【知多半島/野間灯台】11月5日(木)
(一)
僕にはどうしても1度行ってみたいところがあった。
大学一年の時に行った研究サークルの夏の合宿が行なわれた知多半島の野間海岸である。
そこに在る白い灯台が観たいと長年思い続けていたのだ。
気功の先生になり、五十才前後の頃、10名ほどの気功の仲間たちと出掛ける計画を立てたのだが、生憎その日は強風で(少し雨混じりだったかな?)、野間大坊というお寺にいっただけで諦めてしまったのだ。
公共交通機関は、名鉄の「野間」から歩いて行く以外にはない。
しかも、どれくらい歩くのかもわからない。
僕の予想では内海駅から内海海岸に出るくらい(ほんの少し歩くだけ)だと思っていたのだ。
(二)
名古屋から名鉄急行に乗った。
富貴という駅から河和に向かう線と内海に向かう線とに分岐し、野間は内海の一つ前の駅だった。
駅の周りは田畑で商店街は勿論、民家も無い。
野間海岸は知多半島の西側である。
太陽の方向から見て、西南に方向項を定め、僕は歩き出した。
しかし、前方には山が連なっているではないか。
15分ほど歩いただろうか、何処かの会社の駐車場に入るところに立っていたおじさんを見つけ、道を訊ねた。
歩いていて初めて会った人である
(三)
「海岸は、あの山の向こうだよ。」
おじさんはそう言った後、山に入ると迷うだろうからと、少し遠回りだけれど、平坦な道を教えてくれた。
そして彼は、
「そうだなぁ。
歩くと40分くらいはかかるかなあ。」
とも言ったのだ。
(四)
どうしよう。
折角、ここまで来たんだし、風の無い穏やかな日なんだから、やはり行くべきだろうな。
僕は歩き出した。
既に汗は滲んできていた。
僕は上着を脱ぎ、鞄と一緒に手に持って歩いた。
やがて、道は海岸沿いに走る車道に出た。
僕は車道を離れて海岸の堤防に行った。
しかし、1度現れた海岸は途中で切れていて、再び車道に出ざるを得なかったのだ。
しばらく歩くと、オートバイに跨がってヘルメットを被ろうとしているおじさんがいたので、灯台は何処かと訊いてみた。
「前の建物に隠れて見えないけど、1?くらい先かな。」
と、ヘルメットのベルトを締めながら、おじさんは言った。
10分余りだな。
僕は車道の横に引かれた白線の内側を歩き、そして僕は念願の野間灯台に辿り着くことが出来たのである。
電車を降りて1時間が経っていた。
(五)
野間灯台は、岩場の中に立っていたという記憶だったが、岩場は少しだけで、周囲もそんなに広くない砂浜で、僕の記憶なんて当てにならないなぁと思った。
僕は写真と動画を撮った。
帰りも、やはり1時間ほどかかってしまったが、やわらかな日差しの中を歩けたので、結構、満足したウォーキングを楽しむことが出来た僕であった。