所変わってこちらは人間界
空は夕焼け、学校のチャイムが放課後を知らせる
「やっと放課後だ〜」
んーっと背伸びをする
東雲ミツキ、高校2年生。お菓子が大好きなごく一般的な女子高生である
「あっねぇねぇミツキ」
鞄を肩にかけ机から立ち上がるとクラスメイトのみどりが寄ってきた
「帰りさぁ、ちょっと寄りたいところあるんだけどいーい?」
「別に良いけど…」
「やったー!学校のすぐ向かい側に今日雑貨屋さんオープンしたんだって!さっき休み時間に学校抜け出して行った子達に話聞いたんだけどすんごく可愛いのがいっぱいあるって聞いてもう行きたくて行きたくて!」
みどりは可愛いモノには目がなく、スクールバッグに連ねられているぬいぐるみたちがそれを物語っている
みどりと授業の愚痴や先生のモノマネ等しながら学校を出て歩くとすぐに着いた
「ここだよここ!ほら中に入ろーよ!」
「う、うん」
外観は淡いピンクのドールハウスのような造りをしていて女の子だったら嫌いな子は恐らくいないだろう
みどりに誘われるがまま店の中に入った
「わぁ…」
中に入ると、そこはラブリーな雑貨が沢山並べられており照明はシャンデリアとかなり凝っている
「あっ!ねぇ見てみて!願い事が叶う指輪だって!」
「へー…」
ミツキはこの手の類のものは信じない
内心憂さんくせぇ…と思いながら指輪が並んでいるショーケースを眺める
「ん?」
どれも同じような色形をしているがひとつだけ興味をそそられるものがあった
「ミツキこういうの興味無いって言ってたけど、まんざらでもないんじゃない?」
「べっ別に興味ないし!ちょっと見てただけだし!」
また指輪の方に目をやると
「えっ?」
その指輪だけ紅く輝いているように一瞬だが見えた
「ふふふ…おやおや、そんなに見つめて…良ければ扉をお開けしましょうか?」
突然背後から声がしたので振そちらにり向くと、どうやら店員らしきお兄さんが鍵を持ってショーケースの扉を開けてくれた
ガチャ
「どうぞ」
ニコッと笑って店員のお兄さんはミツキが気になっていた指輪を差し出す
「えっ何でこれが…」
「先程からずっと見つめておりましたから、分かりますよ」
銀色の髪を耳にかけながら微笑むその姿はこの世のものとは思えない程妖艷だ
女の子たちの違う目的でもここに来る理由が分かる
「良ければこちら差し上げますよ」
「へっ?」
「えぇっ!?ミツキラッキーじゃん!!いいなぁ〜」
「ご友人の方もお好きなものをひとつだけどうぞ。今回はオープン記念ですから、あなた方だけ特別です」
他の人達には内緒ですよ、と言って人差し指を口に当てた
「ええええ!?良いんですか!?やったあー!!」
飛び跳ねながら喜ぶみどりを後にミツキは指輪を眺める
(なんだろう…なんだか懐かしいような、落ち着くような…)
「世の中には出逢うべくして存在するモノがあると言われております」
店員のお兄さんはミツキにお店の名前が書かれているカードを渡した
「運命というものはお互いに惹かれ合いそして必然的に出逢うモノ…その指輪と貴女はもしかしたら惹かれ合ったのかもしれませんね」
お兄さんがニコッ微笑むと周りから黄色い声があがった
「決まった!!私これにする!!」
ミツキとみどり除いて
。