BASARA光就。
久々にBASARAをプレイしたら、元就様と変態だけが同名の武器を所持してることに改めて萌えた。
手入れというほどでもないが、武具に触れたくなる時がある。
精緻な技に触れると、戦の記憶をも鮮やかに呼び起こす。
一戦に費やされた調略、合戦、用間、謀略の数々。脳裏に同じ戦況を再び現すか、あるいは全く違う手を考えるか。そうして描き起こされた戦は、いずれ来る新たな戦の素描その一線として、智将の謀略の糧となる。
それが彼の気晴らしだと知ったなら、どこぞの出来人はさぞや渋面を作ることだろう。
そして、いまひとりは、智将を埋め尽くす戦の匂いに、歓喜するであろう。
「お久しく」
武器蔵がひとつ、罠となって己を呑み込んだか。元就は、どこかしら冷静に、そんなことを思った。いかなる時もとりみださないのは、もう身に染みてしまっている。
「ようも、……」
生き恥をさらせたな、と言外ににじませるため息が、明智にはこの上なく喜ばしい。この方は何一つお変わりない、と。
「久しぶりに、あなたのお顔を見たくなりました」
ほんとうにお変わりない、と語りかける声は、まったく奇妙に穏やかだ。
「目的は果たしたであろう、疾く去ね」
「お心にもないことを仰る。言って聞かぬことは、あなたがよくご存じでしょう」
元就は、その言葉を無視して、桐箱のひとつを開けた。もとより、これを眺めるために来たのだ。
声に出さずとも、傍らに置いてある死神が歓喜の笑みを浮かべている様が、よくわかる。
銘を“死壊”という。精緻な象嵌と彫金の、美しい刀である。
「ひとつ、問う」
「何でしょう」
「……ようも我の手を見抜いたな」
束まで美しい刀を手に取ったとき、初めて握る気がしなかった。まるで、長く戦場へ携えてきたかのように、元就の手に吸い付いてきた。薄気味悪いほどに。
「お気に召したようで、何より」
元就の柳眉がひくりと動く。自分には幾分か感情の片鱗を見せてくれる、それが明智には堪らぬ悦びだった。
「あなたのお姿を見ていれば解ります」
新鮮な血の匂いに彩られた、まばゆい光輝、舞うような斬撃。
「あなたが味方もろとも敵の首を刎ねる様を思い返しながら、造らせました。これをあなたが握ったとき、どのように敵を斬り伏せ、味方を薙ぎ払うのか……それを思い起こすのは、とても愉しかったですよ…とても、ね」