!*アテンションプリーズ*?
ブラカウさんにまつわる小話集
Twitterで呟いた小ネタをSSにしました。
おつまみみたいな話にしようと心がけました(笑)
晩酌の肴にでもしてもらえれば幸いです。
ブラカウさんに飢えていて、なんでも来いっ!というかた向け。
!以上をご理解頂いたうえで、読んでくださる女神さま!
ブラックアウトにまつわる3つのお話
#ペットショップにて。
自動ドアが開いて、サウンドウェーブがそこに足を踏み入れる。
「いらっしゃいませ」
ショックウェーブは丁寧に接客した。
「本日はどのようなドローンをお探しですか?」
一瞬ショックウェーブと目が合い、またフイとそらして、サウンドウェーブは事務的に言った。
「仕事を共にできるドローンを探しているんだが」
ショックウェーブはあくまで丁寧に、
「ではドリラーなどいかがでしょうか」
と提案した。
「いや、隠密活動に使いたいのでドリラーは不適当だろう。あの鳥型とジャガー型をくれ」
「鳥と猫の組み合わせはおすすめできませんねぇ。ここは一つドリ」
「ドリラーはいい。」
「……で、どうだった?」
いつものバーでいつもの席でいつものエネルゴン酒を飲みながら、ブラックアウトは隣の同僚に話しかけた。
「ああ、よかったぞ。」
サウンドウェーブはブラックアウトのものより度数は低いが高い酒を一口飲んで、続けた。
「軍用ドローン研究所、通称“ペットショップ“。ものすごくドリラーを勧められた。」
「ショックウェーブ博士はドリラー愛好家だからな。でもドローンの知識はすごいんだぞ」
「ああ。お前がいうだけある。あのキュートなモノアイにも心奪われた。」
「そうだろう……え?」
「一目惚れだ。」
「そ、そうなのか。あー…」
まさに一目の男に惚れた同僚に、なんと言っていいかわからず、
「が、がんばれ」
ブラックアウトはそれだけ言っておいた。
・Twitter140字元ネタ
ペットショップにて。店員衝波「いらっしゃいませ」客音波「仕事を共にできるドローンを探しているんだが」衝波「ではドリラーなどいかがでしょうか」音波 「ドリラーはいい。あの鳥型とジャガー型をくれ」衝波「鳥と猫の組み合わせはおすすめできませんねぇ。ここは一つドリ」音波「ドリラーはいい。」
#美酒の対価
「本当に貴重な酒なんだ」
そんな言葉を耳にして、ブラックアウトはそちらを向いた。
あいつは同僚たちにボトルを見せびらかしながら自慢していた。
どんなに自分が苦労して酒を手に入れたか、ぺらぺらしゃべるのに夢中のその背中に、つい悪戯心がわいた。
これから臨む少々難易度の高い任務を前に、気分が高揚していたのかもしれない。
それがあとで何千倍の後悔になるとはつゆほども思わず、ブラックアウトはあいつの片手のグラスをひょいと盗って、中の酒を一気にあおった。
なるほど自慢するだけはある味だ。
一瞬呆気にとられて、次の瞬間烈火のごとく怒りだしたあいつを背に、ブラックアウトは出立した。
帰還したブラックアウトに通信をいれた兵の声は上擦っていた。
かくいうブラックアウトも、その内容に耳を疑った。
なんと、メガトロンが直々にブラックアウトに謁見するよう命令してきたという。
慰問に訪れたメガトロンが、ブラックアウトの任務の功績を賞するので、宿泊している部屋まで来るように。との通達だった。
任務の疲労など吹っ飛んだ。
メガトロンのいる部屋を目の前にして、ブラックアウトは緊張で速くなるスパークを宥めるために排気した。
「ブラックアウト参上いたしました。」
「入れ。」
スパークが早鐘を打った。
入室してすぐ、ブラックアウトは膝を折って頭をたれた。
「楽にしろ。ブラックアウト」
「は。」
顔を上げたブラックアウトは、しかし少し怪訝な表情になった。
敬愛するメガトロンのとなりに、何故かあいつがいた。目が合ったあいつはニヤリと笑った。
「今回はよくやった。ブラックアウト。子細はこれから聞いている。」
あいつを顎で差し、メガトロンは続ける。
「さて、褒美はなにを望む」
あいつになんの子細を聞いたのか、という疑問より、褒美、という言葉に驚いた。
メガトロンからの直々の褒美など、滅多にないことだ。
グルグルと回る頭のブラックアウトをよそに、あいつが横やりを入れてきた。
「閣下」
メガトロンとブラックアウトの視線があいつに集中する。
ブラックアウトは嫌な予感がした。
「こやつはかねてから、閣下をお慕いしております。日頃褒美には接吻が欲しいと。」
「ふむ。」
一体なにを言っているんだ貴様はそれではまるで俺が閣下に懸想しているようではないか俺はあくまで閣下を敬愛しているのであって
などなど、あいつへの言葉がブレインを占めるなか、ゆっくりと近づいてくるメガトロンにブラックアウトは声も出せずに混乱した。
クイ、と顎を上げられ、いよいよブラックアウトは追い詰められた。
唇が重なる。
メガトロンとキスをしている。
その到底信じられない事実に、離脱しそうなブラックアウトのスパークはしかし、次の瞬間差し込まれた舌の味に現実へつなぎとめられる。
あの酒の味がした。
そうして、ブラックアウトはすべてをさとったのだった。
何故自分だけが異例の賞賛を受けたのか。何故あいつがメガトロンの私室にいるのか。あいつの言動。
絶望で虚ろになる視界に写ったあいつが、悪魔のような微笑みで声を出さずに口を動かした。
『ざまあみろ。』
一杯の酒の仕返しにしては、割に合わない報復だ。
ブラックアウトはそう思った。
・Twitter140字元ネタ
美酒を手に入れたと自慢するあいつの手から一杯かっさらい、俺は少々難易度の高い任務に旅立った。完遂した俺を閣下は誉めて下さった。褒美は、と仰る閣下の横のあいつが「閣下、こやつは日頃閣下の接吻が欲しいと」とのたまい、「ふむ」と反論の暇なく閣下が唇をあわせてこられた。あの酒の味がした。
#プレイボーイと潔癖症
警察官にはプレイボーイが多い。
と、地球のインターネットの情報のなかにあったようななかったような。
バリケードがパトカーをビークルモードに選んだのは必然か偶然か。
偶然だ。と、ブラックアウトは無理やり決めつけた。
バリケードはブラックアウトの恋人だ。
だが、仕事上、バリケードは複数と付き合いがある。
仕事だ。あくまで、『仕事』。
ブラックアウトとて腐ってもディセプティコン幹部だ。
メガトロン様への貢献のためならどんなことでもする所存だし、恋人の仕事が不愉快だからといってやめろというほど分別のない若僧でもないし、自分がバリケードにとって特別だという自信も余裕もあった。
それでも、ブラックアウトは思い出してしまう。
あの悪夢のような日を。
それはまだふたりが恋仲になる前のことだ。
どういう経緯かは忘れてしまったが、仲間うちでメガトロン様の話題がでたので、その場面だけ覚えている。
しかし、内容は、ブラックアウトがあまり好まないものだった。
曰わく、『メガトロン様ってモテるよな』。
フレンジーはおどけた仕草で、
「まー、メガトロン様くらいの方なら選び放題よりどりみどりだろうけどヨ。」
それは少し違うな。と、ブラックアウトは思った。
「そうでもねえだろ」
反論したのは意外にもバリケードだった。
「メガトロン様くらいの方になったら、階級や体裁もふまえた相手じゃなきゃならなくなる。あと、後継ぎとか。」
その通りだ。と、ブラックアウトは心の中で賛同した。
権力、名声を手にいれたものは、不自由と表裏一体だ。
珍しいヤツと意見が一致した。このときまだバリケードを同僚のひとりとしか見ていなかったブラックアウトだった。
しかしフレンジーはチッチッとその細い指をふり、
「頭かてぇなぁバリケード。メガトロン様はその上をいく!世間がどう思うか想定できているうえで自分の思い通りをやってのける!」
確かに。と、周りも納得した。
身分が違かろうが立場的に不利な相手だろうが、あの方が本気を出せば、真剣交際でも一晩限りでもしっぽすら掴ませずにできてしまうだろう。
それだけの力量がメガトロン様にはある。
まあでも、と、フレンジーは肩をすくめた。
「メガトロン様の気が向いたらのはなしだけどな。選び放題だろうが、選ぶのはメガトロン様自身なんだし。」
「まあ結局そうだよな。モテるったって好みがあるし。出来ればオレはモテたくないね。」
「おや?バリケード殿が珍しいことを!」
ブラックアウトはまたもバリケードと同意見だった。
モテる、というのは不特定多数に好意をむけられることだ。
ブラックアウトはそれを望まなかった。
好意をもってもらうのは悪いことではないが、できれば自分が許容できる範囲、もっと言えば、自分が好いた相手にだけモテたかった。
別に純朴なわけではない。
自分の興味や範疇から外のやつに好かれても面倒くさいし、トラブルのもとにもなるからだ。
こいつもそういう思考のやつだったか、と、ブラックアウトはバリケードを見た。しかし、次のバリケードの言葉にブラックアウトは頭を抱えたくなった。
「好きだって言ってくるやつ全員相手にするの、大変なんだよ」
つまり、バリケードの主張はブラックアウトとは真逆の意味で『モテたくない』ということだった。
そういうやつだった。
そういうやつと恋仲になってしまった。
現在進行形の状況でも、ブラックアウトは不思議でしかたなかった。
俺は何故こいつと?
あの時こいつとは恋愛の価値観が一生噛み合わないとおもったのに。
いまだって、ひさしぶりに重なった休日で会っているというのに、バリケードは「バリケード様よ!」と遠まきに囃す新人兵たちにウィンクを飛ばしている。
はあ、とブラックアウトは嘆息した。それに気づいたバリケードが、からかうように言った。
「どうした色男」
「お前のそのノリにはついていけない」
「なんだ、妬いたか?」
「いちいち妬いていては、そのうちお前を串刺しにしてしまうだろうな」
バリケードはふふ、と笑って、
「では、ここらで見せつけとくか」
とキスを仕掛けてきたので、ブラックアウトはひょいとよけた。
「なんだよ」
「ほかの奴とした口にしたくない」
ブラックアウトがそっぽを向くと、声だけで意地悪く笑っているのがわかような口調で、バリケードが言った。
「閣下と間接キスだぞ」
ぐるんっ、とブラックアウトはバリケードを振り返った。
「冗談か?」
「お前が決めろ」
ブラックアウトは憮然とした顔で、
「二度とするな」
と言った。
「それはキスのことか?それともメガトロンさまとのことか?」
「お前が決めろ。」
今日のデートは失敗だ。
去っていくブラックアウトを見ながら、バリケードは思った。
(やれやれだ。)
メガトロン様の話題は出すべきではなかったが、仕事での付き合いを遠回りに責めてきたブラックアウトもブラックアウトなので、まあ痛み分けといったところか。
自分にとってブラックアウトがどんなに特別な存在か、ブラックアウトは全然わかっていないと、バリケードは思う。
バリケードは仕事で恋をするが、ブラックアウトは仕事に恋をしている。
(どっちに妬いてんだか)
それでも、ブラックアウトはバリケードの恋人だった。
ブラックアウトがメガトロンを敬愛するのは必然だが、バリケードを好きになってくれたのは偶然だ。
だから、バリケードは今日もブラックアウトにキスを仕掛ける。
・Twitter140字元ネタ
一応付き合っててバリさんがキス仕掛けるんだけど、ブラカウさんそっぽ向いちゃって「?」ってなったら「他の奴とした口にしたくない」っていって、バリさんが「閣下と間接キスだぞ」ってニヤニヤしながら言ったら「二度とするな」って言われて、(どっちに妬いてんだか)って自嘲気味に笑うバリさん。
END