未完成短編です。
特殊な設定のため観覧注意、複数のキャラが獣人化。(人に犬の耳とか尻尾)
主従で飼い主とペット化。
小太郎あまり出ません。









犬か猫かと聞かれたら、昔から犬が好きだった。
従順で頭がよくて素直。飼ったことはないけれど私が犬に持つイメージとしてはそんな感じ。


「ねぇねぇ、孫市!ボール投げて!ボール!俺ちゃんととってくるよ!ねぇ!」

「少し黙っていろ、カラス」

「えー!ちょっとは話聞いてよ、ねぇってば!まーごーいーちー!」

茶色い毛並みの尻尾をパタパタと揺らしながら、孫市の足下にすがりつくのは慶次君。
孫市が最近飼い始めた大型でお洒落が好きなワンコだ。彼女いわく、忠犬にはかわりないけれど空気のよめなさがたまにきずらしい。

「俺、ボール好きなんだよ?孫市も大好きだけどボールも!」

「ああもう煩い、ほら。向こうで遊んでいろ」

そう言って孫市が振りかぶって投げたボールは遥か彼方へ飛ぶとキラッと光って姿を消した。
そしてそれを嬉しそうに追いかける慶次君を見送ってから私達はそばのベンチに腰掛ける。

「すまないな、五月蝿い奴で」

「ううん、そんなことないよ」

その位置から見渡せる休日の公園には他にも色んな愛犬を連れた飼い主達で溢れかえっている。

「佐助!某はふりすびーがしたい!」

「はいはい、よく飽きないねぇ」

芝生の上で赤い服を着た男の子のワンコがもう1つの尻尾にも見える長い後ろ髪を揺らしながら、飼い主らしきオレンジっぽい茶髪の男の子からフリスビーを受け取ってはしゃいでいる。

「政宗様、このような場所で寄り道をしている時間はございませんよ」

「わかってるよ。ちっとくらい息抜きさせろよ」

その反対側の散歩道には怖い顔をした大型のワンコと眼帯の男の子が歩いている。周りのワンコにガンをつけながら歩くそのワンコはさながらドーベルマンだ。
ちょっと普通に怖い。

「で、話とはなんだ?」

「ああ、うん。あのね、実はお爺ちゃんが私に犬を預かって欲しいって言ってきて…」

「犬を?だが祖父の犬といえばあの黒くてでかい…」

「……うん。あの犬」

私の祖父を知っている孫市にはそれがどんな犬かは特定が出来ている。
黒くて大きくて、しかも極端に愛想がない。
お爺ちゃんとご近所の松永さんにしか懐かない無口なワンコ。

「名前は確か小太郎といったか」

「そう。でね、その小太郎が明日からうちに来るんだけど…」

「また急だな」


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「ひ、久しぶりだね、小太郎君!今日からよろしくね!」

「………」

ダメだ。明らかに機嫌が悪い。
出されたお茶やお菓子に見向きもしないで頬杖をついたまま、大きな耳も赤い髪の間にへたりと寝ている。もちろん尻尾も動いていない。

朝早く、お爺ちゃんちまで迎えに行って連れて帰ってきた小太郎君は不機嫌だった。
それもそのはず、お爺ちゃんが外出するときはボディーガード兼お世話係りとして毎回同伴していた彼が今回は留守番を命じられた。
一応、忠犬の彼は従っているものの内心は納得出来ていないらしい。

「あの、今回は小太郎君も息抜きだと思って!ほら、お爺ちゃんって勝手なことするからお世話大変でしょ?また次は一緒に行けると思うし!」

「………」




みたいな。
二人で散歩したり水遊びしたりお風呂したりご飯食べたり、犬耳小太郎。
ちなみに豊臣さんちの二兵衛犬とか今川さんちの家康犬とか色々います。