残酷な映像ばかりみたいわけじゃない。
哀しい知らせばかり聞きたいわけじゃない。
でも、見えるものが、聞こえるものが無くなると
簡単に忘れてしまうから。
恵まれて過ごす自分が、単純な自分が
忘れてしまわないように、まだ焼き付けるように映像を見せてほしい。
残酷な現実を忘れないように。
留まっていたって仕方ないから
日常に帰っていかなきゃいけないけれど。
きちんと歩まなければいけないけれど。
その中で忘れないように
生きなくてはいけない。
言葉にしようと思ったら
どう書けばいいか
何を書けばいいかわからなくて
結局電源キーを連打して
書くことをやめました。
見てるだけじゃ何にもならない。
聞いてるだけじゃ何にもならない。
読んでるだけじゃ何にもならない。
だけど、いざ、かみ砕いて何か少しでも自分の中に残そうと思うと何も掴めなくて。
爪先まで冷え切って、寒いことにふと気がつきました。
言葉にするって大変なことです。
人間の中、自然の中の
本来なら形のない気持ちや事象を
己の中で形にするのです。
取り込んで咀嚼して、己の中に何かを残しながら再び外に出すのです。
外に出されていくものは綺麗なものばかりではなくて、まさに吐き出すという言葉が似合うこともあるのです。
それでも、自分の中に
何かを残したいのです。
りのが生きていきたいと望んだ世界はそういうところなのだと、ふと気づきました。
綺麗なものも汚いものも残酷なものも、取り込んで、痛みや苦しみにもがきながら形にしていく道を選んだのだと。
言葉にすることすべてにそんな重さがあるとは思いません。
でも、言葉には力がある。
痛みがあり苦しみがあり、涙が出るほどの幸せがある。
そんなことをこれから、りのは学んでいきます。
被災された方々。
あまりに未熟な私には
何を言葉にすればいいのか
わかりません。
言葉にしようとすればするほど痛みばかりが胸に刺さって埋もれていって、掴めるものがありません。
ただこれからの幸せをお祈りさせていただきます。