時間は戻ってはこない
だけどそれが時に背中を押してくれる





「あ〜も〜どうしよ」

「なぁちゃん落ち着いてよ〜」



朝からずっとこの繰り返しなのは
昨日かずみんとの電話で、悩んでる私に
明日朝からなぁちゃん家行くねって
来てくれたのにあまりにも優柔不断すぎて
今はかずみんの方が泣きそうで



そもそもこうなったのも、
夏休み入る前に突然橋本くんに
花火大会誘われたからであって、
可愛い浴衣なんて持ってないし
お母さんにも恥ずかしくて言えないし


「なぁちゃんはなに着ても可愛いよ!」

さっきからずっと慰めてくれてるかずみんも
ほんとは友達と花火大会に行く準備したいのに
ななのために手伝ってくれてる


「よし、ななこれにする」


前にちょっとだけ聞いたことのある
橋本くんが好きだって言ってた青の浴衣
確か部活のチームカラーが青だったかな?


「うん、やっぱりなぁちゃんは可愛い」

「ふふ、ありがとう」

「橋本くん喜ぶよ〜〜」

「も〜やめてよ〜」


ほんとはどんな反応されるのかも
どう思ってくれるのかも
気になってはしまうけど
そんなこと考えてる余裕もなくて


「あ、なぁちゃん、もうすぐ時間だよ!」

「え、あ、うん」

「頑張ってね」

「ありがとう」



夏休み入ってからずっと考えて悩んで
でもその瞬間はもう目の前で
久しぶりに会うその人の顔を思い浮かべて
口元が緩んでしまうのは少しでも会いたいと
思ってくれてたらいいなって期待してるから












きっと悩んだ時間は無駄じゃない
そうあなたが言ってくれる気がして