スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

いつもうるさい君なのに 5



気になってないといえば嘘になる。
だけど陽菜は簡単な女になりたくないの。
貴女がいつも女の子たちに囲まれてるのを知ってるから。



いつもうるさい君なのに 〜5〜
Haruna





優子に連れられて入ったファミレスは平日の昼間だっていうのに高校生がわんさかしていた。


今日は皆始業式で午前までだから仕方ないよね。





周りが大きな声で喋って笑って携帯をいじったり女子高校生らしい事をしてる中、陽菜はというとメニューに釘付け。


なんでかっていわれても陽菜が知りたい。
目の前にいるこの人の笑顔が直視できないの。


「それでね…ん、陽菜?」
「ふえ?」
「ふえって!可愛すぎるよ。あたしの話を全く無視してそんなに食べたいものがあったのかなー?」


そういえば自分の気持ち抑えるのに必死で優子がずっと喋ってたのが頭に入らなかった。


急に名前を呼ばれて変な返答をしたら優子はニヤニヤしながら陽菜の見てたメニューを覗いてきた。


急に近づかれてビクってした体を優子に気付かれてなくてほっとする。




貴女を意識しすぎておかしくなりそうな気持ちを抑えてメニューをずっと見てました!
なんて言えるわけなく陽菜が見てたメニューの真ん中のハンバーグを指さして『これ、食べたい。』と言った。




「へー、なかなかいっぱい食べる子なんだね!あたしもそれにしよっと。」


優子は少し驚いた顔をしてすぐにとびっきりの笑顔を向けてきた。



それ!その笑顔が見たくないの!!


この笑顔にどんだけの女の子が落ちたことか。
さすがの陽菜でもキュンってするのに。



その笑顔を直視してしまった陽菜はとっさに下を向いてまたメニューを見るふりをする。
その間に優子は店員さんを呼び注文をした。



「よっしゃ!いっぱい食べるぞ〜「あれ?優子?」
「へ?」


突然後から来た女の子が優子の名前を呼んで『あーやっぱり優子だ』と騒いだ。




「あっちゃん?」
「久しぶり!中学ぶりだね!」



優子の知り合い、というか中学の時の友達?
すっごい可愛い。



しばらく二人が喋ってる所をぼーっと見ていると
あっちゃんと呼ばれる可愛らしい女の子が陽菜に気づいて
『こんにちは。』と笑顔を見せた。


「こんにちは。」

陽菜も軽く挨拶をした後にあっちゃんが驚いた顔をして優子に問いかける。


「もしかして…彼女?」
「へ?いや!!違うよあっちゃんっクラスの友達だよ!!」
「あ、そうなんだ。いや、すっごい可愛いからさ。とうとう優子に好きな人が現れたかと思って。」


優しく微笑みながらしゃべるあっちゃんと焦ってオドオドしてる優子。
そして何故か鳴り止まない陽菜の心臓。


急に優子の彼女って。
その言葉にどんだけドキドキしてるの陽菜。



でもしばらくするとあっちゃんは

『あっちに優子に会いたいっていうあたしの友達いるんだけどもし良かったら行かない?顔、見せるだけでいいからさ。』

と優子を誘った。優子は陽菜の顔を見て困った顔をしたから『言ってきなよ。』とすすめた。



「すぐ戻るね!」

って言って優子のファンがいるであろう席へ向かった。


ひとり取り残された陽菜水をぐっと飲んで
女の子たちに囲まれて陽菜の事を夢中にした笑顔を振りまいてる優子の姿を見ていた。



危なかった。もう少し油断してたら陽菜も優子を囲んでキャーキャー言ってる女の子たちの一人になる所だった。


「陽菜は簡単な女にはなりたくないから。」


そう呟いて優子の笑顔を見て少し切なくなった陽菜の心を持ち直した。




To Be Continue…

いつもうるさい君なのに 4


あれは確か高校入学式の日



いつもうるさい君なのに 〜4〜
Yuko

中学の頃から女の子にチヤホヤされた私の周りはもちろん女の子だらけで可愛い子は確かにいたけど特に心に残った子はいなかった。

もちろんそれなりに恋愛はしたけど告白されて仕方なくだったり友達に一度付き合ってみたら?と言われてしぶしぶ付き合うという恋愛しかしなかった。

自分から好きになって付き合ったことは一度もなかった。


そんな私が高校に入ってすぐ
桜の木の下でぼーっと突っ立ってた子に目が釘付けになった。

周りがクラス発表などで騒いでいる時その子だけはかったるそうにしていて
声をかけようか迷っていたらその子の友達と思われる子が来て一緒にどこかへ行ってしまった。


一目惚れと言われたらそうかもしれない。だけど一度もそんな経験のない私がその時知るよしもなくて名前も知らない子をただただ1年間想っていた。



月日はたってあの日からまる一年。
クラス替えが行われて新しいクラスに入ったところでその子がいた。
一年前の友達と一緒に窓際で喋っている。

その友達といる時はあんな笑顔を見せるのに一人になるとまたかったるそうな顔をしてるその子が面白くて私はすぐに座席表を確認した

「こじま…はるな…」


私はこの時やっと彼女の名前を知ったと同時に喋ったことのない人の名前を直接ではなくこうやって調べてる自分に焦った。


いつもとは違う自分の感情に凄く興味が湧いてそしてそんな自分にした彼女がとにかく気になった。


私は早速小嶋さんに自分から喋りかけに行って
直接小嶋さんの友達のみいちゃんに『陽菜どこにいる?』なんて聞いちゃって


今現在その彼女の手を引っ張って一緒に下校してるわけで。


すべてが初めてだった。
こんな可愛い女の子に会うのも自分から行動するのも彼女の笑顔を見る度にドキドキするのも。


私はいつもの大島優子と違ってだいぶ焦ってると思う。



これが好きって感情なのかな…?


「ねぇねぇどこいくの?ねー優子!優ちゃん!」



さっきから行き先を述べずにいると後ろから何度も名前を呼ばれて握られてる手が強くなった。


「んー、ファミレスでも行こっか」
私がそういうとさっきまで強かった眼差しが逸らされ大きな耳を真っ赤にしながら『分かった。』
ってつぶやく小嶋さん。

あぁかわいい。
私がいつも女の子をキャーキャー言わせる必殺技の笑顔を向ける度にこの子は耳を真っ赤にする。

もともとすぐ赤くなる体質なのかはたまた私に…
なんて自惚れる余裕ないくらいこの子は可愛い。
ニヤニヤなんてしたくないのに勝手に緩む口元。私こんな変態だっけ?って自分で自分に質問する。


そんな小嶋さんを引っ張り近くのファミレスへ入った。

いつもうるさい君なのに 3

ガラッ

「失礼しまーす。」



いつもうるさい君なのに 〜3〜
Haruna



「おいおいニャロ。新学期そうそう保健室に来るとはこれからもお世話になる気満々だな。」

保健室に付いてドアを開け丁寧にも部屋に入る前に挨拶をした陽菜にこの人はまたか。と言わんばかりの表情で言ってきた。


「今日はサボリとかそんなんじゃないもん。部活で遅くなるみいちゃん待ってんの。」


「今日は、ね?これからもサボるのをやめて欲しいものだよ。」


この人は保健室の先生の篠田麻里子先生。

めんどくさがり屋の陽菜は1年生の時から気分で授業をサボってはここに来ていて麻里ちゃんと喋っている。
最初は篠田先生と呼んでいた陽菜もここの常連になってからは『麻里ちゃん』と呼ぶようになった。
この人も最初は『サボリのために保健室を使うな』なんて言っていたが慣れてしまったのかサボっている生徒を全く怒らず逆に話し相手が出来たといってたまに嬉しそうな顔をして陽菜を招いた時もあった。


麻里ちゃんは入ってきたのが陽菜と分かったところでさっきから読んでいた書類に目を戻した。

「そういえばニャロは一応部活入ってるんだから行かないの?」


「美術に興味無いし、行く意味ある?」


「ならなんで入ったのさ。」


「楽そうだったから。」

書類を見ながら話し出した麻里ちゃんは『ニャロらしい。』と言って笑った。
麻里ちゃんといるとくだらない話しかしない。だからこそ楽でいれる。
いつもは何時間も喋ってられるけど今日は違った。手首についてる腕時計を確認して麻里ちゃんはスっと立ち上がる。


「ニャロ今日はこれにて帰りますわ。」

そういうと、なんだか口元がだんだん緩んでいくのが見えた。

「例の彼女さんとデートでもするの?」


「鋭いな。ほんとにニャロは天然に見えて計算脳だね!」


「麻里ちゃんがわかりやすすぎるの。まぁ、楽しんでね。」


『ほーい。』と先生らしからぬ軽い返事をして麻里ちゃんは部屋から出ていった。
んー、また一人だ。


昼間の保健室は何度も来たことはあるが一人になったのは初めてでとても静かだった。
窓から照らしてくる日差しと空いた窓の隙間から吹き付ける春の風が陽菜を眠りへと誘っていった。

ベッドに横たわりみいちゃんが来たらどうせ起こしてくれるだろうと安心して眠りにつこうとした時ガラッとドアがあいた音がした。


「失礼します。」

顔なんて見なくても分かる。このハスキーボイスの主は陽菜がさっきまで考えていた人のものだった。

驚いて横にしていた体を起こすとばったり目が合って同時に優子がニコッと笑った。


「小嶋さん。迎えに来たよ。」


「え?なに?」


それは予想外の言葉で頭が真っ白になって動けないでいる陽菜の目の前に移動した優子は、次は手を差し出して

「だから、迎えに来たよ!」とさっきより少し大きな声で言った。


「陽菜今みいちゃん待ってるの。急に言われても困るから。」


「大丈夫大丈夫!あたし今みいちゃんに陽菜の居場所教えてもらったし。バスケの練習早目に終わらせて美術室いったら陽菜いなかったから聞いたんだ。」

なんで優子は陽菜が美術部だって知っているのかとか、その時みいちゃんはなんて言ったの?とか聞きたいことはいろいろあったけどその質問をするよりも早く優子は『ほら、早く行こ!ランチタイム終わっちゃうよ。』と強引に陽菜の手を引いた。


陽菜は人に何考えてるか分からないってよく言われるけど優子より全然ましだと思う。

陽菜に興味を持たせてあげると宣言してから最後の授業が終わるまで一切喋りかけてこなかったし、放課後も陽菜に目も向けず足早に部活に行った。
なのに部活を早目に終わらせて体育館からわざわざ美術室に行きみいちゃんに陽菜の居場所を聞いてその足で保健室に来て陽菜の手を引いている。


何が起きたかまだ頭が整理できてないまま付いてきたけど本当に何を考えてるのか分からない。分かったのは素晴らしいくらいの行動力って事だけ。


『急に何?』なんて聞いても後ろを振り返ってお得意の笑顔で『いいからいいから。』と返してきた。
陽菜はこのまま聞いても何も答えは出ないと分かって手を繋がれたまま優子の後ろを無言で付いていく。

今朝クラスの前で自己紹介をしていた優子は遠くから見てもわかるくらい身長が小さかったけどこうして後ろから見ていると背中も小さいことが分かった。
こんな小さな体であの背の高い秋元さんと佐江ちゃんとバスケしていると思うとちょっと笑えた。

「何笑ってんだよー。」

「ん、優子ちっちゃい。」

「うるせー。これでも頑張ってるんですぅ。」

ちょっと笑いながら言うと優子はチラッと後ろを振り向いてわかりやすく頬を膨らませて拗ねた。
あんなに完璧って噂の大島優子のこんな可愛い姿どれくらいの人が知ってるんだろうか。

だけどまた前を向いて歩き出す優子の小さな背中が今はすごい大きく見える。

それは優子が陽菜にだけ分かるように繋いでいる手をさっきよりも強く握ってきたから。
言われてないけど『離さない』って言われてるみたいで頼りがいがあった。

この人を好きになる人はきっと見る目があるんだと思う。
そして数多くの人を惚れさせるこの人は予想以上にすごい人だと思う。


陽菜はどうなんだろうか。
陽菜はまだよくわかんないけどこれからもっと優子のことを知りたいと思った。こんな事を言ったらまたみいちゃんに茶化されるだけだから絶対に言わないけどね。




そして、手を引かれたまま陽菜達は校舎を後にした。







To be Continue

いつもうるさい君なのに 2


キンコーンカーンコーン



いつもうるさい君なのに 〜2〜
Haruna





授業が終わる鐘の音が響き渡ると同時に生徒の椅子が一斉に動き出す。
今日は新学期初日なので主な授業は無く午前で帰れるため周りは『今日どこいく?』『カラオケ行かない?』などとすっかりお遊びモード。


あんな宣戦布告みたいな言葉を残した優子に遊びに誘われるんじゃないかって少しばかり期待したが、彼女は鐘がなるとすぐさまバスケ部の佐江ちゃんと秋元さんと教室を出て行ってしまった。

そんな優子の後ろ姿が楽しそうで嬉しくもあり悲しくもあり腹ただしささえも芽生えた。
少しでも期待した陽菜がばかみたいじゃん。

もう期待するのはやめよう。
冷静に考えればあの大島優子だ。ファンがいっぱいのあの人に期待したって意味ないでしょ。
あの言葉も、どうせファンたちにも言っているんだろう。可愛いって言い慣れてそうだし。

そう深々と考えれば考えるほど自分が辛くなっていくのに気づき『馬鹿みたい。』そう呟いた。



「優子、あんだけ自信満々に陽菜のこと落とすって言ってたのにあっさりだったね。」

「別に、いちいち気にしないし。ガツガツ来られても困るし。」

「本当かな?今のひとり事はそんな風に見えなかったけど。」

「なんのこと?」



聞き慣れた声の主はやっぱりみいちゃんだった。
後ろから急に喋りかけられても落ち着いて話せた陽菜を疑いの目で見てきたみいちゃんは親友なだけあってやはり陽菜の異変に気づいているらしい。あのひとり事、周りに聞こえるか聞こえないかくらいの小さい声で呟いたのにちゃっかり聞かれたことに少し恥ずかしくなる。この人の耳は昔から地獄耳だということを忘れていた。




「まあ、陽菜がそういうならいいと思うけど、そんなに素直じゃないといつの間にか誰かに優子とられるよ。知ってると思うけど部活してる優子を見るために何人もの女子が体育館に集まってるくらいだし。今年から後輩ちゃんもいるし優子に優しくされたら皆コロッといっちゃうでしょ。」

「なにそれ、陽菜には関係ないじゃん。優子が誰といようと優子の勝手でしょ。」

「もー陽菜素直になりなさい。親友の目は誤魔化せないよ。」

「いいの。それより帰るでしょ?一緒にランチ食べよ。陽菜、お腹すいたから。」



あれだけしつこく問い詰めてきたみいちゃんもこれ以上は陽菜が何も言わないと分かったのか諦めたように『はあ。』とタメ息をついた。




「いいよ。だけど今日は新入生が部活見学に来るからちょっと部活に顔出しに行くからちょっと遅くなるね。」

「えー、うちの美術部なんて適当に部活やりたい子しか入らないんだからいいじゃん。」

「いやいやいや、その理由で入ったの陽菜だけだと思う。とにかくちゃんと待っててね。それか陽菜も久しぶりに部活行く?」

「いや、いいです。大人しく保健室で待ってます。」



みいちゃんのお誘いをあっさり断った陽菜に呆れた表情で『なら行ってくるわな。』と告げみいちゃんはそそくさと教室を出た。
もーなんだよ皆部活ばっか。一人教室においてかれた陽菜は少し息を吸ってほっぺたを膨らませた。
ふと真ん中の一番前の優子の席をボーっと見つめながらさっきのみいちゃんとの会話を思い出す。
今日は新入生の部活見学で部活でキラキラしてる一番輝かしい優子を新入生たちは見ることになる。そうなるとみいちゃんが言ってた通り今までよりもファンが増える事もありえる。そしてもしかしたら本当に優子の相手が現れるかもしれない。
そう考えていたらなんとなく胸がぎゅうっと熱くなった気がした。


やっぱり朝から陽菜はおかしい。こんな胸が熱くなるなんて生まれて初めてだ。
熱でもあるのかどっちにしろみいちゃんを待たないといけないから早く保健室に行こう。

カバンを肩にかけて少し歩き優子の席の前で止まりしばらく眺めたあと教室をでていった。

あの人になるべく関わるのはやめよう。胸の熱さを感じながら陽菜は保健室へと向かった。




To be Continue…

いつもうるさい君なのに 1



『大島優子。夢は世界に名の知れたダンサーになる事です!!』



いつもうるさい君なのに 〜1〜
Haruna




春の暖かい風を受けながら
窓の外をボーっと眺めていた陽菜の耳に入った彼女の声。



高校2年に上がり、今日クラス替えを行った陽菜達に担任の野呂先生が『一人ずつ前へ出て自己紹介しろ。』と提案したのだった。
一人一人簡単に自己紹介を済ませ、そして彼女に至る。
人に興味を持てない陽菜は今までの子たちの自己紹介が頭に全く入ってこなかったのに彼女だけは違った。


大島優子。

今年になってクラスが一緒になったため彼女のことは噂でしか知らない。
バスケ部のエースで同級生だけではなく先輩からにもモテ、かといって勉強面でも優秀で、変幻自在のそのキャラで皆を笑顔にするとゆう誰から見ても完璧な存在。
名前と噂だけでは特に気になることもなっかったけど、今教室の前で堂々と夢を語ってる彼女の姿を見て陽菜は人より何倍も輝いてる、なんて思ってしまった。

ずっと窓の外を見ていた陽菜が大島さんの時だけ目線を前にして、無意識に彼女に釘付けになる。
すると気のせいか目があって彼女はニコっと微笑んだ。今の、陽菜にした?


夢はダンサーになることで、近い将来ニューヨークへ行って本格的にダンスを習いたいという。そして大島さんの特徴は背が陽菜より随分と小さくて、笑った時にでる八重歯とエクボ。自己紹介のほんの短時間でここまでわかった。
陽菜、人に興味を持ったことなんてないのに、なんか不思議な感じ。



その後も自己紹介は進んだが最後まで陽菜は大島さんのあの笑顔を思い浮かんでいた。







ーーーーーーーーーー




「あの噂の大島優子とおんなじクラスになれるとは、今年は運がいいな。」

「なにそれ、大げさすぎ。クラス3つなんだから同じになるなんて簡単じゃん。」 

「ほんと、陽菜は興味持たないね。あの大島優子でもダメでしたか。」

「ちょっと人聞き悪い。ホントの事言っただけじゃん。」

「なに?じゃあ、興味もったの?」



1時限目が終わり教室が騒ぎ始めた頃、相変わらずすごい数の生徒に囲まれた大島さんの席を見ながら陽菜の唯一の親友みいちゃんが話しかけてきた。確かにちょっとは気にしてるけどそんなストレートに聞かなくていいじゃん。
ニヤニヤしているみいちゃんをうっとうしくおもい『そんなことない、そんな簡単に興味持てない。』と意味のない抵抗をした。



「小嶋さん。あたしに興味持てないんだ。」


スッと後ろから声がする。二人で後ろを振り返るとそこに大島さんが立っていた。
あんな人数に囲まれたのにいつの間に抜けだしたんだろ。


「大島優子!!陽菜はあんまり関心がないこでね。大島さんでも簡単じゃなかったみたい。」

「そんな堅苦しい呼ぶ方しないでよ!優子って呼んで、みいちゃん。そうなんだ、案外ショックかも〜。」

「陽菜、そんな冷めた人間じゃない!!!」

「いーや、冷めてるよ。ま、陽菜昔からそうだし今更何も思わないけどさ。」


いつの間にか名前で呼び合うようになった大島さんとみいちゃん。
陽菜は小嶋さんて呼ばれたのになんかムカつく。ムキになった陽菜とそれを澄ました顔で冷静に返答するみいちゃんにツボったのか大島さんはケラケラ笑った。やっぱりこの人の笑顔は何度でも見たくなるほど輝いてて陽菜の心を少しずつ掴んでいく。大島さんの盛大な笑いに釣られた陽菜達も自然と笑顔になった。

「小嶋さん、笑うと可愛いね。」

陽菜を見て、なにか思いついたように真剣な表情で大島さんが言ってきた。
そんな急に言われたら誰だって照れちゃうし。それに本当に表情がコロコロ変わる。変幻自在なその顔はこれからも見てて飽きないと思う。現に、今の大島さんのファン達がこの笑顔にやられてる、これは人気者になってもおかしくないな。


そう考えながら照れてるのを必死で隠してる陽菜の顔を覗き込んで『照れてる。照れてる顔もやっばいな。』と一言。
こんなの陽菜じゃなかったら皆とっくにノックダウン。陽菜だからかろうじて冷静を保てる。


「照れてないし。さっきから人の顔見過ぎ。」

これが今の陽菜の精一杯の抵抗。隣のみいちゃんはニヤニヤしながら『何々?面白い。』なんて言ってる。
昔から陽菜を見ていたみいちゃんは何かに気づいた様だけど無視。

「そっか、なんか久々に燃えてきた。ねえ、あたしこれからも小嶋さんに話しかけていい?これからあたしに興味持たせてあげるから。」


「いいよ。でも大島さん陽菜に構ってる暇あるの?」

「うん。本気で振り向かせる。あたしのこと優子って呼んで。陽菜。」 


この会話から陽菜の変わらない日常が変化してゆく。この人気者の手によって。





To be  Continue…
前の記事へ 次の記事へ