私、今の職場を以前派遣として働いてたとき、リーマンショックで一旦クビになって
急いで働き口探さんなって駆け込み就職したのが、素麺の箱を作る工場やった
そこは古株のおばはんがえらそうにしてて、あと、定時制高校の女の子たちと、ペルー人が住み込みで働いてるとこやった
残ってる人はみんな口コミで、ハローワークから来た人はすぐ辞めてまうようなとこやと言うたらどんなとこか検討がつくやろう
この就職難の時代、残ってるとこはなんかあると思て正解である
まぁ人間関係はおばはんがえらそうにしとる以外はみんな友好的やった
定時制もペルー人も分け隔てなく仲良かった
ペルー人のエルサさんは私と同じ素麺の箱の蓋の印刷を主に担当してる仲間で、私の名前を一生懸命覚えてくれて、ハグまでしてくれた、ほんまにええ子やった
顔面ピアスだらけで、髪の毛カラフルなV系黒ちゃんも、こんなおばちゃんとメールやデートまでしてくれた
まぁなんで辞めたかってーと、ここにおったらいつか死ぬなと思たから
素麺の箱の蓋は素麺の箱同様、木で
その木に、まぁペンキみたいな塗料でシルクスクリーン印刷するわけだ
ペンキやから臭い
そして塗料を薄めるためのシンナー
はんこを洗う洗剤
わかる人はわかるやろうけど、最近問題になってる印刷会社の洗剤による胆管ガンでの死亡が多発しとるアレや
塗料もシンナーも有機溶剤やから、ほんまに体に悪いってわかるくらい一日中仕事してたらクラクラし、塗料を溶かすくらいの強い洗浄力の洗剤は皮膚につくと、赤くただれ、一瞬でやけどになった
ここにおったらほんまに取り返しのつかんことになると
ペンキの臭いが染み付いた服
作業服を入れるロッカーは弁当も入れてて
ペンキの臭いが充満してるロッカーの弁当を食べ、
ペンキの臭いは車ん中まで染み付いて
一日中、ラリった状態やった
そんな工場の換気は家庭用の換気扇で、ガスマスクみたいなマスクもなかった
それにここは素麺も作ってて、素麺の道具はみんな苛性ソーダで洗っていた
苛性ソーダとは、水かお湯をかけるととけて気体になる
ドライアイスみたいやけど劇薬で、目に入ると失明し、洗剤と同じく皮膚に触れると火傷する
そんな危ないもんを素人に扱わせていたような会社である
そこに働いていた人の中に、施設から紹介されて長い間働いてる女の子がいた
見た目、中学生くらいやけど24やったと思う
そして見た目と同じくらい精神的にも幼かった
その子は赤ちゃんポスト同様、お母さんに捨てられて、施設で育てられていた
名前も施設でつけられ、お母さんという存在もピンとこん環境にずっとおった
自分と同じく捨てられた子といっしょの部屋で生活する環境なんです
家族といっしょにおったことないんです
そして、私がそこにおる間に、突然お母さんと名乗る人が現れたみたいで
でも、やはり育てることいっしょに暮らすことも困難な人やったらしい
目を離すと暴れて、ずっとどっかに縛り付けんとあかん人らしい
みんな育てられんいろいろな事情もあるし
ほんまの親だけが子供の幸せとも限らんのは私のケースでよくわかっとる
やから親に感謝を強要したりする人は無責任やなぁと思う
とりあえず、今の会社がバイト募集してたから、こんな命の危険があるとこから早く抜け出したかった私は、また入り直した
ので、その子はもう30くらいやろうから自立しとるかもしれんし、親元に返されとるかもわからん
さて寝ようか
話題:ドラマ全般