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パール


今まではごく当たり前だが女としか付き合ったことはなかった。
もちろん女しか抱いたことがなかった。


そんな俺に出来た初めての同性の恋人。
ふらっと一人で行ったバーで出会ったんだったっけ。

背が高くて、手が大きくて、強面で、頬に傷があって、まるでヤクザみたいで(あ、本当にそっち系の仕事してるって言ってたような)俺より二回りも年上で。

大人の魅力っていうんだろうか。成り行きで付き合い出してから1ヶ月で俺はもう夢中になってた。

本当に大好きで、本当に愛してて。だから、男同士だけどそうなっても良いかなって思ってた。
本当に好きだったんだ。
それなのに。




「む、無理だ……」

彼らしくない、本当に怯えた声色で三成は言った。

今日、恋人である左近とそうなるであろう事は薄々分かっていた。
いつものバーではなく、今日は左近の部屋で飲みましょうと言われた時には気付いていた。

でも、此処まで来たのは左近なら構わない、と思っていたからだ。
左近とひとつになりたいと思っていた。

左近の部屋で次々と酒のボトルを空にし、お互いほどよく酔った所で背にしていたベッドに三成は押し倒された。

ああ、するのか。
男同士なんて、ましてや受け身の側なんて初めてだから、と小さく呟けばすぐさまその唇を貪られた。

幸せだ、と三成は思う。口付けをされている時も丹念に愛撫を施されている時も、幸せに満ちていた。

三成が身を起こし、お返しにと左近の前を寛げた。

口での奉仕なんて今まではされるばかりで、上手くできるか分からないけど、と言うとその大きな手で頭を撫でられた。

それが嬉しくて三成は顔を綻ばせる。
しかし、左近の下着をずらしその中に存在する左近自身を見て、今まで僅かに紅潮していた三成の顔はみるみるうちに蒼白になった。

「ひ……ッ」

あまりの驚きに三成の小さな悲鳴が部屋に響く。
男性器など、自分にだってついているのだから嫌というくらい見慣れている。違う、左近のそれは明らかに普通ではない。
大きさからして三成の比ではないが、何より驚いたのはその形状。
茎に沿うように小さな丸いものが無数に埋め込まれている。


「ああ、真珠ですよ」

驚く三成の肩を寄せ左近が言った。

「し、んじゅ…?」

左近の逸物を前に固まったままの三成を抱き起こし再び褥に押し倒した。そうされる間も、三成の顔から困惑の色が消える事はない。

「埋め込んでるんですよ。だから三成さんの可愛らしいお口にくわえて貰うのはちょっと厳しいかもしれませんね」

でも、こっちなら。
そう言い左近は未だ触れていなかった三成の後孔に指を這わせた。

「む、無理だ……」


華奢な体がガチガチと震える。
いくら男との経験が無いからといって行き着く先くらいは分かる。
本来受け入れる場所でないそこを貫かれるというだけでも恐怖を感じるのに、そんな大きな、もはや性器といえるのかというレベルのもので貫かれたりしたら…。
きっと壊されてしまう。

「は、入らない…そんな大きな……ッ」

「処女みたいなこと言わないで下さいよ…ああ、後ろは処女なんでしたっけ」

だからと言って気にした風でもなく、三成の体はうつ伏せに返され背中から体重をかけられる。こうされてしまえば三成にのがれる術はない。

「ほら、力抜いて」

「ん……ッ」

いつの間にか潤滑油をまぶした指を後孔に挿入される。

一本しか差し込まれていないからかあまり痛みや違和感はなく、三成の前も衰えることなく天を仰いだままであった。

「あっ、や…あっあ」

胎内をぐるりと広げるように指を動かされると、潤滑油に濡れた入り口からグチャグチャと厭らしい音が発せられた。

指を2本に増やしても三成は、ひっ、と短い悲鳴を上げただけで左近の指に柔らかく絡みつく。

「随分、従順ですね」

左近が背後で小さく笑う。

指の腹で内壁を擦ってやるとビクビクと三成の背中が痙攣した。
それは苦痛によるものではなく間違いなく快楽によるものだった。

「あ、ゃぁあ…ッ、さ、さこん…」

ぼろりと三成の目から涙が零れた。
頭の中を支配しているのは与えられる快楽と襲い来る恐怖。
しかし、今は快楽がわずかに勝っている。

「もう良いようですね」

ズルリと左近の指が抜かれ、三成は息を吐く。
顔がみたい、と聞こえるかも分からない程の小さな声で言えば、どうやら聞こえたらしくぐるりと体を反転させられた。


「力、入れないで下さいよ」

あ、と三成が意識する前に散々弄られた後孔に左近の逸物が当てられ次の瞬間には狭い粘膜の壁を押し開いていた。

「ひッ、ああぁあ…ッ」

ゴツゴツと、埋め込まれた真珠が胎内を抉る。
中の善い所を掠めるのか、押し開かれる激痛と共に痺れるような快感が背筋を走った。
叫び出してしまいそうになる感覚に思わず傍にあった枕に噛みつき、喘ぎを殺す。

「はっ、あ、うぅ…ッ」

やはり痛みが大きく三成の表情は苦痛そのものだったが左近は構わず根元まで押し込む。

三成の後孔はグロテスクな左近の一物をくわえ込み哀れな程に引きつっているが、良く濡らしたお陰か切れたりはしていあないようだった。

左近は三成の汗で顔に張り付いている髪を梳いてやり顎を掴んでこちらを向かせた。


「痛かったですか?」

「もう…ッ、もぅ嫌だ、ぁ…」

グズグズと鼻を鳴らし泣きじゃくる三成の額に口付けを落とし力無く投げ出された脚を抱えなおす。その際に一際結合が深くなり、三成は小さく悲鳴を上げた。


「動きますよ、俺もあまり余裕ないんでね…ッ」

「ゃ、あ…ッ待っ…!」

言葉を紡ぐ隙を与えてもらえずに律動が開始される。
揺さぶられる度に苦しそうに喘ぐ三成だったが、律動を繰り返す内に次第に苦しみの中にも甘い声が混ざるようになってきた。

「んっ…あっ、は、ぁッ」

男にしては軽く華奢な身体は左近が揺さぶる度に翻弄される。

「は、ぁ…あ、あっ」

三成のその声はもはや快楽以外の何でもなく。
恍惚とした表情を浮かべる三成に、左近は気を良くしたのか、繰り返す律動を早くする。


「や、ぁ!も、もう…」

出る、と小さく訴え左近が中で達すると同時に、三成も精を吐き出した。





結局、ロクに前に触れられもせず後ろだけで達した俺に左近は『ずいぶんと淫乱なんですね』とか『素質がありますよ』等と言っていた。


そんな事言われたって、初めてだったんだから良く分からない。更に言えばなんか途中から記憶があやふやだし。
それだけ気持ちよかったって事なんだろうけど。

当の左近といえば終わるなり仕事だ、とか言ってスーツに着替えて(スーツといってもリクルートみたいなあんなじゃないんだ)出て行ってしまった。

仕事って、夜中の2時だぞ?!

朝には戻るって言うからそれまで俺はもう一眠りことにする。

出際に左近が『どれだけチャイムが鳴っても、外で声が聞こえても出ちゃいけませんよ』なんて言ってた。


…本当に何の仕事をしているんだ。




**********


尻切れとんぼ。

パールでエロが書きたかっただけなんです。


遊郭パロC


遊郭パロBのつづき。










その日から三成は泣いて暮らした。

身請けの話を白紙に戻してくれと、女将にいくら懇願しようがそれが叶うことは無かった。


「若くて綺麗な内に引かしてもらうが良かろうよ」

そう女将は言う。

分かっている。
男娼は女とは違い、歳をとっても続けられる仕事ではない。しかも酷い無体を強いられる。このまま男娼として働いていては遅かれ早かれ三成は壊されてしまうだろう。

早く仕事を止めたかった。止めるには、身請けされる以外ないことも分かっていた。


(でも、でも…!)


嫌だった。
左近で無いと嫌だった。
暮らしには困らなかろうが、あのような男に罵られなぶられながら生きていくのは御免だ。
左近と肩を寄せ合い、贅沢はなくとも慎ましく暮らしたい。

でも、それは叶わない。
三成は部屋で一人泣いた。




「なんですって?」

左近の開口一番はその言葉だった。

「身請け?三成さんが?一体誰に」

左近は未だ羽織りすら脱がぬまま、グズグズと泣きながら俯く三成の肩を掴み、問うた。
一体誰に、などとは愚問である。

しかし、聞かずにはおれなかった。

「三成さん、答えて下さい」

左近が優しく尋ねると、三成は小さく馴染みの客だ、と答えた。
ただ、それを答えたのみで先まで羽織っていた羽織りで顔を隠してしまった。細い肩が小刻みに揺れていた。
三成の小さな嗚咽だけが部屋に響く。

「それは、おめでとうございます」

沈黙を破ったのは左近の一言だった。
まさか、発せられるとは思わなかったその言葉に三成は驚き顔を上げた。
「……さこ、ん?」

今、なんて?
もう一度言ってくれ。

そう訴えかけるように歪んだ表情で三成が見つめる。
左近は未だに震えのとまらぬその肩を抱き寄せた。

「良いお話ではありませんか。身請けというからには裕福な方なのでしょう」

未だ目に涙を溜めたまま三成は放心したように左近見つめる。

「身請けされればもうこの様な辛い仕事もしなくてすみますし、」

「……左近」

「生活だって、ここに比べれば格段に良くなるでしょう」

「左近!!」

三成が叫ぶ。
目にはこぼれ落ちんばかりの涙が揺らめいている。

「俺が、俺が身請けされて良かったと本当にそう思ってるのか?」

違うと言ってくれ。三成の目はそう訴えかける。そんな視線から目線を外し、左近は答えた。

「そりゃあ、そう思ってますよ」

言ったと同時に、目に溜まった涙が一筋こぼれ落ちた。


「もう、よい」

「、三成さん」

「悪いが今日は帰ってくれ」

顔を俯けたまま言った。でも、と左近が食い下がるが、花代はもういいからとまで言われ左近はそれ以上何も言う事が出来なかった。

先までの嗚咽まじりの泣き声ではなく、意外にもしっかりとした声だった。

「じゃあ、三成さん。また」

また、などあるものか。
もうすぐ身請けされる身なのだ。会うことすら叶うか分からない。だというのに、三成は別れを惜しむことはおろか左近の呼びかけに応えることすらなく頑なに背を向けたままだった。


応えを待つかのように少し間をあいて、漸く襖が静かに閉められた。








人気の無い道をトボトボと、どこか足取り重く歩く。

あれで良かったんだ、と左近は自分に言い聞かせた。

三成は引き止めて欲しかったに違いない。
しかし、あの様な仕事を続けていれば三成の体はこの先何年と保たずに壊されてしまうだろう。

ならば少しばかり扱いは酷くても身請けされるほうが三成の為ではないのか。
左近自身が身請けしてやれればそれに越したことは無い。

だからといって自分で身請けできるだけの財力も、三成の身請けを引き止められるだけの権力も今の左近には到底かった。

(今までこれほど己の無力を悔いることは無かったな)


別れ際の三成が脳裏に浮かぶ。
俯いたままだったから、表情は分からなかった。きっと、絶望に濡れ必死に泣き出すのを堪えていたのだろうと思うと胸が苦しくなった。


(忘れよう)


たかが、男娼一人ではないか。
元より本気になる相手でもない。また別の遊郭へ行き新しい妓を見つければ良い。

(忘れろ)


何かを振り払うように、左近は一心に夜道を駆けた。





【つづく】



続いちゃうんだなーこれが。

あと1回で終わる…つもりです;


遊郭パロB


※遊郭パロAの続きです。
※ぬるいですが他人×三成の裏描写がありますので苦手な方はご注意を。










己の部屋のみでまるで軟禁されたかの様に暮らす三成には今が何月かは分からなかったが、それでも左近の顔を久しく見ていないことは分かる。

おそらくは三月は会っていないだろう。
以前ならば少なくともひと月に一回は訪れていた左近が、である。

三成は決して出ることの出来ない窓の外をぼんやりと見つめ、明日は来るだろうか、明後日は来るだろうか、とそればかり考えていた。

左近とて三成に飽きたわけでは無かった。夏が近づくにつれ近隣諸国の動きが活発になり、その動向を伺う為に主の命により各地を転々としていたのだ。

そうして左近が三成の元を訪れたのは秋も深くなって来た頃だった。


「お久しぶりです、三成さん」

左近のこと、覚えてますか?
そう苦笑しながら問う左近に三成は頬を膨らませて背を向けたままだった。

「三成さん、こっち向いてお顔を見せて下さいよ」

少し強引に顔を向き合わせるが、三成は拗ねたまま表情を変えようとはしない。すぐにぷいとそっぽを向いてしまう。

三成が何故このように不機嫌なのか、理由は分かっていた。
嫌という位、分かっていた。


「………どうして三月も来なかった」


敷かれた褥の上で座る左近に凭れかけながら言った。まだ眉間に皺が寄せられていることから機嫌は治っていないのだろうが、声をかけて貰えただけでも良しとする。

「ずっと、左近が来るのを待っていたのに」

拗ねる三成の髪を指で梳きながら左近はすみません、と短く答えた。

肌触りの良い滑らかな髪は、以前は肩より少し下で切りそろえられていたのに、今ではもう少しで肘に届くかというところまで伸びている。

それ程の長い間会えなかったのだ。自惚れる訳ではないが寂しかったのだろう。
土産にと持参した干菓子も拗ねた三成に手をつけられることなく包みのまま床に転がっている。

「珍しいですね、黒の着物なんて。」

話をそらそうと、触れたのは三成の肩にかかった上等な絹の打掛。黒い地に白や薄桃の桜の刺繍が施されている。
左近は今までに数回、三成の元へ通っていたが黒の着物を身につけているのを見たことがなかった。

「よくお似合いですよ」

左近がそう言うが三成はきゅ、と下唇を噛み更に眉間に皺を寄せた。
また機嫌を損ねてしまったか、と思ったが三成の表情は不機嫌というより悲しみに歪んでいる。

「このような打掛、左近と会う時に着たくなかった」

そう言い顔を左近の胸元にうずめてしまった。当然左近からは三成の顔は見えず、表情を読む事も出来ない。何故か、と聞くと左近では無い他の客に貰ったのだと言う。

「あんなヤツ大嫌いだ。何か穢らわしいものを見るみたいに俺を見るんだ」

そのくせ、酷く三成に入れ込んでいるのだという。声が少し震えていた。


その言葉を聞き、体の中で何かがモヤモヤと渦巻くのを感じた。いい歳をして、悋気なのだろう。
何を、陰間の客に悋気などと馬鹿げたことだ。沢山の客をとる、というのがこの世界に生きる者の仕事だというのに。

左近は凭れかかる三成の打掛を脱がし部屋の隅へ放り投げた。

突然の事に驚き、身を起こした三成は投げ捨てたれた打掛を見、その後キョトンと左近を見つめてた。

「ああ、やはり貴方にはこちらの方が似合いますね」

打掛を脱いだことによって露わになった赤い襦袢を見て、左近が言った。それを聞いて何も言わない三成だったが、頬がみるみるうちに赤くなっていき、俯いてしまった。
おや、と左近が顔を覗き込む。

「何、赤くなってるんですか」

「うっうるさい!何でもない!」


ニヤニヤと笑いながら抱きつかれ体制を崩し、左近もろともドサリと倒れてしまう。そして、どちらからともなく唇を合わせる。

三成が好きなように深すぎず、舌先だけを絡めると鼻から抜けるような甘い声が上がった。

「機嫌なおりましたか?」

「ん……なおった」

その素直な唇に再び口づけをすると今度は三成の方から舌を絡ませてきた。
静寂な部屋に2人の唾液が混ざり合ういやらしい水音だけが響く。

ふと、三成の目にあるものがとまった。


「あ…、干菓子…」

それを発見すると三成はあわせていた唇をパッと離し、上向きから器用にくるりと反転するとほったらかしにされていた干菓子に手をのばした。

「三成さんは左近との口付けよりも干菓子がいいのですか」

折角心地よい口付けに酔っていたのに、とムッとする左近を見上げ笑い、頬の傷を撫でた。

「左近のが良いに決まってるだろう」

そう言い、再度唇を重ねあった。





その日、左近は夜があけるのを待たずに三成の元を去った。
やはり仕事が忙しく、やっと出来た合間に来たのだという。

相変わらず左近は、口づけを交わすくらいでそれ以上は何もしてこなかった。

(左近なら良いのに)

前にそう告げたこともあった。しかし、左近は笑うだけで、やはり何もしてはこない。

(やはり、身体が気持ち悪いのだろうか)

こんな痣と傷に塗れ変色しきった身体では。

ここ数日は特に殴られる事もなく平和に暮らせている。身体中に散る痣も大分薄くなったように思う。

(この痣が消えたら、左近は抱いてくれるだろうか)

そう考えていた時、何やら足音が聞こえてきた。
「旦那様、さぁこちらへ」

次いで女将の声が聞こえ足音が段々近づく。
そして襖が勢いよく開けられた。

そこに立っていたのは壮年の男。左近が通う前から三成の元を訪れていた馴染みの客である。

その姿を確認した途端、三成がうんざり、という顔をする。が、男は気にしていないらしい。ニコニコと笑っている。

「どうぞ、ごゆっくり」

襖を閉め女将が去ってゆく。

「やぁ、久しぶりだな」
男が優しい顔で微笑んだ。

「つい先日、お会いした所だと思いますが」

「まぁまぁ、そう言うでないよ」

男はツンとそっぽを向く三成の前にどかりと腰を降ろすと、部屋の隅に投げ捨てられたままの打掛に目をやった。

「あれは何だね、私が前に君にやったものだと思うが…なぜあの様に隅に追いやられているのかな?」

「……っ、あれは…!」

「駄目じゃないか、あれは君などが十年かかって男に媚び、稼いでも買えない程の代物なんだ。大事にしないと」

男はひょいと打掛を拾うと、それを再び三成に羽織らせた。
こうして微かに触れられるのさえ疎ましい。
しかし、相手は客だ。
三成はグッと唇を噛んだ。

「も、申し訳ありません…」

「悪い子にはお仕置きが必要だね」

その言葉と同時にパァン!という音が響いた。
驚いた三成は何が起こったのか分からなかった。
分からなかったが、じわりじわりと湧いてくる右頬の痛みに頬を張られたのだと漸く理解した。

ついで男は痛みに呻く三成の前髪を乱暴に掴み力任せに褥に押し倒した。
「……か、はっ…」

「全く、君は媚びる事しか脳が無いのだからもっと頑張らなくては。ま、そんな所が気に入っているのだがね」

ぐ、と後頭部を掴まれ顔面を褥に押し付けられ、代わりに尻を高く上げ突き出すような格好をとらされた。
これでは、声を出すどころか呼吸さえままならない。

「静かにしたまえよ。この間の様に、番頭に邪魔されては困る」

以前に無体を強いられた時、三成の余りの悲鳴に店先に控えていた番頭が制止に来た事があったのだ。そのことを言っていたるのだろう。

打掛と襦袢を纏めて捲り上げられ、男の皺々な手が露わになった三成の白い臀部を撫でる。

「君のことが忘れなれなくてね。漸く君に触れられると思うと嬉しくて仕方がないよ」

言葉だけならばなんて愛に満ちた睦言だろう。
しかし、違う。
この男は違うのだ。

男の両手に尻たぶを押し開かれ、可憐な後孔が露わになる。まだ何の潤いもないそこに男の熱く高ぶったものが押し当てられ三成は身を竦めた。


「―――ッ!!」

次の瞬間、未だほぐれておらず軋む入り口に容赦なく押し込まれる。

あまりの痛みにくぐもった悲鳴が響いた。
男は三成のことなど気にせずズンズンと腰を進め、激しく揺らした。

「んっ、んんっ……!」

零れる悲鳴は敷き布に吸収され声として発せられることはない。
激痛と苦しみと、背に覆い被さり荒い息をつく男の存在に、眩暈がした。

(左近、左近、左近…!!)

助けて、と願っても助けになんか現れるはずないのに。
悲しみが湧き、また涙が零れた。

「君を、身請けしようと思ってね」


激しい揺さぶりの中、男が告げた。

「女将には話はしてある。了承も頂いているんだよ」

だから決定事項なのだと、男は優しい声色で言った。

三成はもう悲鳴を上げなかった。痛覚も全ての感覚が麻痺し、ただ揺さぶられるばかりであった。




【つづく】


長い…;裏小説にあげれば良かった…;;

まだ続きます。

躾(ちかなり)


※裏表現あり。
※ちょっとだけ元親が鬼畜…というか、いじめっ子です。












揺れる度に目の前の茶色い髪がパサパサと乱れ落ち普段は隠されている形のよい耳が露わになった。仄かに色付き切なく震えるそれに元親は唇を寄せた。

「ふ、あぁ…もとち…」

「なんだ、元就。もう我慢ならねぇのか」

玄関で、立ったままドアに背を預ける元就の性器を少し手荒く上下に擦ってやれば先端から不透明な液体を滲ませる。

「ん…んぅっ」

くちゃくちゃとはしたなく唇を貪り合い、手の速度を早められると、頭の中は完全に快楽に支配され何も考えられ無くなった。

元就に愉悦を与えるそのもう片方で、元親は自身の持っていた鞄からある物を取り出した。
それは男性器の形を模した真っ黒なバイブだった。

「ほら、足開け」

「ん、あ…?」

トロンととろけた目線を向ける元就はまだその存在に気づいていない。

自分の足を股の間に挟み肩幅以上に足を開かせ、元就が溢れさせた先走りを後孔に塗り付け潤いを与えれる。
そしてバイブを押し付ければ漸く気づいたのか元就の目が見開かれた。

「や…っ!な、何っ」

「只の玩具だよ。ほら暴れんな、傷がつくぞ」

途端にバタバタと抵抗する元就の痩身を抱き込むように抑えつけ、ゆっくりとバイブを押し込んだ。
極太と言っても過言ではない程の太さのバイブが胎内へ埋まっていく。

「う…、ううぅッ」

日頃の調教で慣れているとはいえ、いきなりなんの前触れも無く、こんな太さのバイブを入れられているのだ。
胎内を押し開かれる若干の痛みはあるだろう。元就は元親の胸に顔を埋めその衝撃に耐えた。

「ほら、もう全部入ったぜ」

ぐちゃり、と音を立て長かったバイブはほとんどが胎内へ埋まってしまった。元就は頬を赤く染め、荒い息をつく。


「は、あぁ…もとちか…ぬ、抜いて…っ」

「ダーメだ、折角入れたんだから楽しんでもらわねぇと」

「え、あっ、やああぁっ!!」

埋まらずに出ている部分にあるスイッチを押すとバイブが途端に震えだした。その刺激が限界まで高められた身体には堪らないらしく、元就は抜いて、抜いてと必死に縋る。

そんな元就をよそに元親は鞄から一本の紐を取り出し、すっかり立ち上がり先走りを零すまでになっている元就の自身の根元を縛り付けた。

「い、痛い…っ」

「勝手に零すなよ」

早く熱を発散したい元就にそれはあまりにも酷すぎる。ボロボロと涙を流し、いかせて、外してと懇願するが元親は聞く耳を持たない。

そしてもう自身の力のみでは立つことが出来ず元親に縋りつく元就の両手首を掴み上げ鞄から取り出したまた別の紐で纏めて縛り上げてしまった。いやいや、と元就が身を捩るが力の入らぬ身体ではそんなもの抵抗の内ではなく。

「じゃあ俺はこれから仕事の打ち合わせで出かけるから。勝手にイくんじゃねぇぞ」

信じられない、というふうに元就の目が開かれた。

後孔には玩具を入れられ、前は達することが許されず、手まで拘束されて。

紐は堅く結ばれ、拘束された手では手首の結び目まで指が届かず自分で解くことは不可能だった。
そのせいで後ろには手が回せず、胎内で切なく震える玩具を自力でどうすることも出来ない。
前は何とかすれば自分で慰めることも出来るだろうが、そんな事をすれば元親にどんな事をされるか分からない。
つまり、このまま元親が帰ってくるのを待つしかないのだ。

「や、やだ…っ!お願い、これ外し…」

「心配すんなって。2、3時間で帰ってくるから」

2、3時間だなんて。
こんな状態で一人にされるなんてとてもじゃないが耐えられない。

靴を履き玄関のドアを開けようとする元親をなんとか阻止しようとするが、僅かに動いただけで胎内の玩具が内壁を抉る。

その衝撃に身体が反応してしまい、足腰に力が入らずペタリと座り込んでしまった。

「良い子にしてろよ」

「待って…!や、元親ぁあ!!」


ギィ、と閉まるドアに縋ることも出来ず呼んだ名も空しく元就はそのまま冷たい床の上に倒れこんだ。





「あれ?今日元就は?一緒じゃねーの?」

「そんないつも一緒ってわけじゃねーよ」

珍しい、と驚く政宗に仕事の資料を渡しながら元親が言った。

「と、いうか。連れてけだの行くなだの五月蠅かったからケツにバイブぶっさして前イケないように縛って放置してきた」

「鬼畜!!!」

静寂な喫茶店でギャーと大きな声を出したものだからカウンターにいたマスターにじろりと見られるが、構わずにキモい、だの可哀想、だのと連呼する政宗に元親は口端を上げ、ニヤリと笑った。


「悪い子にはお仕置きが必要だろ?」



【当然、続かない】


友達と考案した「BLで一番エロい定番のセリフ」。
お仕置きという言葉が大好きです!

遊郭パロA


※遊郭パロの続きです。特にこれを読まなくても話は繋がります(多分。←弱気。)
※あからさまな表現はありませんが、少し裏、暴力表現がありますので苦手な方はご注意下さい。





ここに連れられて来たのは12になったばかりの頃だった。

もともと孤児だった俺は寺に入れられていたんだが、そこの住職様が女遊びの激しい方でな。
払えなくなった妓楼のツケの身の代としてここに売られた。

連れて来られるなり客を取らされたよ。俺の初花は相当高く売れたらしい。
相手は金持ちそうな初老の男だった。一目見て、俺の顔が好きだっていってくれた。それはそれは優しい顔で笑うんだ。
なんだか安心した。

いざ部屋にいって行為が始まると痛くて痛くて、泣いて泣いて、とりあえず泣いた。体がバラバラに裂けて死んでしまうかと思った。それまであんなに優しそうに笑ってた客が、俺が苦しむ姿を見て笑うんだ。恐ろしくてたまらなかった。

それからの生活はまるで地獄で。辛くて、何度も逃げ出そうとした。

一日中客をとらされて、休みもなく男と褥を共にして、時には2人同時に相手をすることもあった。
縛られたり、叩かれたり、傷をつけられたり、慣らさずにいきなり突っ込まれたりするのはもう当たり前みたいになってた。
辛くて、辛くてたまらなかったよ。
でも痛くて、苦しくて声を上げるとみんな喜ぶんだ。耐え切れなくて泣くともっと酷くされるんだ。

張り型を二本突き刺されたこともあったな。腕を入れられそうになったこともあった。

そういうことばかり強いられるから、一回の仕事でかなり疲労するのだよ。どこもかしこも痛くて苦しくて、指も動かせないくらいダルくて。

そんな時は必ず薬を飲まされた。何の薬かは分からない。ただ、飲まされた後は酷く体が熱くなって、疼くんだ。媚薬か何かなのかな。でも、それも違う気がする。

薬を飲まされた後はまた仕事だ。熱くて、苦しくて、苦しくて。
悲鳴なんか上げても誰も助けには来てくれない。……それもそうだよな。向こうは『客』で、俺は『商品』なんだから。

一度、常連の客に腕の骨を折られたことがあって。
このままでは死んでしまう、そう思って脱走したんだ。結果?俺は今こうしてここにいるからな、失敗だ。
その時、右足の腱を切られた。もちろん逃げ出さないように。それからはもう座敷でだけの生活だよ。部屋から部屋へ歩く事は何とか出来るけど、走ったり、飛んだりは無理だな。

仕事では相変わらずだ。殴れたり蹴られたり。
何故だろうな、俺の所には『そういう趣味』を持ったやつばかりが来るんだ。


左近だけだ、優しくしてくれたのは。
左近だけなんだ。



ポツリポツリと語られる三成の話を褥の中で後ろから抱きしめながら左近は聞いた。身体中に残る傷跡は嗜虐趣味をもった客によるものだと、三成は半ば諦めたように語る。

泣いても耐えても終わらない苦痛に『もう死んでしまっても良いかな』と零す三成を左近は強く抱き締めた。
三成の白い首筋には以前には無かった新しい火傷の痕があった。自分が訪れるまでの間に他の客に付けられたものだろう。

「ああでも、死んでしまっては駄目だな」

ぐるりと反転して三成は左近と向き合う体勢になった。三成は切れ長の目を細め、至極幸せそうに笑みを浮かべた。

「死んでしまったら、もう左近と会うことが出来なくなるからな」

頬を仄かに赤らめて言う三成に左近はどうしようもない愛しさを感じた。これが本心でなくて客を掴む為の手管だとしたら、相当タチが悪い。
左近は三成をもう一度抱き締めた。
男のものとは到底思えぬ程に細い腰。この頼りない肩にどれだけの…が乗っているのだろう。
まるで赤子の様な三成の頬に手を滑らせるとくすぐったそうに肩をすくめた。

「左近、左近」

そう呼びながら今度は三成から抱きついてきた。
左近は三成を抱かなかった。ただ、一つの布団で一緒に眠るだけであった。

ふいに三成の下半身が左近のものに触れた。
これだけの容姿でこのように可愛く擦り寄られては左近とて反応しない訳ではない。元々性欲は人一倍盛んだと自覚している。

しかし、そのような欲で三成を抱きたくなかった。勿論、酷く手荒く抱くつもりは毛頭ないし、自分にはその様な趣味もない。しかし日頃、色んな客から望まぬ辛い性交を強いられている三成は性交に対し相当な恐怖感を持っているはずだ。これ以上辛い思いをさせたくなかった。

「朝になれば、左近は帰ってしまうのだな」

「ええ、でもまた近い内に来ますよ」

「本当か?いつ、いつだ?」

まだ幼い子供の様に聞いてくるので、それはまだ分かりませんなぁ、と左近が笑うと三成は無表情だがどこか寂しそうにしていた。

「今度は三成さんの好きな干菓子でも持ってきますからね」

「うん、約束だからな」
「約束です」


そう答えると三成は瞳を閉じた。やがて、すうすうと規則正しい寝息が聞こえるたのを確認し、左近も目を閉じた。

幸せなのは一時だけ。
また、朝が訪れる。



【つづく】



とりあえずまだ続くという罠。
前回の後左近は数回、三成の所へ通い、三成とは打ち解けてきたと思ってください。


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