母が最初に入った病室はHCU(高度治療室)といい、端にある大きな部屋だ
そこには患者の周囲にカーテンが引かれて、分かれている
基本的に親族以外の入室は不可能
家族待機室にあるインターフォンを押し、患者の名前と自分の続柄を伝え
面会できる状態かを確認する必要がある
(右隣のお爺さん)
起きてるところを見たこと無い
イビキや唸っている声を聞いた事がある
酸素マスクを使用
一度、その御家族が来られていた時を見たが、
話し掛けても反応が無い様子
ただ、帰り際に「足でバイバイしてるよ、分かっているんだね」との声が聞こえた
(左隣の御老人)
上に記した方と同様の状態
御家族が「○○ちゃんが来てくれたよと言ったら、
目を開けてくれたんだよ!」との一言が印象深かった
HCUは機械が多い
常にモニターされているような感じである
重症や軽症、意識が無い人と病院には色んな患者が居るけれど
症状関係なく思うことは次の1つであろう
早く治して自宅に帰りたい
静かに強く戦っているのだ
この日は歯の治療の為に取得した有給休暇
申請した時はこんな事になるとは予想だにしていなかった
午前中は父が面会に行く
得た情報としては
母が前夜に激しく暴れた模様
(病による錯乱?)
その為、安全を考慮する為、自由に動けないように両手にはミトン
その他、首や足にも紐みたいな物が装着されていたとのこと…
意識があるのは幸いだったが喜べない…
母の意志でそのような行為をしたわけでは無いと信じるしか無い
父に言った言葉は「私も自宅に帰るから連れてって」
ところで、この日は看護師て対応が異なったらしい
面会時間外でも「ずっと居ても大丈夫ですよ」と言われ安心していたら
他の人には「本当は時間外なんですけどね…」と指摘されたとの事
確かに規則は大切だとは思うが
HCUは高度な治療を必要とする患者の病室だ
幸い母に意識はあったが、中には満足に動けない人も居る
もう少し“臨機応変”な対応と
問題があるなら対応を統一化して欲しいと切実に感じた
私の歯の処置が終わり、買い出しに出ていた
そのまま病院に直行する予定だったが、前に投稿した通り
看護師から注意を受けてしまった為、私のみ午後に改めて面会する形となった
ところで母は化粧をしたまんま入院してしまったので
メイクを取るシートを購入してきた
帰宅してから病室へ行くまでの事は
母が暴れたと聞いて強く動揺しており、あまり覚えていない
ただ、いつもより注意して車を運転していたんだと思う
無理にでも冷静さを失うわけにはいかない
万が一にも事故なんて、更なるトラブルを起こしてならないからだ
病院に到着してから正門玄関まで歩く
エレベーターは混雑しており、面会に来た人間が使用できる数も限られている
仕方なく階段で上がっていき、例の家族待機室にあるインターフォンを押し
母の名前と続柄を伝え、入室許可になったのは良かったのだが
…馬鹿な私は迷ってしまう…
案内板を見ると確かに病室はこっちなのだが
それらしき場所が見当たらない
何回か看護師さんに聞き、四苦八苦しながら、目的の場所へ辿り着く事が出来た
(一体、私は何をやっているんだ)と真面目に思った
扉を開け、母がどこにいるかを聞き
そっと少しずつ近づく
母の第一声は私の名前を“ハッキリ”発言したことだった
1日しか離れてないのに、かなり久しぶりに再会した感じであった母の姿を見るとおびただしい数の管が装着されていた
点滴・血圧や心電図のモニター・尿を出す為の管など
そして、安全を守る為の拘束具
思わず私は息を飲んだ
そんな時に母が言葉を発する
「お父さんは?何処に行ったの?」
私「帰宅して必要な書類などを整理しているよ」
母「はあ?なんで一人で帰るの
もう、私は大丈夫だから一緒に家に行くといったのに〜
お父さん、今は何をやってるの?」
私「仕事(自営業なもので)してるよ」
母「なんだよ…もう」
?…会話が噛み合っていない?
なんていうか、もしかして自分の状態を把握していないんじゃ?
昨日の出来事を話しても、頑なに、もう大丈夫なんだよ
ここはとんでもない所だ!としか言わない
顔を拭こうとしてり、リップをしようとしても拒否される為
担当の看護師さんにお願いする
そんな時にも「何もしなくていい!」と罵声をあげる
身内なのに、凶暴すぎると思ってしまった
そんな時に母の主治医から挨拶される
「今日から担当になりました○○です
元の状態に戻れるよう、治療していきますので宜しくお願いします!」
しっかり私の目を見て
心強い言葉を頂けた
印象は誠実そうで、真摯に私の話も聞いてくれて返答してくれる
白髪が多いがロマンスグレーといった感じの先生だ
(後で他の看護師さんが話をしているのを聞いたが
この病院の脳神経外科で最も偉い方らしい)
それでも、気取ったりしないし、丁寧な人である
様々な話をしても、母はまだ拗ねている
先生が離れたあと、またとんでもない事をやらかすのだが
それは次回に執筆していきます