2010-5-21 22:37
※移転してきました。
安藤二人は牛丼屋さんに来ています。
「あ〜食った食った。金が無い時は牛丼に限るよな」
「そうだね。安上がりでお腹一杯になるしね。つか飛鳥、そんなに食べて大丈夫なの?」
「そんなにって特盛2杯だけじゃんか。こんなの食ったうちに入らねーよ」
「そんなこと言って、撮影するとき(飛鳥はメンズ雑誌のモデルを始めた)お腹ぽっこりになっても知らないよ」
「んなヤワじゃねーし。さすがに鍛えてるし。つか最近気づいたんだけどさ、俺って食っても太らねー体質みたいなんだよな」
「うわーなにそれ。世の中の女子に刺されそうな体質だね」
「女子に刺されるなら本望だね。んなことより、俺よか隆介だよ。そんなんで足りんの?」
「そんなんて、俺これでも大盛1杯食べてるんだけど」
「お前なぁ。牛丼屋に飯を食いにきた意味を考えろよ。食いに来た意味を」
「ごめん。お腹空いたから以外の意味を持って来たことないからわかんないや」
「なってねぇなぁ。男がここに来るっつーことはだな、」
「ん?あれは…」
「自分の腹の限界を…って、聞いてるのかよ!」
「ううん、聞いてない。飛鳥あれって、高橋先輩かな?」
「はぁ?知らねーよ。俺の話を聞け」
「はいはい。後でちゃんと聞くから。ほら、あの入口付近で佇んでいる人…」
「あ、確かに」
「でも珍しいよね。高橋先輩が牛丼屋なんてさ」
「別に飯くらいどこで食おうが個人の自由だろ。つかなに、チェーン店なんて利用したことないほどセレブリティなの、あの人?」
「まぁ親父さん外資系企業の社長だし、セレブっちゃセレブなんだろうけど、ファミレスとか普通に利用してるよ」
「じゃあ何が珍しいんだよ」
「あの人めっちゃ食細いんだよね。牛丼なんか食べたら倒れちゃうんじゃないかと思って」
「え?どゆこと?」
「前にマッキー…彼女とファミレスにいるところを見たんだけど。その時に先輩リゾットを食べてたんだよね。だけど半分食べたら苦しくなっちゃったみたいで…。残りは彼女に食べてもらってた」
「まじかよ!十代男子にとっちゃリゾットなんて前菜なのレベルだろ。どんだけなんだよ」
「そんな人が牛丼食べにくるなんて、きっと何か重大な心境の変化があったに違いない」
「そんなにかよ。でもすげぇ思い詰めたような顔して看板見てんな。溜め息吐いてるし…」
「あっ、意を決したように入ってきた」
「キョロキョロしてんな」
「誰か探してるのかな?まさか彼女と待ち合わせ…」
「牛丼屋の店内で、か?そんな待ち合わせ聞いたことねーよ」
「いや、でもマッキーなら有り得る…」
「とにかく何か面白そうだから、あいつここに呼ぼうぜ」
「また、そうやってすぐ他人の状態を面白がる〜」
「セレブに一人牛丼屋来訪はきついはずだぜ。俺は親切心でやってんの。てことで、高橋さ〜ん!」
「もう…コメントに困っても知らないよ?」
「なんだそれ」
「やぁ、安藤二人くんたち。君たちもここで食べていたんだね」
「あの、一緒くたにするの…やめてください」
「安藤くんと安藤くんじゃ、分かり難いって言われて…」
「まぁ誰に教えられたかは敢えて聞かないが…名前で呼んで欲しいッスね」
「一人くんと二人くん?」
「いや、コンビじゃないんで。あの普通に」
「わかったよ、あっくん。りゅーくん」
「あっくんて誰!?」
「まぁまぁ…ところで先輩、珍しいですね。牛丼屋来訪なんて」
「あはは…他人様には言いにくい、ちょっとしたことがあったんだけど…」
「ちょっとしたこと?」
「うん。秘密裏に動いていたんだけど、隆介くんに出会っちゃったってことは、きっと隠し事はしたらダメってことなんだよね」
「隠し事してたんですか」
「あはは…まぁね。大した隠し事じゃないけど、牛丼並盛1杯は食べれるようになりたくて、最近毎日特訓してたんだ」
「ま、毎日ッスか?」
「うん」
「それで食べられるようになったんですか?」
「それが並盛半分食べるのが精一杯でね」
「なんつーか…それ、もうダメなんじゃねぇ?」
「でも諦めるわけにはいかないんだ。町内会の大食い大会のために」
「え?先輩、町内会の行事に参加するんですか?」
「しかも大食い大会…」
「やめたほうが…大食い大会なんて、先輩死にに行くようなものですよ?」
「でもマキが出るのに、彼氏の俺が眺めているだけだなんて」
「いやいやいや、あの子は特別だし…マジでやめたほうがいいッスよ、高橋さん」
「そうですよ。無理はしないほうが…」
「無理…俺は食べるとき、いつだってそう諦めてきたんだ。でも今回だけは、今回だけは負けるわけにはいかないんだ!てことで、すいません並盛ひとつ!」
「せ、先輩!」
「止めないでくれ、りゅーくん!俺は食べる!いただきます!」
「水、用意したほうがいいか?」
「何を悠長なこと言ってんだよ、飛鳥ぁ」
「むぐむぐむぐむぐむぐむぐ」
「でも何か小動物が飯食ってるの見てるみたいで和まね?」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐ」
「た、確かに。な、何か食べ方が可愛いかも」
「ぱくぱくぱく…う、ぇ」
「あ、飛鳥、水!水!」
「お、おう」
「ごくごく…ごくん。ぷは。うぅ、苦しい…」
「ちょうど飯半分だな。つか肉…ほとんど食ってねーし。これで大食い大会は無理だろ」
「だ、大丈夫ですか?少し横になりますか?」
「へ、平気…でも少し食べる量が増えたよ」
「うっ…凄い嬉しそう」
「おいりゅーくんよ、高橋さんにはっきり言った方がいいって」
「無理だよ!あんな顔見たら!」
「高橋さんが死んでもいいのかよ」
「うっ…で、でも…」
「あれ〜珍しい組み合わせ〜」
「あっ、牧村…さん」
「やーほー☆りゅーにあっくん!」
「だからあっくんって誰だよ!」
「ま、まぁまぁ。マッキー、やっぱり高橋先輩と待ち合わせだったんだ」
「やっぱりって?」
「だって高橋先輩、ひとりで牛丼屋くるイメージなかったし」
「違うよ。たまたま。今日はあたし部活あって、今帰りなの。みんなは仲良くご飯?だったらあたしも混ぜて〜」
「それはいいけど…高橋先輩が」
「わっ!やだ、高橋。またやってんの。もう食べらんないんだから頼まなきゃいいのに〜」
「さ、さすが彼女、容赦なさすぎ」
「すいませーん、特盛15からお願いしまぁす」
「…からって言った?いま」
「うん。からって言った」
「部活の後はお腹が空くの!てことで、いただきまぁ〜す!」
「凄い…バキュームみたく食べてる…」
「高橋さん、あんたと彼女って、上手い具合に釣り合い取れてるんだな」
「ぅ、うう…精進します…」
「すいませーん、おかわり15追加で〜!」
「そんな食べて、マッキー支払い平気なの?」
「うん!高橋のおごりだから!大丈夫なのだ〜!ねっ!(=゜ω゜)ノ」
「う、」
「あ、死んだ」
高橋くんはマキちゃんのため、日夜、食費を稼いでいたりする。
コンビニバイトならローソンを希望。あの制服を着ながらオロオロ接客すればいい。