話題:あなたとの時間

生活のために買い物したり家事をしたりするのがすき。自分のためだけなら、もっと完璧に適当にやることも目的があると生活感が生まれる。無機質だったあたしのモノクロライフに色彩がつく。彼のためでもあるから程ほどに整頓し清潔さを保つ。ときに自分をあまやかし、すきなものを買ったり、たべたりする。プラマイゼロにちかづけ、なるべくプラスになるような生活をこころがけて。ふたりで完璧にはなれない。ふたりだとどうしても秩序が傾く。ルールや規律は、すぐに軌道修正され、ふたりにとってに書き換えられる。ひとりだと完璧に理想を突き詰めることはできるけれど、この優雅なだらけを知ることができない。ふたりだからひとりの時間が特別に優美にかがやく。ひとりで過ごすひとりの時間はあまりにも多すぎてもて余す。

いつだって早く帰りたくなる。ひとりで過ごしたくてでかけるのに、夜になると帰りたくて仕方なくなる。そのたびに、恋人ができるとふたりだけの王国に行ってしまい付き合いがわるくなる友人、と書いてあった角田光代のエッセイを思い出す。あたしにとって彼と暮らすアパートはふたりだけの王国なのかもしれない。彼を優先しすぎて疎遠になったわけではない友人たちも年々会うひとたたちが減っていく。学生時代に共有していた時間からずいぶんと遠い場所にきてしまったあたしたちは子どもではなく大人で、学生時代に共有した時間は思い出となりアルバムにおさまる。努力してつなぐ数時間の談笑よりも、会いたくて会うを優先させた報いである。