俺は結構モテる。
今年に入って四人。
今、五月である。

「ふぅっ…」

今から五人目の待ち合わせ場所へと向かう。
俺は高校二年生で、新入生として入ってきた一年生に目を付けられているらしい。
五人のうち四人が一年生だ。

「てか、今時ラブレターって…w」

下駄箱に入ってた黄色の便箋。
開くと一枚の手紙が入っていて、その内容が笑えた。

『突然こんなのすみません!
えっと、1年C組の松下恵介です!!
お話があるので、放課後に職員室横のヒマワリ花壇まで来ていただけますか?
あの、一目惚れだったんです!!
いつの間にか好きになりすぎちゃってて、気持ち伝えたいなって…
だから、放課後、待ってます!
よろしくお願いします!!』

お話も何も、手紙で言ってしまっている。
こんな衝撃的なラブレターは初めてかもしれない。
いや、初めてだ。
いつものお決まりな感じかと思えば、大分すっ転んでる。
単純に興味が湧いた。

「名前、何て読むんだろ…」

普通に読むと“けいすけ”なんだけど、女の子だからきっと違う。

「ん〜…ドコだろ」

待ち合わせ場所に来たものの、チラホラ帰る人がいるだけで、それらしき人が見当たらない。
てか、何で場所ココなんだろう。
とりあえず、花壇に腰掛けて待つことにした。

「せ、せんぱっ!///」
「?」

ふいに頭上から声がした。
思わず顔を上げると、赤面した男子生徒が一人。
何故かコッチを見ている。

「何?俺に用?」
「は、はい…///」

そいつは手で口を抑えてコクンと頷いた。
俺が座ってるからよく解んないけど、多分身長は低いんじゃないかな。
170無いと思う。

「なーに?」

一応ヤローでも後輩だし、なるべく優しく問いかけた。
決して女には見えないけど、やんちゃそうな可愛い顔してる。

「っ……好きです///」
「は?」

ビックリした。
と同時に、手紙の名前も繋がった。

「け、いすけ…?」
「恵介です///」
「マヂかよ…;」

まさか男だったとは…。
あんな手紙も初めてだけど、男に告白されたのも初めてだ。
正直、同性に興味もなんも無かったし…。

「ダメ、ですかね?//」
「んー…。ダメってゆーか、男と付き合うなんて考えたことないからなー…」
「じゃあ、お試し…とか?//」

なるほど。
その手もあるのか…。
でも、お試しで付き合って良いのか…悪いのか。

「んー……;」
「じゃあ、じゃあ!チュウ、したら諦めるとか駄目ですか?///」
「チュウ…ですか?;」

そんな乙女的な諦め方アリ?
まぁ、試しでキスぐらいしてみるかなぁ…。
減るもんじゃないし、嫌じゃなきゃお試しで付き合っても良いし。

「良いよ。ちょっとコッチおいで?」
「ま、まさかっ、マヂっ////」
「まじまじw」

ヨロけて寄ってくる恵介を自分の前に立たせる。

「恵介、屈んで?」
「はい…///」
「ッ…ww」

コイツ面白い。
顔だけ近付ければ良いのに、ご丁寧にしゃがみ込んでくれた。
きっと、キス…した事ないんだろうな…w

「本トにするよ?」
「ど、どんとこいっ!///」

緊張でキャラが訳わかんなくなってるしw
自分から言ったのに、キス1つでココまで慌てる恵介を、純粋に可愛いと思った。
女子でも中々ないリアクションだ。
本ト、面白いw

「目、閉じて?」
「あぃ…///」
「……w」
「…!!////」

閉じてって言ったのに、恵介は瞳を見開いた。
だから、代わりに俺が閉じる。
あ。
意外と嫌じゃないなー…。
恵介の反応が面白いからかなw
息、止まってるじゃん…まったく。
俺は静かに、でも強引に舌を侵入させる。

「ふはっ!?////;」
「クスクスww」
「ンッ///;」

約3分。
美味しく恵介の口内を味わいましたw
俺も自分で、職員室横でよくやるよと思う。
3分で恵介はヘロヘロだし、何か悪くない気もする。

「ねぇ、良いよ。お試しじゃなくて、本トに付き合おっか」
「ふ…?///;」
「ふ?ふ…あぁ。そうだよw夫婦になろっかw」
「夫婦!?////;」

あー、楽しいw
恵介なら好きになれそう。
何か本気でそう思う。

「恵介。ちゃんと俺を夢中にさせてね?」
「が、頑張りますっ///;」
「じゃあ、手始めに敬語無しで良いから。後、俺のコト咲って呼んでね」

俺は恵介にニッコリと笑いかける。
恵介がこのノルマをクリアするのはいつになるだろう。

「ハードルたかっ…//;」
「頑張れw」

こうして俺に奥さんが出来ました。
甘面白い恋人日記が始まるのでした。













end.