秋の夕暮れ

ムラサメの‥
という百人一首の歌がありますが、今はたぶんそれより遅い秋でしょう。

秋の日の日暮れどきは、どうにもこうにも切ない気持ちになるものです。

ゆうこ今日は、一度も通ったことのない道を通り、会社の5階から見えるウェルシア薬品に行きました。
会社へ行く道から会社を通り過ぎて自転車を走らせる。
不思議な気持ち。

なんでウェルシアかというと、先日短時間で帰省した時、実家の隣の弟の家で雑に昼食をとったのですが、その時にウェルシアで買ったパンを食べたのです。
ゆうこが何となく食べたパンが、妙に美味しかったのです。
ダリ男(猫)にも分けてあげました。
ペロッと食べました。

あのパン何だったかな〜と、探しに行ったのでした( ̄▽ ̄)

果たしてパンはありました。
お茶のペットボトルも購入し、再び自転車で走ります。
早くしないと日が暮れる。
本当に今の時期の日暮れは早い。容赦ない。

しかしながら、平和な我が身に幸せを噛み締めています。

ゆうこは意外にも、毎日神様に感謝の意を伝えています。
もちろん宗教活動などは一切していないし、何処にも入信していません。

明日は、夫とともにお墓参りに行きます。
急に言い出したのは、たぶん息子の結婚が決まったからもあるのでしょう。
お義母さんも、きっと目が回る展開だと思います。
本当に申し訳ない。ですが、夫さんには心から感謝しています。

明日も良い日でありますように。

煎餅の塩

夫がお客さんにもらったというお煎餅を食べたら、急速に父親を思い出しました。

父は2015年の1月、頭に血管芽腫ができて入院、手術をしました。
三賀日から吐き気が酷く、胃が悪いのだろうと胃カメラを飲んだり検査をした結果、最終的に頭の嚢胞だと判るまで2、3週間かかったので、ろくに食べられずに食欲も落ちていました。

けれど、手術をすると回復も早く「何食っても美味い」と、食欲も旺盛に戻り、直ぐにでも退院できそうに思えました。
元気な爺さんだなあと、感心しました。
ゆうこは手術して2日目の夕方、仕事帰りに見舞いに行きました。
「毎日来てくれてご苦労さんだね」
「来るよ。いちばん近くに住んでるんだから」
という会話がありました。
夕方のTV番組を見て、ジャイアンツの冬場のキャンプのニュースに、古い映像が混じり「小松という投手はフォーム変えさせられたんだ」とか何とか詳しい事を言っていました。
ゆうこが会社で貰った煎餅を
「それ、その煎餅食べる」
と言うので笑って手渡しました。
もうすぐ夕飯の時間だというので、ゆうこは「また明日」と、病室を後にしました。
それが、元気な父を見た最後でした。
エレベーターで一階に降りると、院内にコンビニが入っており、ゆうこは一瞬「父の好きな揚げ煎餅買って、引き返そうか」と考えましたが、もう夕飯の時間だと言っていたし、明日にするかと、そのまま帰りました。

その夜遅くに、手術跡に再出血が起き、意識を失ったのです。
直ぐに、再手術が行われ、翌日の夜には父も目を覚ましましたが、合併症に苦しむ重篤な状態でした。
何日もそれが続き、ようやく色々な数値が落ち着いてきた時には、何もできない、寝たきり起き上がれない人になってしまいました。

あの時の煎餅。父の笑った顔。

煽ぎ続けるゆうこに「悪ぃな」と苦しい息の下から言った声。

胸を締め付ける思い出。

また書いてしまった。でも、憶えていたいんだ。どんな小さなことも忘れたくない。

明日は夫の母の墓参りに行く事になりました。
近くの銀杏が綺麗なのだそうです。

もう会えない、死に別れた人に挨拶に行くのは、尊いことですね。
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