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幸村×真田




うざったい蝉の鳴き声が俺らの耳に染み付き初めて、夏が来たことを改めて実感する。

ああ、なんて耳障りなんだ。

そう呟いたところでお前は頷くことしかしないんだろう。お前は冷めているから。

そんなことない。

キッパリ言い切るお前。
だからそういうとこだって。自然と溢れた俺の笑みにお前は不思議そうな顔をした。

そう、冷たいお前なんて嘘だ。
お前は誰より暖かい。




テニスを一度失い、生きる意味が分からなくなってしまった俺にお前はただ手を伸ばしてくれた。そして光をかざしてくれた。
今の俺は真田がいるから存在する。

真田はそれを理解しているのか。いやしていない。
彼のことだから全て無意識に、俺に言葉をかけ、喝を入れ、そして光をかざした。



「暑いな。体調は大丈夫か幸村」
「平気さ。もう昔の俺じゃない。」
「む、そうか。無理はするな。」



うちの部員は無理をする傾向にある。と溢す真田。
真田は真田でみんなを大切にしている。当たり前のこと。
おれだって、皆大切。
けれど、けれど。



「…好きだ。」
「ああ、テニス部員は変わったやつらだがどうも居らんともの足りん。」
「俺もだよ。」



この感情は、もう少しだけ抑えて。
仲のいい部員でいよう。

きっと蝉が鳴きやむ頃にはそんな思いは消えるだろうが。

古風男子のハーレム物語A

古風男子A



真田弦一郎は3―Aと書かれたプレートがぶら下がる教室にいた。
高い声が充満し、同じ教室であるのに普通科より広く感じられるのは、一人一人のとる面積が少ないからだろうか。
真田のいたクラスのほうが日当たりはいいはずなのに、この3―Aは空気が軽い。



「真田弦一郎だ。」



教卓の上で名前を名乗ればパラパラ起こる拍手の中、担任に指示された席に向かえばお約束の一番後ろの窓際。

隣には目立つ銀髪、仁王雅。
風紀委員である彼にはよりいっそう、眩しく見えた。



「貴様なんだその髪色は。」



仁王雅は小さく息を漏らして、一瞬だけ真田を睨み直ぐに目をそらす。
ああ、またか。とでも言いたげに。



「地毛ではなかろう。」



フワリとなびく髪の毛は地毛ではないかと錯覚してしまうほど滑らかで美しいが、真田の目は誤魔化せない。



「靴下も指定のものでない、制服の着方も、」
「鬱陶しいのぅ。」



仁王のハスキーな声が真田の言葉を遮る。
女にしては少し低めで囁くような声だが、耳によく染み込む声だ。



「お前さんはここの風紀委員じゃないきに。言われる筋合いもなか。」
「なんだと!!」



仁王の挑発するような言葉が真田の勘に触ったのか、真田の声はより一層大きなものになる。



「真田、仁王、その辺にしておけ。」
「……」



教室中に響いた凛々しく落ち着きのある声、柳蓮の声は二人を黙らせるのは十分である。
また、彼女の涼しげな目元やピンと延びた背筋、全てが威圧するものてあった。



「真田は確かに風紀委員に所属することになるだろう、しかしこの場で声をあげるのはいただけない。」
「む、すまない…」
「雅もだ、相手の気に触るような発言は控えろ。」
「プリ」



柳によるお叱りを受けてる緊迫したムードのなか、授業開始の間抜けなチャイムが鳴り響き、教室の生徒はガタガタと自分の席につき終わった頃に先生がやって来た。
それと同時に仁王は真田を避けるかのように顔を机につっぷした。

古風男子のハーレム物語@

真田、柳生、ジャッカル以外は女体注意





20XX年

まだ桜が散り始めたくらいの季節だろうか。
肌寒いような、気がしないでもない。



そんななんとも言いがたい天気の中、立海大学付属高等学校商業科の校門の前に佇むのは、ある一人の少年。立海大学付属高等学校普通科の真田弦一朗だ。



彼は普通科風紀委員長として、商業科の風紀委員との交流、商業科との親睦を深める。
その為に生徒代表交換の生徒となったのだ。




彼は生真面目に被った帽子を外して黒い髪を風になびかせた。




彼と対照的な銀が、窓からチラリと覗く。







「…噂の、ねぇ。」




銀髪の女は不機嫌そうに艶やかな唇を動かした。














そして彼は踏み出した。
そう、彼は変える運命なのだ。
まだ誰も知り得ない、運命。
勿論、銀髪の少女も巻き込まれることは知らない。





柳生←仁王♀(古男番外)


柳生←仁王♀
(古風男子のハーレム物語の内容)
ハイソに萌えたからつい




「雅最近ルーズやめたんだな!!まぁ俺はそっちのが好きだけどよぃ!」



ショッピングセンターの真ん中で唐突に発せられた声に「ああ、そういえば、」と自分の足をピーンと伸ばしてみれば、黒のハイソ。
少し、膝より数センチ下で彼女の髪とは対照的な黒が伸びている。



「文ちゃんはルーズのが似合うとんのぅ」
「げ、俺最近ニーソブーム到来中なんだけど、」
「肉に食い込んどるぜよ。」



嘘だけど。



彼女の最近気になっている少しムチッとしたコンプレックスを攻撃してやれば、あわてて近くにあるガラスに姿を映して確かめ出す。
その姿は間違いなく女で、誰のために嘆くのか、まるわかりだ。



「う、うう、太りにくい体質なはず、」
「大丈夫じゃ、女の子はちょっと肉があるぐらいがベストっちゅうしの。」



クルクル、クルリ。
微妙に動くスカートから覗く太ももが色っぽいのに文ちゃんは気づいていないだろう。



「(………あ。)」



ガラスに移る黒。
今までとは違う、自分の姿。



(ルーズのが落ち着くのう。)



そういえば、なぜ自分はルーズを止めたのか。
ふと理由を思い出せば、フッと笑みがこぼれた。自嘲を含む、



(自分も女じゃな。)




『おや、仁王さん。やはり貴女はそちらのほうが可愛らしいですよ。』




ふと浮かぶ真面目な彼の一言。
自分はいまでも真に受け続けているわけで、文のことを馬鹿だと心のなかで思っていたこともあったが、結局一番馬鹿なのは自分だったわけだ。


「馬鹿じゃのう。」


白石×財前?


頑張ってる白石とそんな白石に気付いてて無理をしてほしくないけど、言葉にできなくて変なこと言う財前





四天宝寺の聖書


俺はいつからかこう呼ばれとった。


自分で言うのは何やけど、勉強もできるし運動神経だっていい。ルックスだって申し分はない。

パーフェクトで無駄のない俺。

先生に誉められ、親に期待され、周りからも信頼されていた。俺はそれらに答えようと必死になった。ひたすら、ただ答えるためだけに、誰のためでもなく。



「部長、楽しいんすか?」



いつからだろうか、先生には当然のように振る舞われ、親は今以上を求め、友達からは嫉妬の眼差しを感じるようになったのは。



「ん、楽しいで。」



そしてそれらに気づかない振りを決め込んだのは。

完璧なのが当たり前だ、完璧でなければ白石蔵ノ介やない。



「部長、きしょ。」




白石蔵ノ介は完璧から成り立つ。努力をしなくても、点に恵まれた才能の持ち主でなくては、何もかもできなくては。

せやけど、この年になれば気付いてく。
誰も俺をみていない。
むなしい、残酷なこと。



そう、俺はまるで。



「蝋人形みたいっすわ。」
「……いや、マイナーな例えやな。」




せやけど何故かしっくり来て、俺ん中のモヤモヤは一瞬晴れた気がした。
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