2018.7.31 [Tue]
敵はどこに
しかし、意外にも少女は起き上がった。
「敵兵……こちらを狙っている」
負傷した様子すらなく、平然としている。
魔術師は驚いた。
確かに先ほどの攻撃を受けて倒れたはずだ。
だが目の前の少女は、顎の辺りで切り揃えたまっすぐな黒髪が
倒れたはずみに乱れた以外は、至って平気な顔をしている。
少女が着ている黒いワンピースの胸の一部分が破れていた。
先ほどの攻撃魔法が当たりはしたが、何らかの方法で防いだようだ。
魔術師の判断は早かった。
少女が生きているなら、人数に加えて作戦を立てるまでだ。
「防御魔法は私が張る。それと、索敵と反撃だな」
「多分向こうから撃ってきた」
撃たれた胸を手で押さえながら、ある方向を少女が目で示す。
枝葉を繁らせた木々がある、身を潜めるのに好都合な場所を――。
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