10分ほどして落ち着いた俺は、脱いだシャツで顔を拭いて302号室に入った。

ん?

なんかいい匂いがするな…
そういや今日昼飯抜きだったな。







ぐ〜〜〜…





俺の腹自重しろ(汗)





玲奈「ぐ〜…

だってー(笑)


うふふふ


どうしておなかがへるのかなーけんかをするとへるのかなー♪


ほんとに減るんだね(笑)」


彼女は人参を切りながら歌った。


綾「その曲その後は

なかよくしててもへるもんなー♪でしょ?

喧嘩しなくても減るんですー!」

玲奈「おー。
意外と歌うまいんだね!」

彼女は手を洗っている。


綾「突っ込むとこそこですか(笑)?」

彼女はタオルで手を拭いて、



俺を見た。



玲奈「ほんと、よく…似合ってる。」

綾「ありがとうございます…」


彼女に褒められるのはなぜだかかなりくすぐったい。
思わずにやけてしまう程くすぐったい。



玲奈「にやにやしすぎ!」


綾「し、してませんー!
それより、お料理手伝います!ってか自分がやります!」

玲奈「いいのいいのー!
今日は綾くんの着任祝いに私が特別にお料理してあげる!
こんなサービス、めったにないんだからね!
ありがたがりなさい!」

綾「は、はぁ。」

俺は彼女の意味のわからないノリに気圧されて手伝うことを諦めた。

玲奈「とにかく、綾くんはテレビでもみてて!」


と彼女が言ったので、俺は言われるがままリビングでテレビを見ることにした。




この部屋のリビングにはソファーがあり、その向かい側の壁に液晶テレビがかけられている。
これなに型なんだろう。

うちの32型とは比べ物にならない大きさだ。
てか給料いくらもらってるんだろ…



テレビを付けると、フライングゲットのCMが流れていた。
この曲を歌えるメンバーは先日行われた総選挙というやつの結果で決まったという事は哲也から聞いて知っていたが、彼女が選ばれているのかどうか俺は知らない。
写るのは前田さんという人、大島さんという人、それと…










綾「あれ?」










俺はかなり大きい声を出してしまったらしく、彼女がキッチンの方から顔を出した。

玲奈「どうかした?」

綾「いえ!なんでもありません…」

玲奈「あっ、今私映った!」

綾「え?うそ!見逃しましたー(汗)」

玲奈「ざんねーん!」

彼女はキッチンに戻った。



今チラッと映ったのは…


そんなわけない。
あいつがAKBだなんて…

確かにアイドル好きだったけど…

でもまぁ多分、見間違いだ。
そんなことあるわけがない。

俺はそう思うことで自分を落ち着かせて、またテレビを見ることにした。