なんか勢いで書いたら毛色が違うのでメインに置けないものになりました○| ̄|_
珍しく切なめの姫と小太
追記から始まります。
ある城での任務に向かった。
「まぁ綺麗な羽根…」
俺の背中の翼から庭に落ちた羽根を拾いうっとりとした表情で呟いたのはこの城の姫だろう。
「…………」
柔らかく笑うその姫を美しいと思った。
今まで仕事上様々な城の姫を見てきたがどれも比較にならない。憂いを帯びた儚い横顔は印象深く、しばらくその姿から目を離せずにいた。
「まぁまた桜の花と羽根が…鴉でも遊びに来ているのかしらね」
くすくすと笑う彼女の手には俺が窓辺に置いた桜の一枝と黒い羽根。その羽根がせめてもの自己主張だなどと伝説の名が廃る。だが俺にはそれくらいのことしか出来ない。
「鴉さん、いつも綺麗な桜をありがとうございます。私は外になかなか出られないからこんなにも綺麗な桜を見れて嬉しいわ。まだそばにいらっしゃるなら出てきて私の話相手になって下さいな」
「…………」
姿を表せと言われても俺の姿を見ればきっと彼女は怯えてしまうだろう。そして俺も姿を見られた場合即座に姫を始末しなくてはならない。
何より俺には声がない。本当に鴉ならば返事の一つも出来ただろうが、その鳴き声すら真似られない喉は乾いた風の音を発するだけだ。
故に…
「いらっしゃらないの?また、来て下さいね…」
今日も淋しそうな彼女の横顔をただ見ていることしか出来ないのだ。
嗚呼、厄介な相手に好意を持ってしまった。
例えば俺が忍でなかったら、
例えば俺に声があったならば、
例えば貴女が姫でなかったら、
例えばと願う
そして、貴女が今回の暗殺の標的でなかったら、俺は…