あの日。
初めて○○に会ったのは
偶然なんかじゃなく、
運命だったんだ。



2人の東方神起をスタートさせて
しばらくしたある日。
僕は日本のスケジュールの合間を縫って
ずっと欲しかった本を買いに出かけた。

その日は珍しく午後からの仕事で、
午前中はオフ。
ユノヒョンは、
ひさしぶりの半日休みだから
ゆっくりするんだって
前日の夜から張り切っていた。

当然、僕が出掛けるときも
まだベッドで爆睡だった。

家を出て、
近所の書店に向かった。

この書店、
結構僕の好みに合う本がいっぱいあって、
ただブラブラするだけでも楽しい。

でも今日は、お目当ての本を目指して直進。

あ、あった。

本に手を伸ばした瞬間


「あ…」

隣から、か細い女性の声がした。

声がした方を見ると、
目を丸くした女性と目があった。


うわ…もしかして、この子…東方神起のファンかな…?
帽子だけだから、バレちゃったかも…
なんてちょっとドキドキしていると、


「その本…買われますか…?」

なんてちょっと上目使いで聞いてきた。


「あ…え…と…」

予想外な質問に、少ししどろもどろになってしまう。


「その本…」

女性は、本棚にある僕の欲しかった本を指差しながら
もう一度言った。


「あ、これ…。 …買います。」

だってずっと欲しかったんだから。
買いますよ、僕は。


「そうですか…。」

そう寂しく答えた女性は、
そのまま書店の奥に消えていった。


その後ろ姿を見送り、
本に手を伸ばすと
この一冊が最後の一冊だということに気付いた。

さっきは慌ててしまって、最後の一冊だったなんて、全然気づかなかった。


彼女に悪いことしたかな…。

見渡したが、彼女はもういなくて
僕はちょっと後ろめたい気持ちで
本を手に取った。


レジで、スタッフの方に聞いてみた。

「あの、この本…在庫ありますか…?」

「あー…この書籍はー…もうこれで最後ですね…。」


聞いたところで、
もうどうすることも出来ないが
どうしても僕は
その女性の事が気になってしまった。

きっと彼女もこの本が欲しかったんだろう。
僕みたいに、やっとの休みで買いにきたのかもしれない。

そんなことを思いながら、
書店を後にした。