マキマ

デンジくんもその他の人間も私には判別出来ない。なんて言うか、昆虫の顔は見分けられないよね?みんな同じに見えるんだ。だから匂いで記憶する。私は特別に鼻が利くんだ。明確な違いなんてそのくらい。なのにデンジくんだけいつもトクベツなのは彼の心臓がチェンソーマンのものだったから。……他に彼じゃなくちゃいけない理由はないよ。私が好きなのは"デンジくんみたいな人"って本人にもちゃんと伝えてあるし。勘違いしてくれてるならその方が都合が良いかな。私が望むものを与えられるのその心臓だけ。嗚呼、早く"チェンソーマン"に会いたいな。その為にも、デンジくんには沢山幸せになってもらわないとね。衣食住を与えて、仕事を与えて、愛情を注ぐ、私に与えられたもので満たされた彼を壊すのは飼い犬に首輪を嵌めるよりも簡単。

デンジ

最近ナユタのやつがオレみてぇな笑い方するようになっちまった。分かんねぇけど女の子はもっと上品に笑う方がいいんじゃねーの?とか思って複雑なキブン。子育てって難しいのな。なァんも考えずチェンソーマンとして悪魔をぶっ殺してた時の方がカンタンだったのかも。犬と猫の餌代ナユタの大学費に家賃、近頃の俺ァ金の心配ばっかしてる。マキマさんに拾われる前に戻った感じ。普通の暮らしができてる分今の方がマシなはずなのに………この生活が大事なのにチェンソーマンになりたいと思っちまう。なァ、サイテーだろポチタ。

蘇枋隼人

性格に差がある様に腕力に差があるのは当たり前のこと。自分より非力な者だけを選んで一方的に痛め付けるのは「喧嘩」ではなくただの「暴行」だ。其れを自分の実力だと勘違いして悦に浸ってるお間抜けさんほど見ていて不快なものってある?彼等はきっと自分がやられないとわからないんだよ。だからオレが大人階段を登る為の手伝いをしてあげる。猫が捉えた鼠を甚振るようにゆっくりじっくりと時間を掛けて。生かさず殺さず可愛がってあげるよ。弱いものいじめ?ふふ、そうだね、だけど自業自得でもある。誰かを虐げるくせ自分達だけは安全だって思い込んでいたのに、僕みたいなのに見つかっちゃって。
嗚呼とっても可哀想でちゅね?……ぼくちゃん。
続きを読む

デンジ

この間永遠の悪魔に水族館に閉じ込められてからなんだけど、気付けばあん時出会ったペンギンのことばっか考えちまってんだ。テレビでペンギンの特番やってると始まりから終わりまで観てるし…ペンギンが表紙の雑誌と見詰めあってたりさ。はァ……また会いてぇな。

吉田ヒロフミ

幼子に絵本を読み聞かせるのと限りなく近いイメージで難解な文章は出来うる限り省いて説明したつもりだったのに彼には全く伝わらなかった。想像を何倍も上回るその馬鹿さ加減に呆れ果てながらも何方か一方の選択を迫られても両方を得ようとする彼の強欲さがちょっぴり羨ましい、なんて笑えるね。
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ