久しぶりに、故郷に帰った。
【思い出す】
何年ぶりだろうか。
様々な部分が変わり、それでもどこか懐かしい土地。
懐かしさと少しの寂しさを覚えつつ、私は目の前の風景を静かに見つめた。
あぁ、帰ってきたんだ……
そうしながら思い出すのは、やはり青春時代。
あの小さかった頃、仲の良かった友人は元気にしているのだろうか。
……もう、ここにはいないのだろうか。
私も、ここにはもういない。
自分だけだとは、思っていない。
それでも。
会えたら。
私はとっさに首を振る。
頭に浮かんだ「彼」を振り払うように。
……だから、嫌だったんだ。
止めていた想いが膨らんでいく。
会いたくない。
――――――――会いたい。
見たくもない。
――――――――触れたい。
通る人の中に「あの人」がいたら良いのにと目が追うのに、
会ってしまったら最後だと、奥底で警鐘が鳴る。
あぁ、分かってる。
だから、
帰ってきたくなかった。
――――――――帰ってきたかった。
誰か、止めて。
2015-1-19 18:34