*はじめに*
登場人物紹介などは、『オリジナル小説『純血の殺し屋6』紹介』と表記されている日記をクリックした次のページに書いてみました。
小説は、小説と言うより脚本のように誰が何を喋っているのかが分かるようになっています。
単に、作者自身が混乱しないようにというために。←
誤字や内容の綴りにおかしな点がありましたら、すみません。
最後に言うのも変ですが、興味があったら読んでみてください。
あ。
この作品は、ミステリーサスペンスです。
あと、キャラクターの設定が少年漫画風になっています。
あと『♪』……お許しください人( ̄ω ̄;)
最初なので
話題:創作小説を付けます。
……あれ?前にもやった覚えが?
次から、『純血の殺し屋』の第6章です⇒
story.1:『秘密を共有』
30階建ての高層マンションの最上階一室------------広いダイニングルームから、ケータイの着信音が鳴り響く。
その部屋の住民である青年はすぐに着信音に気付いて、結び途中だったネクタイを一先ず後回しにして名前を確認する前に電話に対応した。
伊藤:「もしもし?
------------って、"ご主人様"さんじゃあないですかぁ。
どうしたんですか、こんな朝っぱらから…」
財務省の若き財務官を務める伊藤諒紀------------またの名を、連続殺人鬼、槐の共犯者で通称・犬の仮面の男『アートロ』は、槐事件の黒幕からの電話に対応する。
近くのキッチンには、秘書でお目付け役の遠山敦敏がいるにも関わらず…。
遠山:「……………。」
伊藤:「水嶋さんが槐事件の捜査から外された……って、マジ?」
伊藤の怪訝そうな表情を見て、遠山は一瞬ピクリと反応する。
彼は、少なからず槐事件の裏を知る人物……というわけか。
だが、すぐに素知らぬふりをしながら遠山は朝食の準備に取り掛かった。
すると、深刻な表情をしながら伊藤はこう口にした。
伊藤:「……つまり、僕ちんは事前に引き受けた役目を率先しろということですね。------------いやぁ、だって水嶋さん面白い人だったんで………つい、ですよ!」
伊藤の話しを聞いて、遠山はホッと胸を撫で下ろす。
伊藤はしばらく、槐事件に関わらないということに。
遠山は思った。
このまま最後まで、自身の復讐の時が訪れるまで……このままでいれたら。
そしたら自分は、伊藤と同じ分だけの嘘と罪を背負える。
秘書として、世話役として、何より幼なじみとして、伊藤を守ることが自分の役目であると、遠山は思っている。
そんな自分だから伊藤は、自分に復讐のことや槐事件のことを打ち明けた。
なぜなら自分は、"彼"と同じくマインドコントロールに掛かりにくい。
そして絶対に口を割らない。
だからこそ、槐事件の黒幕は黙って遠山のことを容認しているのだろう。
でなければ今頃、こんなに平和な朝を迎えてなどいない。
伊藤:「けど、僕ちんって存在は建前って可能性もありますよ。
……第6の槐の子、確か障害がありましたよね。それを何か利用出来ないかな………例えば?」
伊藤はそう言うと、楽しげな表情で言った。
伊藤:「槐事件の外で事件を起こすという案はどうですか」
ガタンッ!
そんな大きな音に驚いて、伊藤がこちらを振り返る。
遠山は包丁を手から滑らせた。
包丁は幸いにも流し台に落ち、遠山に怪我はない。
遠山は口パクで『大丈夫』と伝えると、伊藤はこちらを心配しながらも電話に対応する。
伊藤:「水嶋さんは刑事課の人間なんで、イベント関係には出てこない。
殺人とまではいかずとも……例えば、第6の槐を何者かがストーキングしてるとか。
水嶋さんなら単独で動きますよ。そっちは"あの子"に任せたらいいんじゃないですか?鳥の仮面の人は槐事件の方に投入するでしょう?」
伊藤の提案から、少しの間に沈黙が出来る。
そして、"ご主人様"からの容認を得たのか伊藤はにこやかな表情を浮かべる。
伊藤:「んじゃ!あとは任せてください。------------了解。」
伊藤はそう言ってから着信を切ると、すぐに心配しながら遠山に近付いて話し掛けた。
伊藤:「あっちゃん、大丈夫だった?本当に怪我は平気?」
遠山:「大丈夫、大丈夫!
……ちょっと、びっくりしただけだって。」
遠山は伊藤から目を離しながらそう言うと、料理の続きを始める。
そんな遠山の様子を見た伊藤は、俯いた表情をしながら小さく口にした。
伊藤:「巻き込んで……ゴメン」
遠山:「何を今更…。
決心したことなんだろ?…だったら、オレも今更否定しない。」
遠山はそう言うと、ふと視界に映った人物を見て言ってきた。
遠山:「それは、このことを知っている全員で決意したじゃん」
伊藤:「あ…」
遠山の視線を追って振り返ると、伊藤もその存在に気付く。
寝室から出てきたのは、現在世間では行方不明と報道されている槐事件の第5の槐・西原悠一の姿だった。
西原悠一がこの家にいるという事実は、伊藤と遠山以外はご主人様と"極わずかな人間"のみ。
遠山:「朝食取ったら、オレたちは仕事行くけど……いつも通りお手伝いさんも来るから、良い子で待っててね?」
遠山がそう言うと、悠一は「はい」と少し緊張したような表情で返事をした。
伊藤はそんな悠一に近付くと、ポンッと頭に手のひらを置いてから言った。
伊藤:「おはよう、悠一くん。よく眠れた?」
悠一:「はい。馴れた…」
伊藤:「そかそか!
今日の朝食も美味しそうだよ〜♪さっさ!椅子に座ろう!」
伊藤は悠一の後ろに回り、テーブルまで誘導する。
テーブルは透明ガラスタイプ使用のもので、テーブルクロスが敷かれている。
おしゃれな食卓の間は、この部屋で暮らし始めてからもうすっかり見馴れた------------が。
悠一:「第6の槐って、視覚障害の人だよね。ほら、杖を付いてた……」
伊藤:「悠一くんはよく覚えてるねぇ。そうだよ〜、薫くんね。」
伊藤からそう聞くと、悠一は深刻そうな顔を浮かべながらこう口にした。
悠一:「狐が、埼周平さん…。
犬が、アートロ…いや、伊藤諒紀。猿が、酒田雅春……」
悠一は急にそう口にしながら、暗い暗い空間での記憶を掘り起こした。
当時は名前も素性も分からなかった仮面を被っていた人たち。
悠一の記憶では、鳥は男性。
もう一人の兎の仮面の人物は----------。
伊藤:「悠一くん。あっちゃんの前でそれ以上は禁句だよ〜。
まぁ、気になるのは分かってるんだけど…」
伊藤はそう言ってから、悠一の両頬に手のひらを充ててから、自分の方に顔を上げさせる。
伊藤:「悠一くんは深い関係者だし、心配事は随一教えてあげる。
だから、お願いだから逃げないでちょうだいね!?」
悠一:「わっ…分かった!
分かったから、泣きそうな顔しないで!」
遠山:「………………。
オラ、2人とも。朝食が出来たから食べるぞー」
遠山は少し間を開けてからそう声を掛ける。
朝食をテーブルに並べ終わった時、2人が椅子に座った。
「頂きます」と声を揃えて食事をするのも第5の槐事件以来、既に6日目である。
秘密を共有する者同士だからか、不思議と普通に接し合う2人とは対象的に、先のことが心配でならない遠山だった。
------------To be Continued...