わたしと恋人が初めて2人で出かけた場所は、海の近くにある大きな公園でした。
その日は5月なのにすごく暑い日で、わたしたちはビールを片手に公園を歩き、たばこを吸ったり海に入ったりキャッチボールをしたりしました。
あの日の幸福さはいまでもよく覚えています。彼がゆったり歩くこと、くだらない話をたくさんしてくれること、ソフトクリームが好きなことなんかを、わたしはあの日はじめて知ったんです。

先週の土曜日、その公園に恋人と2人で出かけました。
公園は恋人の実家のすぐ近くにあるので、公園に行く前にご実家に少しだけお邪魔することにしていました。そのせいで、家を出た瞬間からわたしは胃が痛くて仕方なかった。途中の駅で待ち合わせた恋人は、そんなわたしを見透かして笑いました。それから、2人で並んで座って電車を待っている間、他の人には見えないようにこっそり手をつないでくれました。すごく優しい。
お昼ご飯を食べてから、いよいよ恋人のご実家にお邪魔しました。
わたしは基本的に人見知りで、しばらくは緊張してうまく話すこともできなかったんですが、でも最後にはすごく楽しくおしゃべりすることができました。
恋人のお母さんはニコニコしてすごく明るい人でした。わたしを気づかって話を振ってくだかったり、恋人のお兄さんの奥さんを名前にちゃんづけで呼んでいたり。お父さんは面白い人でした。恋人のアルバムを出しながら「こいつの高校のときの彼女見る?」って聞いたり、「隠し撮りさせてね」って言いながら堂々とわたしにカメラを向けたり。そういう感じがなんとなく恋人に似ていて、わたしは作り笑いでもなんでもなく心から笑えたんです。
本当にお2人とも素敵な方で、こういう素敵な家庭で育ったわたしの恋人が素敵なのも当然だなと思いました。あとから思い出して頭を抱えたくなるようなわたしの失言もありましたが、お邪魔してよかったです。楽しかった。
後日ご両親から電話があったときも「また連れておいでよ」と言ってくださったそうで、本当にわたしは嬉しくてたまりません!分かりやすく言うと幸せです!

1時間くらいでお暇して、今度こそ公園に向かいました。1年前と同じようにビールを片手に歩き回って、海に入ったり観覧車に乗ったりしました。1年前と違うのは、わたしたちが恋人同士になって、手をつないで歩いていたことです。
彼の歩く速度が好きで、手をつなぎたいなと思っても言い出せなかったことを思い出して、1人でこっそりニヤニヤしました。

夕方すぎに公園をあとにして、恋人の家の近くにある居酒屋でご飯を食べました。適当に入ったお店だったんですが、どれもおいしくて幸せだった…。恋人とゆっくりお酒を飲みながら話すのも久しぶりで、すごく楽しかったな。話した内容の8割くらいは下ネタだったんですが、それはそれでよしです。
家に帰ったあとはさすがに2人とも疲れていて、お風呂に入ってすぐに眠りました。となりに恋人がいて、その嬉しさを誰に気兼ねすることもなく思う存分味わえる幸福を思い出せるような休日でした。


いままで と これから。