そろそろ下に行って、メシ食って支度。菜々子も叔父さんももう起きてる音がする。

ちょっとだけ寝た。
日記書くの、もうこれで本当に最後だ。

稲羽に早く慣れるために覚え書きをしておいた方がいいだろうと、何となくそう思って始めた記録だった。
書き始めはそれほど確固たる意思を持ってたわけじゃなかったけど、今となっては、書いていてよかったと思う。
読み返してみると全部懐かしくて、全部大事だ。

でも、稲羽を出た後は、読み返すことはないだろう。
何度も未練がましく振り返るようなものでもない。陽介とも、里中とも、天城とも、完二とも、りせとも、直斗とも、クマとも、一条とも、長瀬とも、海老原とも、松永とも、尚紀とも、クラスのやつらとか、廊下で擦れ違ったり話をしたやつら、先生方、商店街や近所で会った人たち、バイトで会った人たち、叔父さんとも、菜々子とも、会おうと思えばいつでも会える。
会えなくなってしまった人もいるけど。会えてよかった。会わない方がよかったとはどうしても思えない。誰のことも。
ここにいられてよかった。
ありがとう。

今日もいい天気だな。
いってきます。