、ふらふら〜っと漂うように帰り道を歩いていた。それはまさに魂の抜けた「抜け殻」と言うにふさわしく、なんとなく危うさを感じる。
 そんな時だった。

「666回目の失敗おめでとう、少年♪」

 どこかから人を小馬鹿にするような声が聞こえた。声質からして若い女性のようではあるが、問題なのは、その声の主が、本来、大河自身にしか知り得ない情報を知っていた事である。そんな恥ずかしい情報を握っている人間を、大河はいち早く見つけ出し、口止めしなければならないのだが、その歩みはぱったりと止まっている。

 理由は簡単である。その声がどこから聞こえてきたのか、大河には皆目、見当がつかなかったからだ。
 いや、正確には、どこかから聞こえてきた声…というよりも、まるで頭の中に直接流れ込んでくるような奇妙な感覚だった為、どの方角にその声の主がいるかなんて、探しようが無かったのだ。

 空はどんよりとした雲に覆われ、辺りは不気味な空気に包まれていた。今にも雨が降り出しそうな天気であるせいか、周りには人らしき人の気配はない。ただ一人、不思議なくらい目立った容姿である女を除いて…。

     3

「き、君がさっきの声の主?」
 ふいに現れたその女に、大河は恐る恐る尋ねる。

「そうよ。」

 たった一言の会話のはずなのに、それは大河に重くのしかかってくるようだった。上手く表現できないが、言いようのないプレッシャーのようなモノを彼女は纏(まと)っているのだ。

「どうしてきみは、あの事≠知ってるんだ?」

 大河の声は小刻みに震えていた。相手は自分の全く知らない人間。それなのに向こうは自分しか知り得ないはずの情報を掴んでいる。
(まさか…ストーカー!?)

 大河の頭の中はぐるぐる回っていた。

「あたしは…」
 全身黒の女はゆっくりと話し始める。

「あたしは…あんたの事なら何でも知ってるよ。」
「!?」

 一瞬、何を言ってるんだこの女は。などと思ったが、そんな考えも次に彼女が言い放った言葉によって、あっというまに消し飛ばされる。

「内樹大河。七月二七日生まれ。年齢は一四歳。血液型は確か…A型だっけ?」
 すらすらと出てくる言葉の全てが正しい情報である。女の言葉は続く。
「小学校に入学後、五年生の時に柊愛嘉(ひいらぎ あいか)という女子に出会い、テストの時に消しゴムを貸す。それを切掛けに彼女を意識し始め、次第に恋愛感情へと発展する。しかし、自他ともに認めるヘタレな性格が災いし、結局、告白できないまま小学校卒業。中学になってからも想いは募り、何度も告白に挑むも、665回連続で撃沈。その内、356回は話し掛ける前に断念。281回は原因不明の腹痛で断念。残り28回は今日の結果のように、告白寸前で話題を逸らして逃亡。」

 不気味なぐらい全部正解している。というか、自分でさえもそこまでカウントしてないのだが…と、大河は変な悪寒を覚える。

「そして、あんたは…」

 そこで彼女はグイッと、一気に大河の目の前まで距離を詰めた。そして言い放つ。
「ついに今日、記念すべき666回目の告白失敗を迎えたのだ!」

「うぐっ……」
 大河はうなだれた。ついさっき受けた深い傷を思いっきりえぐられた気分だ。

 ぽつり、ぽつり、と雨が落ちてくる。そして雨脚はだんだんと強くなっていく。まるで大河の心の中を映しているように。


「い、一体なんなんだよ、あんた…。何でそんなことまで知ってるんだよ…」
 大河はもはや、雨なのか涙なのか分からない、ぐしゃぐしゃな顔で話す。

「何でって…そりゃ、あたしは悪魔だからねぇ。それぐらい知ってて当然じゃん?」

「…………アクマ?」

 大河の思考は完全に停止している。もちろん、告白の失敗回数が他人に筒抜けだったという事実を知ったせいもあるのだが、そんな事よりも、たった今聞いた「アクマ」という単語の意味を処理しきれなかったからである。

「あ、あの…、アクマっていうのは、あの悪魔?」
「その質問の意味も意図もよく分からないけど、おそらく今、あんたの頭の中で思い描いているであろう黒い尻尾や翼の生えた、いわゆる…デビルマンみたいなモノとあたしは、同族。」

 大河は、ひょうひょうと答える彼女に度肝を抜かれていた。
(悪魔!?悪魔ってあの…空想上の生き物みたいなアレでしょ?何だよそれ?俺はこれから地獄にでも連れて行かれるって事なの!?)

 こほん…と彼女は咳払いをする。

「んー、あんたが考えそうな事は大体分かる。安心しなさい。いきなり地獄に突き落とすような下賤な奴らとあたしらは違う。とはいえ、あたしも暇じゃないからね。ただ何となくからかいに来たってわけじゃないぞ?」

 もしもそうだったとしたら、それこそ悪魔みたいな奴だ、とか考えたが、そこで大河はふと気付く。悪魔と名乗る女性を前にしているにも関わらず、驚くほど冷静に思考を巡らす自分がいるという事に。
 どちらかというと、彼女自身が悪魔というには程遠い美少女であった為、妙な安心感があったのかもしれない。

 冷静になった大河は尋ねる。
「目的は…?俺に会いに来た目的っていうのは何なの?」

 震えの止まった彼の声を聞き、悪魔と名乗った彼女は少し驚いているようだった。

「ふふ…、あたしの目に狂いはなかったってトコかしらね。」

 大河にはよく意味の分からない台詞だった。

「内樹大河(うちき たいが)。あたしはね、あんたが欲しいの。」

 瞬間、時が止まる。雨脚はさらに激しくなり、いつの間にか土砂降りとなっていた。

「………へ? ええぇ!?」

 大河は思わず叫び声をあげた。ついさっき柊愛嘉を呼んだ時よりも、さらに大きな声で。

「…ん?言い方が不味かったかな?欲しいって言っても…アレよ?肉体的な意味じゃなくて、精神的な方。ん…それともあたしが相手じゃ不服だって言うの?一応これでも悪魔界では美人な方で…って、あんた、人の話聞いてる…?」

(いやいやいや、殺される!この台詞のパターンは絶対に殺される!この際、百歩譲ってこの女の子が悪魔だったとしよう。いや、悪魔じゃないにしても危険すぎるよ!)
 大河の顔からは完全に血の気が引いていた。彼女はその様子を不思議そうに見つめる。

「なんであんたはこの世の終わりのような顔をしてるかな?別に取って食おうと言っているワケじゃないんだし…。あ、まぁ…ある意味、取って喰う≠だけど…」

 もはや大河には何も聞こえていなかった。正確には聞かないようにしていた。短い人生だったなぁ…とか考えていた。けらけらと笑う彼女の姿も見ていなかった。

「ねえ?さっきから何をぶつぶつ言ってんの?」
 目の前の少年は膝を抱え縮こまり、念仏を唱えていた。

「……死後の世界って、ここよりは楽しいですかね…?」
「はあ?」

「どうせ俺なんか誰の役にも立てないし、自分の気持ち一つも伝えられない内気なヘタレ野郎だし…。もういっそ死にたいなぁ〜って思ってたトコなんですよ。」

「………」
 彼女は少し悩むように黙りこんだ。

「ばっかじゃないの?」
「え…?」

 完全に意表を突かれた。

「うだうだ言ってんじゃないわよ、って話。てか、さっきのあたしの話聞いてた?」
 彼女はそう言うと、一気に顔を近づけてくる。

「少なくともこのあたしには<Aンタが必要だって言ってんのよ。勝手に死なれては困るの。」

 正直、彼女の言っている事は、にわかには信じがたい。自分を必要だとか言っていたが、それだって何の為に必要なのか全く分からない。

「こんな話をだらだらしてても無駄だわね。率直に言うと、あたしはあんたの魂に惚れたの。ヘタレで泣き虫、そのくせ真っすぐで芯が強く優しいバカ野郎。」

 褒められているのか貶されているのか分からない微妙な言い回しだった為、大河は複雑な気持ちだった。

「あたしたち悪魔はね、人の心≠チてやつを食べて生きてるのよ。ん…、もちろん悪魔と一口に言っても色々で、あんたがさっき考えてたように、地獄に連れて行った人間の魂を、根こそぎ喰(く)っちまうタイプのもいるけど。あたしらのタイプは比較的、人間に優しい穏健派(おんけんは)なんだよ?」

(へぇ…悪魔にも穏健派なんてあるんだ…)
 なんとなく人間らしい一面もあることに感心し、大河は心の中でほうほうと頷いていた。

「あたしらみたいなタイプは、人間が無意識にこぼしている感情の欠片(かけら)のほんの少しを、こっそりひっそりと啜(すす)る程度で生きていけるのよ。つまり、あたし達は『量より質』を優先する美食家ってワケよ。(と言っても、中にはバカみたいに喰い散らす奴もいるけど…)」
 彼女は淡々と話を続けているが、不思議とその言葉には嘘が無い事が感じ取れた。

「早い話が、あたしと契約しろ、って話ね。」
「はい?」

 思わず大河は目を丸くする。契約とは何のことだろうか、などと色々と考えた。

「あんたはあたしに心を喰わせる。その代わり、あたしはあんたに能力(チカラ)≠与える。」
(チカラ…?)
「あー、あたしらの言う能力(チカラ)≠チていうのは人間の世界で言う魔法≠ンたいなものかな。」

 正直、今の大河には、そんな夢みたいな話を鵜呑みにする事は出来なかった。悪魔とか魔法とか契約とか、これまでの自分には全く縁のなかった単語。そんなものが今、現実として突きつけられているのである。

「その…チカラ≠チていうのは、具体的にどんなものなの?」
 大河が尋ねると、と彼女はフッと軽く笑って、そして答える。
「ふふ…。少しはあたしに興味が出てきたみたいね♪」
 艶っぽい視線で大河を見ると、彼女は右手を空にかざしクルクルと回し始める。何をしているのか、大河にはさっぱり理解できない。

「あたしら悪魔の能力(チカラ)には、階級(ランク)があるんだよ。」
 話をしながらも、彼女は右手のクルクルを続けている。
「大きな仕事をする為には、より多くのエネルギーを必要とするでしょ?それと同じで、上位階級(ランク)の能力(チカラ)≠行使するには、沢山の心を喰って魔力を蓄える。もしくはより強く、より純度の高い上質な心≠喰って魔力を底上げする必要があるワケ。」

 言い終えると彼女は、かざしている右手に視線を移す。
 すると、何か目には見えない波動のようなものが、彼女の右の掌(てのひら)を中心に渦を巻き、やがてその渦は地上から離れ、空高く舞い上がる。

 瞬間、カッという激しい閃光と、ドッという爆発音が起こり、それまで空に立ち込めていた灰色の雲が消え去り、辺り一面に再び青空が広がる。

「なっ!?」
 大河は圧倒された。突如目の前に現れた少女は、自らを悪魔と名乗った。そしてたった今、自分が悪魔たる証拠を少年に見せつけた。

「ちなみに今使ったチカラ≠ノは、あんたが今しがた告白に失敗した時に生まれた悔しさ≠竍情けなさ=Bそういった強い負の感情を媒体としているんだよ。」
「は、はあ……」
(…さっぱり分からないです)

「今使ったのは、六〇〇番クラスの上位能力。」
 六〇〇番クラス?何それ?と、大河が不思議そうに首を傾(かし)げていると、彼女は補足した。
「あたしら悪魔には、六六六個の能力が生まれつき備わっているの。その中でも六〇〇番以降の能力は上位能力と呼ばれていて、使用するには膨大な魔力を必要とするのよ。」

 少女は懇切(こんせつ)丁寧に説明したつもりなのだが、少年は全く腑に落ちないという顔をしている。彼女は少々、苛立っているようで、説明も投げやりになった。

「だーかーら、アンタのナヨナヨしたヘタレ感情を喰って、今の超絶ビックリ大魔法を出張サービスで見せてやったっつってんだよ、このバカ!」

 突然、胸ぐらを掴まれたため、大河の顔は完全に強張(こわば)っていた。というより、息苦しくて気を失いそうだった。
 その様子にやっと気がついた彼女は、ハッとしたように手をパッと放した。

(う…。マ、マジで死ぬかと思った……)
 何はともあれ、少年は悪魔と名乗る少女の戯言(ざれごと)を信じざるを得ない状況だった。666回目の告白失敗記念日は、少年と悪魔の運命的な出逢いの日となるのだった。

 

自作小説 part1 (試験版)

今回は試験的に第一話を載せます。

本来、Word文書だったものを即席で加工したため、
きっちりと手直しをかけてはいない状態です。

誤字・脱字、不適切な表現などあるかもです。
まぁ、その辺はご愛嬌ということで……





 「内気な僕と小悪魔少女」

第1幕「666回目(うんめい)の日 -a day of the destiny- 」

      1

 初夏の風が鼻をくすぐる梅雨明けの空を見上げ、一人の少年が、ある決心をしていた。
 少年の名前は内樹大河(うちき たいが)。神前(かんざき)市立安久間(あくま)中学校に在籍している。年齢は14歳で、現在は中学二年生である。
性格は控えめで、特別何かが得意なワケでもない。勉強も人並みに出来る程度。普通に勉強して普通に友達と過ごし、普通に人生をまっとうする。そう、彼は胸が躍るようなワクワクドキドキのアドベンチャーとは程遠い人種なのである。

 そんな彼には入学当初からの悩みがあった。
「……っ!」
 ふと目に入ったその姿に、思わず息を呑む。

 少年の視線の先には一人の女子がいた。教室の窓際の席に座る彼女の名前は柊愛嘉(ひいらぎ あいか)。清楚で人当たりの良い彼女は同性からの人気も高く、もちろん、男子生徒にとっては憧れの存在であった。

(決める…今日こそ絶対に決めてやるんだ……)

 彼の拳(こぶし)にギュッと力が込められる。言うまでもなく、彼の悩みの原因とは彼女なのである。

 彼女の事は小学校の時から知っていた。同じクラスになった事もある。実はその時、たまたま近くの席になって、一度だけ彼女と会話した事もある(テストの日に消しゴムを忘れた彼女に自分の消しゴムを貸してあげただけだが)。
 結局、それが最初で最後の絡みだったのだが、それ以来、妙に彼女の事が気になってしまい現在のモヤモヤ状態に至る。たった一言。「好きです」と言うだけ。そんな簡単な作業が出来ないままダラダラと引きずって、気がつけば中学生になっていた、というわけだ。
 しかし、そんな状況とも今日でお別れ。
 少年は再び拳に力を入れる。

 意を決した少年は、後ろ姿の彼女に向って、半ば叫び声にちかいような感じで話しかけるのだった。
「柊愛嘉さん!」
 突然、大声で名前を呼ばれた彼女は、少しビクッと肩をすくませた後、くるりと振り返った。その表情はどことなく不安げなように見える。
とはいえ、自分の事だけで精一杯の彼には、そんないたいけな少女の姿など目に入ってなかった。自分の想いを伝えるという目的を果たすため、間髪いれずに次の言葉を持っていく。
「柊さん……その…実は俺、キミに言いたい事があって…」
「なぁに?内樹くん…?」
 不思議そうに小首を傾げ、ニコッと笑顔を見せる彼女は天使のようにすら見える(もちろん、本物の天使など見た事はないが)。
 …と、次の瞬間、少年の脳裏に、ふと驚きと感動が浮かび上がる。

(柊さん…俺の名前、知ってくれてたんだ…)

 今までずっと一方的な片思いだった為、少年は、まさか相手の女子が自分の事を知ってくれているなんて思ってもみなかったのである。

 そんな事が頭を過ると同時に、雑念が次々に沸き起こってくる。

(名前を知っているという事は、向こうも少なからずこちらを意識しているだろうか…)
(という事は、もしかしたら脈ありかもしれない…)
(いやしかし、名前ぐらい知っていても、別に不自然ではないか…)
(そもそも柊さんは誰とでも親しくしているし…)

 そんな雑念を思い描くこと、その間わずか二秒。

「内樹くん…どうしたの?もしかして何か悩み事…?」
 一人で勝手に妄想する少年の顔を、彼女の円らな瞳が見つめる。真剣な眼差しに心奪われそうになるのを、彼は必至で堪えた。…つもりだった。
 既に彼には、冷静さも、少しの勇気も残っていなかった。
「い、いやぁ…。今日はその…素晴らしくお日柄がいいですよねぇ〜」
 自分が何を言っているのかなど、もはや分かっていない。
「んー…、ちょっと曇ってきた…かな」
 気付けば、さっきまで快晴だったはずの空には、どんよりとした灰色の雲が空全体にかかり始めていた。
「うっ………」
 少年は低い呻き声のような声を漏らす。胃がキリキリしてきた。

(ま、またやっちまったぁー…!!)

 少年の顔が一気に青ざめる。

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Information
プロフィール
※ざわさんのプロフィール
性 別 男性
年 齢 35
誕生日 4月11日
地 域 宮城県
系 統 普通系
職 業 大学生
血液型 O型
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