2冊の紹介です。
どちらも原作は同じで、訳者が違う。
「シュールレアリスム宣言集」の方を主に読み、わかりにくい文章や、印象的な部分を「超現実主義宣言」の方で確認しながら読んでみた。
「超現実主義宣言」の方は「シュールレアリスム宣言集」の訳者あとがきに<名訳>と書かれているように、確かに平易で、良い意味で俗な印象がする。
「超現実主義宣言」はじっくりと読んだわけではないのでハッキリとした感想は言えないが、こちらは文庫版なので安価で手に入れやすい。
もちろん、「シュールレアリスム宣言集」だけでも十分だと思う。
こちらには、第一第二の再版にあたってブルトンの書いたが文章が収録されている。

1924年のシュールレアリスム宣言、1930年の第二宣言、1942年の第三宣言序論と、正にシュールレアリスム宣言集。
どれも、運動のなかの重要な節目に発表されたものであり、シュールレアリスムにとって重要な文献である。

観念的に捉えがちなこの運動に、論理的な重みを持たせたこの宣言集は運動にとってかなり意義深かったろう。
この布石があったからこそ、シュールレアリスムは形をもち、広がりをみせ、浮くことがなかった。
シュールレアリスムがシュールレアリスムであり続けれたのは、ここにシュールレアリスムを規定したからだろう。そして、それを再確認し続けたブルトンの功績も重要だ。
魅力的で厳格で深遠な文献である。





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