「ついに、買ってもうた。これ、パソコン」
某猫型ロボット風に俺に向けてそんなことをいい始めたスズに正直笑いがこみ上げてくる。お前いくつだ、つうか今平成何年だと思ってんだ。とか、いろいろ突っ込みはあったけど、ただただそれに勝る無邪気さがかわいくってそれで笑ったんだ。
「おおよかったじゃん。って、スズ。パソコンなんていじれるのか。」
「うっ…、そ、それなんやけど。」
「あ〜、わかった。設定とかやってやるから、酸たのむわ。」
「え、ええの!やった、」
きゃっきゃして手を振り、大事なパソコンをおいていっちまって。いいのかよ、それで。
そんなとこがかわいいんだなあスズは。
「って。これ、最新のじゃん。店員に言われるがままってとこか、ばか。俺がいるってのに。」
なんて、彼氏ぶったりしてな。いや、間違いじゃないよなあ。事実でもないけどよ。
そんなこんなで、しばらくぽちぽちいじってたら、デスクトップを指定する画面になった。ここで俺の悪戯心が働く。にやりと笑って、スマホからとっておきの、あの、画像をデスクトップにしてやった。スズ、泣くかも。
「ほんま、おおきにな炭素。」
「おう、酸大丈夫そうだったか。」
「え、あ。うん、あの子強いから…、」
スズがパソコンを受け取り、微笑んだが、やはり酸素のことを聞くと顔が曇る。いや、今のは俺が悪かったか。自分だけ、見ててもらいたかったんだなぁ、気持ち汲み取れなかった。
酸のことが気になるのは、最近の襲撃者の目撃情報が黒髪の猫みたいな男、っつうもんだったからスズを疑うことにしてたからだ。もちろん、俺は反対したし、でも黒髪の男なんて片手で数えるほどくらいだったから。一応ってところ。もし、スズが襲撃者だったならきっとなにもできないんだろう。
だって、スズが。俺は、スズが。
「っつ〜!炭素!!」
あ、ヤベ見つかっちゃったかも。
「なんで、いまさらこんな写真なん。ほんまアホやわ、炭素。」
…スズのパソコンに仕込んだのは、まだ一緒に遊んでた親友だった時に撮った。遊びの結婚式ごっこの写真だった。