今日もさっきまで先輩がきてた。

3日ぶりくらいに会った。
バンドの打ち合わせの帰りらしくとっても疲れてみえた。

いつも思うけど紺のストライプのシャツは本当によく似合っていて

私はもうメイクも落としてパジャマで

なんだか恥ずかしくてたまらない。

メイクをする前のみすぼらしい顔を見られたのは、実は初めてだったりして

「目のところがなんか違うね!」



ふんっ。


私のギターでまた先輩は切ない曲を弾く。
普段私が使わない白いソファーに座って、私の白いギターを弾く。
黒のタイトなパンツとシャツと伸びたパーマの黒髪と、ギターを構えるその姿が好きすぎて苦しい


ぼーっとみてたらソファーの隣に座ればって言われたから、座る。


顔が近いし、先輩の香水の匂いがしてくらくらする。

ギターに夢中になっている先輩は好きだけれど、ちょっとこっちも見てほしくて肩をつんつんする。

「ん、なに?」

この先輩の「ん?」の言い方が好きすぎて、ため息がでる。

ん、が優しい。

私はかまってって言えないから首をふる。
そしたら、笑ってキスしてくれるからもっとすきになる。

そのまますーっと先輩の手が背中に回って、下着の金具を触る。


「だめ」

と言えば手はすぐに引っ込む。

それに、私と先輩は一度もセックスをしていない。


それは二人が付き合っていないからで、当たり前のことなのだけれど。

でも、私はしてみたい。

はしたないだろうか。
はしたないだろうな。

けどそう思ってしまう。

先輩のその首筋とか細い白い腕とか、触れてみたくてたまらない。


「すきですきでたまらなくて、そういうことできないよ」


先輩がそういうならそれでいい。

でも私と先輩は恋人でもセフレでもない。
もちろん友達でもないし、家族ほどお互いを知らない。


私はこの不安定な関係が苦しくて、死んでしまうように思う。


ならいっそ、セフレになってしまいたいのに。
体だけだと割り切れれば、電話を待つかなしい日々を終わりにできるのに。


「君にすきなひとができたら、俺じゃなくてそいつを選ぶんだよ」

どうして、ときいたら

「まだ18歳なんだよ。これからたのしいことがいっぱいだよ」

と言うのはずるい。



私は先輩とだけたのしいことをしていたいのに。

先輩とバイバイしたあとは、寂しいしなぜか眠い。
全力疾走したあとみたいな疲労感が体を襲う。


次はいつあえるかな。


そう思いながら、布団をかぶっておやすみなさい。


しかしね、先輩

私だって18歳の立派な女なのです。


いつかその大人の余裕を奪い去ってみせますから。