創作で、少し書いていたものです。
ちょっと自分を追い込むために少しずつ上げていこうと思います…()
登場人物が少ないラブコメ(?)ファンタジーなノリです。
よろしかったら追記から…
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創作で、少し書いていたものです。
魔法使いさんと私
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迷子になる。小さな子供にはよくあることだ。
私もその例に漏れず、真っ暗な森の中を一人で彷徨っていた。大人とはぐれた訳ではない。始めから一人でこの森に来た。継母に言われてお使いに行った帰り道だ。慣れている道だったはずなのに、迷った。そもそも家を出た時間が遅かったのだ。だから、日が暮れてしまってなんの明かりも無い、まともに整備されていない道を歩いていてとうとう道に迷ってしまった。
あの意地の悪い継母は、こういうしょうもない意地悪を衝動的にする。病弱で寝込んでいることの多い父には、心配をかけたくないから相談もできない。
「はぁ……」
私はため息をついて立ち止まった。今更だが、闇雲に歩いても家に辿り着ける訳でもないし、とりあえず野宿でもして、明日また見慣れた道まで歩いていけたら良いなと、適当な木の傍に腰を下ろした。野犬とか、人を襲う獣が出てこないことを祈る。だって足はもう限界だ。出会った時点でもう終わりだろう……。
嫌な想像を振り払って、空を見上げた。こうなった以上腹をくくって寝るしかない。きっと夢見は悪いだろうけど。
そう思って目を瞑った途端、近くの草むらがガサガサと音をたてた。
「!?」
明らかに、風に揺られた音じゃない。何か、いるんだ。
私は息を殺して、少しでも抵抗できるように、近くの枝を持って身構えた。
何かが光っている。一瞬獣の目が光っているのかと思ったけど、明かりはひとつだけ揺れている。ランプの光のように思える。もしかして、人だろうか。怖い人、盗賊とかじゃないと良いけど。
そうして、彼は姿を現した。
「――――!!」
おばけかと思った!
思わず悲鳴をあげそうになったけど、何とか堪える。
彼は何も言わない。私は、何も言えない。
必然的に沈黙。私は彼を(顔が良く見えないけど、多分男の子だ)、睨みつけるように見つめた。真っ黒なローブに頭から足まで全身が包まれて、顔だけが見える。その顔も前髪が長くて良く見えない。背がひょろっと高くて本当におばけみたいだ。
「君、誰?」
「へっ?」
まじまじと見つめていると、彼から話しかけてきた。私は不意打ちでまともに返事ができなかった。問答無用で襲い掛かってくる訳じゃないみたいだし、背は高いけど子供みたいだし、私は少し警戒を解いて恐る恐る答えた。
「私、ヴィオレッタっていうの。お使いの途中だったんだけど、道に迷っちゃって、……」
そこまで言って、涙がこぼれてきた。私、思ったより不安だったみたいだ。知らない人だけど、話の通じる人に出会ってほっとしたからかな。
「あ……だ、大丈夫?」
うろたえてる声が聞こえる。
「う……っ、暗く、なっちゃうし、全然道分かんないし……!」
ぽろぽろと勝手に出てくる涙を拭いながら、何とか説明しようとするけど、上手くいかない。
「そうか……大変、だったね。えーっと……」
彼は、戸惑った様子で口を開いた。
「僕は……この森に住んでいる魔法使いだよ」
……魔法使い?
あれだけ溢れてきていた涙が止まる。
「夜が明けるまで、家に泊まっていく?」
私はそうして魔法使いの男の子と知り合った。
性 別 | 女性 |
誕生日 | 8月17日 |
血液型 | A型 |