ポケットの中身

2015/03/01 17:05 :拍手まとめ
旧拍手23(ロー総受け)

ハッピーバレンタイン!
って言っても二種類だけ…




サボロ


「ん。」
久しぶりに会いに行ったら、ローがぶすっとした顔で小さな箱を押し付けてきた。
箱はシンプルだけど丁寧にラッピングされている。
「え、何だこの箱…あっ!そうか!へへへ。」
そうだ、今日は確かバレンタインデー。
朝コアラから義理チョコ貰ったっけ。
こういうイベント事には興味無さそうだけど、いや、だからこそローから貰えたらすんごく嬉しい。
「何だよ。デレデレするな気持ち悪い。」
「なぁ、開けてもいいか?」
「好きにしろ。」
「やった!…って、あれ?」
さて、どんな手作りチョコレートが入っているやら。
楽しみにして箱を開けると、中にあったのはチョコレートじゃなかった。
「どうした。」
「チョコレートじゃねぇんだ。何だコレ。W7製のリップクリーム?」
小さな円柱状のそれを取り出して眺めると、ローは不機嫌そうな顔を更にしかめた。
「食い物じゃなくて悪かったな。」
「ローから貰えたらなんだって嬉しいさ!ただ何でリップクリームなのかなぁって。」
思ったことを言ったらローの顔が少し赤くなる。
それからTシャツの首周りのもふもふに顔を埋めて呟いた。
「お前の唇がさがさなんだよ。」
「あー、手入れとかしてる暇ねぇしなぁ。」
自分で手袋を取って触れれば、やっぱりがさがさだ。
というか、男で唇の手入れしてる奴なんて少ないんじゃないか?
あ、でもローの唇ってけっこうぷにぷにかも。
「…キスする時に気になってしょうがねぇ。」
恥ずかしそうに顔赤くするローが可愛くて可愛くてしょうがない。
「!!わかった!使う!大事に使うよ!」
「おぅ。」
早速キャップを開けて塗る。
爽やかな香りが鼻をくすぐって、これもローが選んでくれたんだよなぁ、って思うとやっぱり嬉しい。
「だからロー、コレが無くなったらまたちょーだい。」
「…ん。」
軽く触れるだけのキスをすれば、やっとローが笑ってくれた。




キャベロ


「今日は何の日か知っているか、トラファルガー。」
唐突に聞かれて眉間にシワを寄せる。
なんの日かなんて知ってるさ。
ただおれがそんなの意識するとか、気持ち悪いだろ。
「…知らねぇ。」
「そうだと思ったよ!だから僕からコレを贈ろう。」
煌びやかに包装された箱を差し出される。
プレゼントは嬉しいが(何だかんだ言ったっておれはこいつが好きだ)、鼻をつく香水の匂いに更に眉間にシワが寄る。
「あ?…いらねぇ。」
「え?」
「他の女の臭いをプンプンさせてる奴から受け取れるか。」
言えば得意気な顔をされた。
腹立つな。
「これは彼女たちが僕へ向けた気持ちだけど、僕が見ているのはトラファルガーだけだよ。」
「人気者の口は上手いからな。」
「フフフ、嫉妬かい?」
「誰がっ!」
殴ろうと振りかぶれば、その腕を掴まれて再度箱を差し出される。
「いいから開けてごらん。」
渋々箱を受け取って開けてみる。
包装紙をはぎ取れば、中から出てきたのはシンプルで小さな青い箱。
開ければ予想通りの物が入っていた。
「…これってよ。」
「薬指用だから。」
にっこり微笑むこいつの笑顔は、まぁ、綺麗だと思う。
そしておれはこの笑顔に弱い。
だから今自分の手の中にあるこのリングを捨てられないでいる。
「こういうのって嵌めた方がいいのか?」
「嵌めてくれたら嬉しいけどね、剣を握る時に邪魔だろう?」
「まぁ。」
剣を握る時どころか治療する時だって…邪魔とは言わねぇが違和感は半端じゃない。
「貸してごらん。」
言われたから渡せば、細いチェーンを取り出した白馬屋は何かし始めた。
「何してんだ。」
覗き込むとまた微笑まれる。
「これで邪魔にならないだろう。それにほら、お揃い。」
再度渡されたのはネックレスみたいにチェーンを通したリングだ。
白馬屋自身もちゃっかり同じようにしていて、嬉しそうに片割れのリングを見せてきた。
それが可愛いとか思うあたり、もう駄目だ。
「…ありがとな。」
「愛する君の為なら。」
擽ってぇけど嬉しいなんてなぁ。
まぁ、こんな日もいいか。



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