「…嬉しいんだけど、さ
なんで?
記念日でもないのに」


彼に一本の薔薇の花をもらった

ちょっとだけ申し訳なさそうな顔と一緒に

「いや、その………ごめんっ」

「え、なにどういうこと?」


いきなり頭下げられても困るんですけど

「…謝るようなこと、したの?(笑)」

笑いながら言うけど
内心泣きそう
浮気?それとも別れたいとか?
いやでも
薔薇の花買ってきてくれてるんだから
別れたいはない…よね?



「…合コンいってきました」

「え?合コン?」

「い、いやでも
そっから何かあったってわけじゃないし
…だから…嫌いにならないで」


「……」

「怒ってる?
…ごめんっ
お願いだから別れると、わっ」


「…ギュッってして」


「…え?あ、うん」

彼の手が背中に回る
彼の胸に頭を預けると
聞こえてくる心臓の音が心地良い
あ、泣きそう
てか泣いてる

「…うぅっ」

「泣いてるのっ!?
ごめん、お願いだから嫌いにならないで」


「ちが、
嫌いとかじゃなくて
ほっとして、なんか涙が」


「ほっとして?」

「浮気とか
別れよとか
言われるんじゃないかと思って」


「んなわけないじゃん
合コン行っといて言えることじゃないけど
俺にはお前しかいないから」

背中にまわされた手に力がはいる
ちょっと痛いくらいに強く抱きしめられる


「ん、私も」





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