気まぐれの愛

温かい気持ち(3)
2017.3.15 00:04
急に何かに引っ張られるような感覚に足を止めた。
ホージーが私の手を引っ張っているのは一目見てすぐにわかった。
「……っ…ジャスミン、もう少しだけ…居てくれ」
いつもクールな姿ばかり見ているせいか…弱々しい姿にクラりと来た。
「…モチのロン、寝るまで一緒にいるわ」
小さく頷くと少しだけぎゅっと手を握った。
それから、ゆっくりとベッドに向かって手を引いて歩くと大人しく着いてくるホージーに何処か嬉しくなった。
ベッド手前で手を離すと自ら布団へ潜り込む。
「ね、ホージー…私ね、ホージーがすごく心配なの。人一倍努力はするけど、人一倍危険な事もするでしょ?」
「ジャスミン…俺は常にスーパークールで居たいだけなんだ」
思っている事を口にすればいつものホージーらしい答えが返ってくる。こんな時くらい頼ってくれてもいいのに…そんな事を考えていたらふと手を握られた。
「ホージー?」
「……ジャスミン、俺は…すごく安心してる」
「え?…なに故?」
「隣に居てくれるのがジャスミンだからだ」
思わず握られた手を握り返す。きっと他の人じゃ落ち着かないって事だよね…そう自分に言い聞かせた。
「グローブ…外してくれないか?」
「でも……外したらホージーの心を読んじゃう」
それだけは避けたい。何を思っているかが怖いのではなく、仲間として掟のようなものだから。
「問題ない」
言葉に少し戸惑いながらもゆっくりとグローブを外した。それからまたホージーの手を握った。一気に流れ込むホージーの記憶や感情。
そっと私の手を両手で包み込む熱い手に我に返る。
「ホージー…ごめん。色々と見えちゃった…」
「構わない、傷が付くような事はないはずなんだが」
「うん。大丈夫だった…でも、ただ一つだけ気になる事が…」
それは紛れもなく温かい気持ちだった。側に居てくれるのが私だから安心する…という言葉に納得出来るような感情。
「…こうでもしないと、思うように言葉に出来ないなんて、卑怯だよな」
「ホージー…私、ホージーが好き」
「……先に言うつもりだったんだが…俺もジャスミンが好きだ」
「それじゃあ…その…」
「俺と付き合ってくれないか?」
恥ずかしくなりながらも小さく頷く。
恋人になれた瞬間、本当に大好きだなぁって改めて思った。ずっと前から気付いていた自分の感情を今打ち明けた瞬間、急に熱くなって視線を逸らした。
いつの間にか力が抜けていたのか引き寄せられたのに気付かぬままホージーの腕の中に居た。
温かい…初めてボスに抱き締められた腕の中とは違う、恋人の腕の中。

言葉なんて要らない、ハートだけがあればいい。
ホージーの好き、確と受け止めました。
大好きだよ、ホージー……ずっと一緒に居てよね。


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