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【未来】マイハッピーエンディング

今日は愛妻の誕生日だ。彼女の好みは熟知してると言っても過言ではないが、たまには趣向を変えてみるのも悪くない。子供が寝付いたらとっておきのワインを開けてお祝いしようか。プレゼントは喜んでくれるだろうか。
そんなことを考えながら歩いているとあっという間に家の近くの通りまで来た。マンションを出てマイホームに移り住んだのは記憶に新しく、ちょっとしたイングリッシュガーデンは自分で言うのも何だが、なかなか趣味がいい。

リラにも言われたが、俺は家族に甘いらしい。むしろ甘くせずにはいられないと言いたい。

「パパ!ママ、パパ帰ってきたよ!!」
「おかえりなさい、お父さん」

どたどたと走る音が聞こえたと思ったら、すぐに玄関が開く。飛びついてきたのは愛息子と愛娘。

「ちゃんと良い子にしてたか?」
「うん!パパ、プレゼント買った!?」

神妙な顔つきで声を顰めるローズに、何だか自分の小さい頃を見ているようだと思った。一方、ローズより六歳年上のヴォルフラムは年の割には大人びていて、俺よりもクレアに似ているのではないかと思うことが多々ある。しかし家族想いの良い子で、近所の女の子からモテているのだとリオが言っていた。これは将来有望に違いない。

「おかえりなさい、ユーティン」
「ただいま」

笑顔で出迎える妻の腰を抱いてキスすると、リオは真っ赤になって「子供の前だよ!」と反論する。可愛いなぁ。

「パパ、ローズにもちゅーして!」
「可愛いなぁ。ヴォルフもこっちおいで」
「僕はこどもじゃな」
「来なさい」

二人を思い切り抱き締めてキスをし、これでもかと言うくらいに頬をすり寄せた。楽しそうに笑ってリオがキッチンに消える。彼女の誕生日なのに料理を作らせてしまって非常に申し訳ない。俺の要望でローズと一緒にケーキまで焼いてもらった。ヴォルフラムには庭のバラを何本か詰んでおくように言ってある。ささやかだが、きっと彼女も喜んでくれるだろう。



マイハッピーエンディング
(これからもずっと)


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