話題:創作小説
こんにちわー!
漸く、短編も終わります^^;
サイトのお引越しと合わせて少しコンテンツの整理もしようと思います。
もう少し、すっきりした見栄えになると良いなぁ。
ではでは、追記からどうぞです★
「…はぁ」
重い溜め息と共に、アリルは天の国に舞い戻った。
(悩みが晴れる処か、更に深まったな…)
暫く結界の傍の芝生に座り込んでいたアリルは、ふと空を見上げた。
ぼんやりしていて気付かなかったが、いつの間にか空が白み始めていた。
(あの子はもう眠ったかな…?)
初めて見た女王の素顔は、アリルの心の深い深い部分に刺さっていた。
恋愛対象として見てはならないと、幾ら頭から追い出そうとしても、それは叶わなかった。
(もっと…、もっと色んな表情(かお)を見たい…)
そう思い、そして次の満月を楽しみに思い馳せた。
「…そっか。コレが、“恋”なんだな…」
彼女の事を想うだけで、胸の奥が締め付けられる。
彼女の声を思い出すだけで、身体の奥が熱を帯びる。
「参ったな…」
月の光を纏ったセリアは、どんな女神や妖精よりも儚く美しかった。
―…しかし。
アリルは自分の領分を犯す事は出来なかった。
自覚してしまった恋心は、誰にも知られる訳には行かなかった。
セリア本人は勿論、婚約者のティニアにも。親友ジャミルにも。
―…創世神ヴェスパには、もっての他だ。
満月の時だけ覗かせる恋心。
それだけで十分だ。
彼女を立派な女王へ導くのが、尊崇すべき自身の使命だ。
だから…。
だから、多少の手厳しさに恋心を隠せるなら都合が良い。
「誰も気付いてくれるなよ…」
立ち上がり自邸に向かって歩き出す。
辺りはスッカリ朝になっていた。