染様と夢主
本文
――彼はいつだってそうだ。
「…小太郎君、くさい」
「…………」
うちに来て早々、冷たいアイスグレーの髪から漂う女物の甘いシャンプーの香り。
それを不機嫌なトーンで指摘すればニィと口角をあげられて憎らしさが倍になる。
「(…しかもまたこの前と違う匂い)」
ラブホテルのものなのか、女の子の私物なのかは知らないけれどいつもフラフラしている彼のことだ。
どちらもありえるし、そんなことを知ったところでなにがどうなるわけでもない。
責めたところで反省なんてしないだろうし、元から私は責められる立場でもない。
その女の子たちと同じ、彼の遊び相手の一人なのだから。きっとうちに泊まった翌日会う子も私と同じことを思うんだろう。
だけど今日はあまりにも濃厚な匂いなのでつい指摘してしまった。
したところでやはり彼の反応は誤魔化すでもフォローするでもなくこの程度だったけれど。
彼はいつだってそうだ。
初めて会った時も、その次に会った時も、清々しいくらいに自由で飄々としていて。けれど人一倍静かなくせに自然と人を寄せ付ける。特に女の子を。
「…変なの、」
「…………」
抱き締められていた体勢からソファに押し倒される。
そのまま首に噛みつかれてつい出た言葉で彼はまた口角を吊り上げた。
それを知っていて彼を受け入れている私も十分変だし、どうしようもない。
まったくお似合いの二人だ。…全然嬉しくないけど。
「ごめんね、今日女の子の日だから」
「………」
こっちの気がのってないのなんて無視で胸元を愛撫してくる彼を押し退けながら言えば、即座にスカートの中に手を入れられて下着の上から局部を撫でられ嘘がバレる。
ええそうですね、これは経血じゃなく愛液ですね、そうですね。
ちょっとキスして触られたくらいで下着まで濡らしてんじゃねーみたいな嘲笑い方しないでもらえますか、本当に嫌な男!
「もう、大っ嫌い」
「…………」
それを知られたのがあんまりにも悔しいからそういって顔を背けたら、直ぐ様追ってきた唇に呼吸を奪われる。
同時に宥めるように優しく局部を撫でられてまた体の奥から何かが溢れたのを感じた。
どうせ撫でるなら頭を、とは思ったけれど彼にその発想を求めるのは無理な気もするし何度となく重ねた体は意思とは関係なく火がついてもうどうしようもない。
だから今日もまたいつ終わるかも知れない不毛な関係に溺れることにした。
独占欲なんて邪魔でしかない。
私はセックスがしたいだけ、決して彼自身に欲情しているわけではないと自分に言い聞かせて。
独占欲なんて邪魔でしかない、好きになってはいけないのだ。こんな男は。
エロ抑えたけど染様は大体こんなイメージ。
ちょろちょろフワフワしてるけど何度も関係してるのは夢主だけとかだと萌え。で、夢主がもう疲れたって会ってくれなくなってからやっと気付く染様とかだと尚萌え。
プライベッターより