富士山を登りきるとそこには右も左もなく優しく美しい景色がただただどこまでも続きます。不安と疲労と麻痺、に上乗せされる達成感。
でもどれも消えるわけではないのです。登ってくるまでの不安があれば下りるまでの不安もあり、疲労は募り、感覚はどこかしら麻痺しています。山頂とはある種異常におかれた人間が集まる場所と捉えられないでしょうか。相当言い方悪いですが

さて、異常状態におかれた人間の行動心理ですが、これは当然と言うべきか、平常状態に自分を戻そうとします。疲れたら休むし、暑ければ涼むし、喉が渇けば水を飲むし。

が、これが内面的な問題だとそう簡単にもいきません。上記のように肉体に発生した明らかな欠損には、同じように明らかな対処法があります。しかし、漠然とした不安のような、内面的なものに対しては、人間は明瞭な対処法を持ちません。つまり自己の内面を脅かす外的要因に対する処置です。

ここで、不安な状態の人間が行動する際の心理状態を考えてみます。不安とはつまり、その状況下において自分に何らかの不足があるのではないか、と考えてしまうことです。明日のテストが不安、なんていうのがシンプルな例だと思います。

さて、その不安に対して人間は埋め合わせをしようと行動するわけですが、ここで問題となってくるのが、「正常ではない思考による行動」ということです。かなり大げさな言い方ですが、きっと皆さん一度は、焦って選択を間違えてしまったことがあるでしょう。つまり現代社会に生きる以上誰でも異常状態なんて日常茶飯事なわけです。