にゃんにゃんにゃんの日記念です。
ちょっと雑な竹孫です。
Twitterでいおさんに「ネタ頂戴」と持ちかけたら「怪しい薬で猫化で猫化した人視点でうんぬん」と素敵なお題を頂いたのでそんな感じで。
いおさんにも「これお題にして五年縛りで書こうぜ」と巻き込んで二人でプチ祭り的な。
そんないおさんのにゃんにゃんにゃんの日記念は
【こちら】
クオリティよ高いいおさん(笑)
↓以下小話。
中途半端ですみません。
寒さの厳しい如月のある日、生物委員会の朝当番だった竹谷は太陽が昇る前に目を覚ました。
くわっと欠伸をして一度だけまばたきをする。
そのままグリグリと首を回していると、起き抜けの頭が強烈な違和感を感じたらしく竹谷の動きがピタリと止まった。
(俺…こんな夜目利く方だったか…?)
(なんで枕と布団がこんなにデカいんだ…?)
嫌な予感しかしない、という心境のまま顔を触ってみれば体験したことのないフワフワとした感触を感じる。
そのまま両手に目をやれば肉球が目に入った。
(……は?)
毛に覆われた手に驚いて思わず力を入れれば、手の隙間から爪がにゅうっと現れる。
それは猫の手そのもので。
「ニ゛ャァァァァァ!?」
自分の声が猫の鳴き声になっていることを混乱した頭が認識出来たことは奇跡だったかもしれない。
「当番の日なのに八の部屋から気配が消えないから部屋に入ったら八がいなくて変わりにこの猫ちゃんがいた、ってこと?」
「その通り」
「意味が分からないよ、三郎」
「私にだって分からないよ、雷蔵」
日が昇って暫くした頃、鉢屋と不破は竹谷の部屋にいた。
残念ながら竹谷の渾身の叫びは届かなかったようで、今もニャーニャー(三郎!)、ニャンニャン(雷蔵!)、ニャニャニャニャ(俺だよ俺!)と精一杯主張をしているが不破が戯れに体をさする手によっていなされてしまっている。
(このままじゃ埒があかねぇ)
横から手を出してきた鉢屋喉をさすられ思わずゴロゴロと気持ちよくなってしまった自分に少し落ち込みながらも、竹谷はなんとか意志の疎通をはかろうと頭を働かせていた。
しかし既に竹谷の所在への興味を失ったらしい双忍は、そのまま竹谷の部屋で猫を構い倒そうとしているらしい。
(くそう、なんとかならないのか…)
二人の手のひらの暖かさに瞳が閉じそうになるのを、まぶたをクシクシとこすりながら必死で耐えていた。
その時、竹谷にとって聞き慣れた音がこちらに近付いていた。
フイッと竹谷が顔を上げた瞬間、障子の向こうから遠慮がちな声が聞こえてくる。
「伊賀崎です。竹谷先輩はいらっしゃいますか?」
「伊賀崎孫兵か…八ならいないぞ?」
「……失礼します」
静かに開かれた障子の先には竹谷の後輩兼年下の恋人伊賀崎が座っていた。
部屋の中の蜂屋と不破にぺこりと一度頭を下げ、二人の間に収まった猫を見てスッと目を細める。
「おはようございます、竹谷先輩」
「ニャ……!」
「え?え?」
「何言ってんだ伊賀崎…」
「生物小屋にいらっしゃらないのでお迎えにあがりました。その様子ですと来て良かったみたいですね?」
「…ニャーニャニャ?(俺が分かるのか?)」
「無論です」
伊賀崎はきょとんとした表情を浮かべる鉢屋と不破に構うことなく、寄ってきた猫を抱き上げて障子を閉めた。
そのまま立ち上がり腕の中の猫を抱えなおす。
「あまり肩の方には近づかれないでください…ジュンコは分かっていないようです」
「ニャ…(分かった)」
「それにしても災難でしたね、竹谷先輩」
「ニャンニャン(俺にもなにがなんだか…)。ニャーニャーニャ…(原因も分かんねーし)」
「とにかく保健室へ参りましょう。こういった時はちょっと怪しげなお薬が鉄板です」
そうだよな、と答えて竹谷は首を捻る。
この後輩は何故自分と会話をすることが出来るのだろうか、と顔を探るようにじぃっと見つめた。
「何故分かるのか、ですか?」
「……」
「そうですね…。愛の力とでも言っておきましょうか」
間に合ったぁぁぁ!