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黒い腐臭 3
キャンプから帰った後、留学生CとDに何が起きたのか、その二人と交流のあった人逹の話を繋ぎ合わせて書きます。
夏休みが終わり大学へ行くと、留学生C、Dとそこそこ交流のあった友人が俺達に話しかけてきて、変な事を言ってきた。
留学生C、Dがキャンプについてその友人に話したらしい。
俺とA、Bと一緒にキャンプへ行った。
そこまでは、合っている。
問題はそこからで、キャンプ地で洞穴を見つけたのだが、留学生C、Dは面白そうなので見てみたくなり、行ってみようとしたと言う。
一緒にいたBは暗がりが怖いのか怯えていたようだが、独りになるのも嫌なようでついて来た。
洞穴の奥には祠の事だろうけど、小さな建物があったと。
しかし、それだけだったので引き返そうとすると、Bが建物の扉を開けて中の石を持ち出そうとしていた。
留学生C、Dがそれに気づき、Bに注意したが聞き入れられず、そこで喧嘩になった。
そこまで聞いて俺は事実と違うと話したが、友人は何か思わせぶりに
「まあ、わかってるから、最後まで聞いてくれ。」
と先を続けた。
その夜、石のせいで俺とA、Bが幽霊に襲われ、ガタガタ震えながら泣いて謝っているのを見かけたので、CとDは勇気を振り絞って飛び出し
「石は返すから。」
と幽霊を説得し追い払ってあげたらしい。
翌朝、留学生C、Dが
「昨夜の事は石のせいなのだから、返しに行こう。」
と俺とA、Bを誘ったが
「恐ろしくて行けない。」
という事で代わりに留学生CとDが返しに行って、そのまま帰った。
俺はあまりのバカバカしさに、怒りすら湧いてこなかった。
なんであの晩の事がCとDの武勇伝みたいになってるのかと…。
俺は友人に、話の内容が大きく変えられている事、大筋で俺とA、Bの言動が留学生C、Dと入れ替わっており、しかも所々に妙な脚色まである事。
俺達が留学生二人の巻き添えになって、夏休み中酷い目にあった事などを伝えると、友人は
「だろうな。」
と、全てわかっていたよ、と言わんばかりに笑いかけてきた。
ちなみにその友人は、自分も妙な現象を見るまで幽霊の話はネタだろうと思っていたとか。
友人が言うには、キャンプからもどってから数日後。
留学生CとDの姿を見かけると、後ろに黒いモヤのようなものが見えたり、彼らと一緒にいるとブツブツと囁き声のようなものを聞いたりと、怪現象が続いた。
恐らく原因を作ったのは留学生CとDだろう、と直感的に感じていたらしい。
更にこの直感に追い討ちをかけた事が起こる。
話を聞いて二週間後くらいから、留学生CとDはCの部屋に篭るようになった。
彼らは金を降ろすのと飯を買いに一階のコンビニへ出かける時以外、殆ど外に出歩かなくなってしまった。
そのため友人は
「やはり原因を作ったのはこの二人だったか。」
と妙に納得したとか。
友人はこれ以上は詳しく知らないらしい。
その後留学生二人と会っていないと言うか、電話をしても外に出ようとしない。
彼らは友人に会おうともしない上に、篭っている事情も一切話さない。
なので友人は、彼らが今どうしているのかは知らないと言う。
この話を聞いた後、夕方近くにBから携帯に電話があった。
Bが言うには
「留学生CとDがキャンプでの嘘の話をあちこちに言い回っていた。」
「Bや俺達は霊現象を別にしても、ヘタレのレッテルを貼られてしまっている。」
「誤解を解かないとまずい。」
Aにも連絡を取り、なんとか誤解を解く方法はないかと話し合ったが、良い案は浮かばなかった。
結局一人一人誤解を解くしかないという結論になった。
この後、実はある出来事をきっかけに誤解はある程度解けたのだが。
その出来事とは留学生CとDはゼミの教授も自分達の側に引き入れようとしたのか、皆に話した話とはまた別の、嘘の話を教授に話していた。
その嘘の話の内容は、皆でキャンプへ行った所と、石をBが持ち出したという部分は他の皆に話した内容と同じなのだが。
その後、夜中に俺達が逃げ出してしまい、取り残された留学生CとDが酷い目にあった。
というような内容の話だった。
それをゼミの教授が皆の前で話してしまったため
「自分達の聞いた話と違う。」
と留学生CとDは皆から問い詰められてしまい、彼らの嘘がバレてしまった。
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呪われし勇者達の死ぬ程怖い話