大学が終わって、二度彼女にメールしても返ってこなかった。
なんでだろうと心配になって、携帯からかけた。
「もしもし」
すごい小さな声。
いつもの元気な彼女じゃない。
「もしもし、なんかあったの?」
「なんでもない。」
なんでもないの一点張り。
さらにつっこんだら「誰とも喋りたくない」…。
不穏…
不穏なことが起こると僕はなんでも病気に結びつけて不安になってしまう。
彼女は人としゃべることを永久に嫌がるようになったんじゃないかって。
僕にとって彼女を失うことが一番の恐怖だから。
病気がいつか彼女を捕らえてしまうんじゃないかって。
怖い。
「私は元々人と話すのが好きではないのよ。」
と言われた。
いつもの彼女はとにかく明るい。
こんな明るい人は僕は会ったことがない。
友達もいっぱいいる。
そんな彼女がこんなこと言うなんて。
一時的なことだと思いたい。
こんにちわ。はじめまして。
僕は現在大学二年生の男です。
僕には今10歳年上の彼女がいます。
彼女は統合失調症です。
いつの日か、まだ僕は幼くて、でも忘れられない日があります。
喫茶店で文庫本を読んでいたら、彼女から携帯に電話がかかってきました。
電話の向こうの彼女は憔悴しきった様子で「死にたい…」と漏らしました。
今でも覚えています。
忘れられません。
僕はその後泣きながら彼女を抱きしめることしかできませんでした。
「生きて、生きて、生きて…」って心の中で祈り続けました。
統合失調症はとてつもなく残酷な病気です。
それを知ったのは彼女から出会って一年半の月日が経ったころです。
それまではろくに統合失調症のことは調べていませんでした。
とにかく無知で弱くて、そして愚かな男だったと思います。
統合失調症を知ってから、僕は彼女と本当に向き合っているような気がします。
彼女との日々をずっと残したいです。
だから僕はこの日記を書きます。