ひっさしぶりに少女漫画読んだ影響でピュアでしかしすれ違うじれったいもの書きたくなりましてね…。
というわけで閃と白鈴のssです。
根気が無くならなければ続いてどんどん書いて行く予定…。
もしかしたら訂正入るっかもなんで前読んだのと違ってたらすんません。
こうして私的に彼女と会うのは初めてだ。
さすがに毎朝来られて毎回違うプレゼントに立ち話が1ヶ月も続くとなると何かしら手を打たなければ、となる。
どちらも仕事が非番の今日、白鈴をカフェに誘った。
待ち合わせを指定したのは自分からだったのと、朝から妙に落ち着かなかったのとで、閃は予定時間の30分前からブラックコーヒーを片手に淡々と脳内でシュミレーションをしていた。
金髪ロングヘアーで、まるでゲームから出てきたような美男である閃はいつも周りからチャホヤされるのだが、今日はそれを睨む余裕さえなかった。
思えば、白鈴花屋で働いていて、そこで花を買った俺に惚れたこと以外、彼女のことを何にも知らない。聞くに聞けなかった。
どんな家に住んでいてるのかとか、兄弟はいるのかとか。なら、友人は?
それを言うなら、自分のどこを見てそんなに好きになったのだろうか。
そして、俺がただの狼だと知ったら…。
「……」
嫌な気持ちがどっと溢れてきた閃は、チラリと店内の時計を見る。
…11:06。予定時間より6分オーバーしている。毎朝8時丁度に家に来る彼女が遅刻をしていた。
しかしこれは計算の内だった。
コーヒーを一口飲む。
するといきなり、店内からヒールの音が無造作に、そして荒々しく響いた。
視線を自動ドアに向けてみると、妖精のような白のワンピースを着た女と目があった。
いつもより大人びて見えるのは化粧のせいだろうか。髪も横に流して洒落込んでいるが、紛れもなく白鈴だった。しかし荒く、息を切らしている。
閃と目が合った途端、彼女は一瞬笑顔になっが、直ぐにしおらしくなり、申し訳なさそうに近づいてきた。
「ご、ごめんなさい閃様。私としたことが、遅刻してしまいました…」
閃はどこか腹が立った。
「いい。気にするな。…それより座れ。飲み物、コーヒーでいいか」
「あ、いえ、私が」
「コーヒーでいいかと聞いている」
「あ、はい…」
特に声をかけることもなく、白鈴をその場に置き去りにし、逃げるようにしてカウンターに向かった。
遅刻したことが原因ではない。
では何故、こんなに腹立たしいのだろう。
苛立たしいよりかは、胸が締め付けられているようだった。列に並ぶことさえ気が重い。
実はこの白鈴を目の前にするといつもそうだった。
興味本位で近づいてくる女性には平気で言えるのに、何故か白鈴に言った後は気が重い。同じ"興味本位"なはずなのに。
…まさか、惚れたのか…?
その考えに至った瞬間、敗北感という波が立ち、彼を襲った。
同時に自己保存の欲求が邪魔をしてくる。
「……お客様?」
注文を取りに来た店員が、閃の顔を見て申し訳なさそうに声をかけてきた。
気付けば順番だった。閃は一瞬目を丸くするがすぐに持ち直し、コーヒーを2つ頼んだ。
コーヒーが出るのを待つ間、チラリと席の方を見た。
カフェで1人、女が何も飲まず待っている姿はただでさえ人目を引く。
特に携帯もいじらず、唯一の手荷物であるバックを抱えて座っていた。
チクリと、胸に刺さる。
間もなく、コーヒーがカウンターから出される。品物を出す早さばかりを重視するファストフード店は閃を待ってくれない。急かされているように感じつつ、閃はその場に従った。
コーヒーをさし出すと、彼女はたじろぎながら礼を言った。
いい、気にするな。と返す。
その後ガムシロップとミルクを渡すと、少し意外そうな顔をした。
「いらなかったか?」
「い、いえっ」
本日2度目の「ありがとうございます」を聞く。今度は少し元気だった。
いらなければ自分のに入れるところだったが、割と役に立ったようだ。
何か言いたそうな口をしながら、彼女はコーヒーにガムシロップとミルクを垂らし、かき混ぜる。
引き続きブラックコーヒーを飲む閃はただ黙って相手の出方を伺っていた。
「あ、あの…」
「なんだ?」
こちらを見ようとしない白鈴に軽い憤りを感じながら、閃はその鋭い双方の目をなるだけ尖らせないようにして見つめる。
「用件は、何でしょうか…?」