疎遠だった父の最期〜後悔を増やさない為に〜

まさか、自分の実家で父親が
孤独死を迎えることになるなんて予想だに
しなかった。

うん十年暮らした家。
自分が産まれ育った家…。

決して裕福とはいえない暮らしでも
一般的な普通の家庭だと思ってた。

どこから歯車が狂ったのか
なぜ歯車が合わなくなったのか…

わかってるハズでも
分かりたくないような気持ちっていうのかな…
ただ、目を背けていただけなのかも知れない。


結果的にバラバラになった家族
バラバラになった理由がよろしくなくて
結局は連絡取り合ってる者同士は
日頃から取ってるが
憎んで離れた者、喧嘩して離れた者となると…
やっぱり疎遠になってしまう。

私も…喧嘩してその場で出ていくと言い出して
出てきちゃったからなぁ…
戻ったところでどうせまた喧嘩になる…
そう決め付けて戻ることをしなかった。


一度だけ
母親乗せて車で地元に戻った時
なんとなく…父親宅の前を通った。
いきなりのことに母親はプチパニックを起こしていた。
私も緊張してしまっていたが通り掛かるだけなので居る確率だって低いハズ。

…だったのですが。
なぜかたまたま玄関に父親が居り、目が合った。
でもそれが…父親を見た最後だったと思う。

田舎に住む兄弟が少しでも稼ごうと実家に戻ったりしていたので多少の話しは聞いてて
『家の中を整理している』とか…

勝手な想像で必要のないいらん物は捨てていると解釈していたが歳老いた父親が一人。
年金暮らしゆえにお金なんかあるハズもなく、
捨てる物にお金なんか掛けられるハズもなく。
一人では使わない部屋にまとめていただけでした。



後悔したって遅い、
後悔したって遅いのに…

父親の元を訪れずに
父親の事を案ずることをせず
長い間、本当に長い間疎遠にしていた自分を
恨む。

状況には色々あっても
父親は父親であることに違いはないワケで。
誰しも後悔しない、とは言えないですが
後悔する確率は高いのでは…と私は思います。


あくまで個人的意見ですが…。

私の場合はとっくに決めていたので
早い内に一度、直接東京の家庭裁判所に赴いて
事情をサラッと説明し助言（自分で相続放棄する為に必要な書類等）を受けに行きました。
家庭裁判所には平日であれば予約は必要なく
整理番号順で受け付けてくれ、簡単に説明をしてくれます。
大まかな流れ、必要な書類、手続きに必要な切手（費用）の金額が書かれた書類をくれます。

自分がわからないところは質問し
答えて下さるし、後々わからないことがあった場合も家庭裁判所に直接電話をすれば
答えてくださいます（ただし、本当に混雑してるらしくて繋がるまでだいぶ待つ可能性はあります）


後は必要な書類を集めて切手・収入印紙を買ってしまえば
提出するのみです。
大概、必要な書類は役所で取ることになります。
孤独死であった私の父親の場合は
発見されてから警察の検死解剖を受け、
死亡原因・死亡時期の特定をして頂いて
書類が出されたものを役所に届け受理されてから２〜３日ほど手続きにかかってから
父親の住民票の除票が出来るので
そこに多少の時間を要します。
あとは自分の戸籍謄本ですね。




業者については
最初は自分でやるか業者に頼むか悩んだので
ネットで調べました。

多数いるのですが
依頼から完了まで一律３万円でやってくださるトコがありました。

中には書類を頼めばプラスにどんどんプラスになる業者さんもあるようで…
お金のない自分には無理なので調べました(^^;


必要なものが揃ったら再度、直接家庭裁判所へ
行き提出（前記述の相談窓口とは異なります。 総合案内窓口に聞けば教えてくれます。）
もしくは相談に行った時の書類の中に封筒が
入ってるのでそれに入れて郵送する方法もあります。
直接行くより時間は多少でもかかると思います。

番号札を取って順番待ちをします。

後は受け付けて頂いた方に間違いがないか
確認して貰いながら見てOKであればまた少し待ちます。
尚、午前中早い内に受付を済ませ
問題がなければ昼から直接面接（面談？）をしてくださるようです。

まぁ…内容等の確認だと思われますが
私は仕事を抜けていたので面接は断りました。

後は裁判所の手続き？が済めば１週間程で
完了の通知が来ます。

ただし、何らかの理由で放棄が
認められない場合もあるので
その場合についてはわかりかねます。

手続きするのであれば原則、３ヶ月以内と
決まっているのでそれだけは注意してください。

話し合いを経て
後はそれぞれの問題。

それぞれが離れて暮らしているので
決断はそれぞれ。



私の場合は悩む必要はなく、手続きをしました。
他の兄弟は悩んで相談してきたのもいますが
何の連絡もなく、他から『相続するらしい』と聞いたり。

結局は人間、お金なんですよね。
私の知る限り、唯一父親が『家を渡したくない』と言っていた姉の旦那が希望したらしく
姉が相続することになりました。

きっと負い目があってそれを感じているんでしょうね。
ほとんど連絡はありません。

考えること、思うことはいくら兄弟でも
それぞれですが…
自分も裕福ではないし、ギリギリな生活してますが父親に対して申し訳ない気持ちが強く
親孝行出来てもいないし、遺産等貰おうとも思ったことはないし…。
当の本人が言っていたらしいので
（直接は聞いてません）『元家族には渡したくない』という意志に従い私は放棄。

もちろん、『自分が放棄するんだ、全員放棄しろ』等とは言わないし思わないですが…
今までのお互いの繋がりだったり、相手から見た自分の印象だったり
少なくとも父親は嫌ってしまっていたのを耳にしているハズだし…
それをも無視して金目当てでの相続を選んだ挙げ句、相続するに必要な資金すらないのを人に頼るなんて自分はどーかと思うワケで。

しかも普通に遺品整理してハウスクリーニングだけで住んだり売却したりが出来る状態でもないのに…。

父親宅を訪れ
自分の目でしっかりと状況を見た後で
今後をどうするか
兄弟全員で話し合いをすることにしました。

一番の問題は父親宅が一番大きい相続問題。

思うところはそれぞれある、だろうが…
私は元々、親から遺産を貰おうなんて
思っちゃいないので出来ることなら生前放棄出来るならしたかったぐらい。

しかしながらその方法は
存在しないそうなので結果から言えば私は
亡くなってから放棄しました。 法律上キチンとした形で。


話し合い、といえど
私を含めた兄弟全員と母親は遺産相続が
どういったことなのかをキチンとは知らないので私の旦那に助言等々も含めて話し合いに来て貰いました。

意見としては
鼻っから遺産を貰う気がない私に
父親の意志はどうだったのだろう…と気にかける者
都合があって放棄せざるをえない者
ほとんど発言もせず、何を考えているのかわからない者…
様々だったように思います。

その場では大体…それぞれが決めようとする方向はあるものの、決めかねて決断はせずに終わった。




こういうことはそれぞれの意志というものが
あると私は思うので
誰かが『こうするべき』と意見の押し付けをするのはどうかと思う…。

今回は相続権利のない母親が
『貰えるものなら貰うべき』の主張があまりに強く、しつこくうんざりした。
もちろん、ハッキリ言わせて貰ったが。

業者さんと父親宅前で合流し
挨拶を済ませたのちに早々に現場となる
父親宅へ。

業者さんは特殊？マスクを持ってきていましたが、結局使わずに終わりました。


業者さんとは
『現場とその周辺の腐敗臭の原因となるものの処理』をお願いしていたので
その部屋へ直行しました。

やはり、『そこまで酷くはないですね』と
おっしゃっていました。
状態を見て頂いて
ざっくり見積もって頂いて

今回は…
押し入れの中である為、今すぐ手を打つこと（初期処理）は出来ないということ

（押し入れともなると専門の職人さんに依頼してお願いするんだそうです）

特殊清掃をするにしても
家屋解体前提の本当に汚染箇所のみの撤去にするのか

リフォーム前提で汚染箇所をリフォームしやすいように撤去する

どちらにするかで１０万ほど差がありました
（解体前提２０万、リフォーム前提３０万）

どうするかは一人では決められない問題だし
作業をその日には出来ないし
業者さんの見解としても

『汚染はそれほど酷くない。
なので閉められる窓は全て閉め、個々の部屋の戸も閉めれば臭いは心配されるほど広がらないと思う。
キチンと今後をどうするか（解体するのかリフォームするのか）を決めてから連絡して頂いても大丈夫だと思う』

と言って頂けたので当日の作業はせず
父親宅の家の物の撤去を依頼した場合の
金額の見積もりもお願いしました。

部屋全ての荷物と庭とベランダ…
一人暮らしとはいえ２階建ての４ＬＤＫ。
元々は家族で住んでいた家。
家族が離散した後、父親が家の中を整理していたとは聞いていたけど…
物を処分して整理…ではなく
物をまとめていただけのようで…。


家の中の荷物を全て撤去するにあたって
大まかな見積もりは６０万。
一戸建てだし荷物多いし
それでも他の業者よりは安いそうです
（旦那曰く）