「ナルト?」
七夕祭りの手伝いはナルトを抜いた七班にかせられた任務だった。どうしてナルトだけ免除なの?ずるーい!とサクラがもらしていたのを俺は聞いていた。
あのウスラトンカチにも都合があるのだろうか、と思ったがナルトは部屋でこもってるらしく同期のメンバーは誰もナルトを見ていないらしい。
任務免除で家に引きこもってどういうつもりなんだ?と疑問に思ったがまずは目先の任務を終了させよう。
しばらくして日も傾いた頃どうやら片付いたらしく店の主人にカカシの元へ帰るように言われた。結局ナルトは来なかった。
「サースーケーくんっ!ねぇねぇカカシ先生に報告したら自由時間よね!一緒に夜店まわらない?」
「…」
「サスケくんってばぁ…いけずぅ」
「ナルトも誘わないのか…」
「ナルトぉ?!全く1人だけ免除なんてずるいわよね!絶対誘わないわよ!」
「…うるさい、」
サクラがついてくるのはカカシの話を聞くまでだ。我慢しつつ足を早める。
「やぁーおふたりさんっお疲れサマ」
「あ、カカシ先生〜もう解散でいいんですよね!」
「ん、うーんいいよ。七夕祭り楽しんでネ。」
「おいカカシ」
さろうとしたカカシを呼び止める。正直、あいつのことは認めてないが一応七班の一員だ。ナルトだけハブるのは気に食わない。それに今日のことについて問いただしたい。
ナルトのことについてカカシから聞き出すつもりだった。
「ナルト、なんで今日いないんだ。」
「…今日はナルトの話しちゃだめだよ。」
「何を言って、まておいカカシ!カカシ!!」
急に悟ったような目で俺を見てから、カカシは屋根の上に飛び乗った。ナルトの話はだめってそれはどういうことなんだ。
疑問が頭から溢れ出て、聞き出したいことだらけなのにカカシがそそくさと消えてしまった。部下の話位しっかりと聞け。これは、どうやら
「ナルトに直接会って話すしかねーな。」
自分で完結して、ナルトの家に急いだ。
窓から少し明かりが漏れている。なんだ、本当に部屋にこもっていたのかとため息をつきながらドアを叩いた。反応がない。ウスラトンカチが、俺を無視するつもりかぁ?イラついて思いきりドアを開けてみる。あくはずないと思ってた扉はいとも簡単にあいて、少し拍子抜けした。
「おいナルト!いるんだろ?」
「え、ぁサスケ?なんで…」
この暑い中、タオルケットを被ったナルトがこそこそと奥から出てきた。
「外、祭り。」
「あ、そえば今日だったってばね七夕…」
「お前、祭り事とか好きそうだと思ってた。風邪か?」
祭りと聞いた瞬間すこし身体が震えてたから風邪と疑い聞いてみると首は横に振られる。なんだ、風邪なら休みにも合点がいくのに。一体どうして休みなのか。
ただ、それを聞くには俺たちはそこまで親しくなくて、少し目を逸らす。
ナルトは相変わらず興味がないのか諦めたように目を伏せたままだった。気に入らず、手首をグッと掴む。こいつがスキンシップに弱いのは知ってる。
思い通り、驚き半分恐怖半分の顔して、青い瞳を小刻みに揺らしながら俺の顔を何度もみた。その顔が普段のナルトらしくなくて思わず笑ってしまいそうになる。けど、どういう訳か今日は耐えた。その震え方がただならぬものだったし、警戒心を持たれちゃ困る。俺はただこいつに聞きたいことがあるだけだ。
「ナルト、」
「な、なんだってばよ!」
「一緒に祭り行かないか?」
そして祭りというフレーズを聞く度にびくりと動く体。縮こまって、小動物のように震えてしまっている。
いつも騒がしいヤツと思ったけど、こういう一面もあるのか。俺も…まぁなきにしもあらずだがここまで顕著とは思わなかった。裏と表なのか?これが素なのか?ナルトがわからなくなって、いたたまれない。
「ごめん、サスケ。オレってば、火影のばあちゃんに止められてんだ。今日は外出るなって」
「どういうことだ…変な病気か?ウスラトンカチのくせに」
「ムッキー!それってどーゆーことだってばよサスケェ!」
だんだんと、いつものナルトが見えてきた。俺にまで仮面をかぶってるのか?なぁ、ナルト。
「…ふんっ」
「つーわけで、サスケちゃんはお祭り楽しんで来いってばよ!」
「お前も来い。」
「だーかーら!」
「じゃあ俺は行かない」
「ええー、なんでそうなるんだってばよー。それならさ、それならさ、俺がいけない代わりにお土産買って来いってばよ!」
「買ってきたら、ここに泊まるからな」
「…へ、へぇ?」
「いいな、待ってろ。」
「ちょ、待って、待てってばよサスケェ!!」
窓を開けて夜の街に繰り出そうとした時、異変に気がついた。殺気が至る所から感じ取れる。それも、尋常じゃないレベルの。ナルトはそんなに恨まれるようなことをしていたのか?たしかにアカデミーの時はいたずらが目立っていたが、殺す程とは思えない。
俺も驚きナルトの方をみるとはやくしめろとでもいうようなジェスチャー。意味がわからず窓に背を向けた途端に、俺の横を何かが通り過ぎる。
「なんだこれ、石?」
「だーっ、だからほらはやくしめろって」
そそくさとナルトは窓とカーテンを閉めた。窓が割れなかったことに安心して肩で息をする。それから、俺の方をみてごめんと呟いた。
「…理由は言えないけど、こういうわけでオレってば外行けない。」
ナルトのしょんぼりとした様子をみて、察しないほどバカじゃない。俺が窓の外から離れると安心したような顔をした。
「ナルト、せめて短冊に願い事かけよ。名前は書かなくていいから、笹につけてきてやる。」
「え、いいの?」
「あぁ、祭り楽しめないんじゃな。ってナルト何ないてんだよ?」
「だって、だってだってさ!オレってば、願い事書いたことなくてさ!」
「…一度も?」
「うん。だって一回も里のお祭り行ったことないから。」
ナルトがぱぁっと嬉しそうに笑って喜んでくれて、心なしか嬉しい。って、俺は何を。
一度も、里と祭りに参加したことないって、それにさっきの石…ナルトはたぶん俺に何かを隠している。正直、今はそんなことどうでもいい。
楽しそうに短冊に願いを連ねるナルトを見て少しばかり胸が跳ねる。そうして少し欲が出た。ナルトを、七夕祭りに参加させたい。少しでも雰囲気を味わってもらいたい。
ナルトの存在をバラさないように、七夕の笹まで連れて行く方法を考える。フードでも被らせるかとクローゼットをチラリとみるがパーカーもトレーナーもない。ジャージとTシャツばかりだ。ため息をつく。
そういえば、と自分のカバンを漁った。パーカーをいれていたのを思い出した。こいつ俺より小さいし絶対はいるよな。とナルトに半袖のパーカーを渡した。
「着ろ」
「なんでだってばよ?しかもうちはの紋章がこんなにでかでかとのってるなんてダセ「さっさときろ!」…わかったってばよ。」
訝しげにナルトがパーカーを着るのを見守りつつ窓の外を伺う。殺気はまだあるが、多分顔を隠せば問題ないだろう。
「短冊、かけたか?」
「おうってばよ!で、なんでパーカーなんか」
「いくぞ、願い事飾りに」
「は、はぁっ?!」
口を開けたナルトが止まってる間にフードをかぶせる。しっかりと、顔は隠れてて多分ナルトだとは思わないだろう。そうして、肩を抱き寄せ七夕祭りに湧く夜の街へ足を踏み出した。
「は、はっだめだってサスケ。帰ろってばよ?泊まってもいいから」
「本当は、みたいんじゃねーのか。里の中心で見る天の川。」
「そりゃあ、一度でいいから見てみたいなって…だからってこれは」
「うるさい。大丈夫、誰もお前だってわからねーよ。フードかぶってるんだから。お前は短冊なくさずもっとけ。」
その言葉に安心したのかナルトは喚かずに、俺の隣で走った。うちはの紺パーカーは夜に溶ける。金髪が見えてないから、多分目立ってない。
慣れてきたナルトは俺の顔をみながら、疑問をぶつけてきた。
「なぁ、サスケの願い事はー?」
「…はぁ?」
「だからサスケだって願い事したんだろ?なににしたんだったてばよ?」
「さぁな」
「なっ…さっきまであんなにデレデレなサスケちゃんだったくせにいきなりツンツンかよぉ」
口をとんがらせたナルトが可愛くて、思わずキスをしそうになった。って何を考えてるんだ自分は。
ナルトに元気が戻ってくるとともに俺たちの関係が崩れて行く気がする。普段ならおかしい位密着して、頭が湧いてる。でも、楽しそうな顔をして笹の方を見るナルトをみていると、キスしたいとそういう欲求も、あり得なくないんじゃないか?ってそう思ってしまうのが末期なのかもな。
里の中心に大きな笹。木の葉の願いを受けた笹だ。ナルトはほんとに初見なんだろうな。目を輝かせて見てる。俺らの普通もこいつにとって始めてのことが多いんだろうな、そう考えるといつもの突拍子もない発言もわかる。俺はもっとナルトを理解するべきだった。今は、すこしでも理解出来てたらいい。
騒がしい中心から離れた場所で俺たちは短冊を括りつける。願い事が、叶うとしんじて。
「よっしゃ、これでオッケーだってばよ」
「相変わらず、字きたねぇの。」
願い、届かないんじゃねぇの?と冗談交じりにいうと、ナルトは悲しそうにそうなのか?と言った。
「これじゃだめなのかなぁ…」
「俺のガキの頃も願い叶えてくれたからへーきだろ」
「ほんとか!そっかぁ、そうだよなぁ。」
「…フン。」
フードが脱げかけてたので、ぐいっと頭をこちらに寄せた。思わず顔が赤くなる、やばい、抑えられなくなりそうだ。多分、今ナルトの顔をみたらまともでいられる気がしない。
どきどきと鼓動がうるさくなる。目のやり場がなくてナルトの吊るした短冊を横目にみた。火影になるーとかいう夢だろうなって思って軽い気持ちでみた、でも軽い気持ちでちゃいけないものだったのかもしれない。
『もうひとりにもどりたくない』
それは、ナルトの本音なんだろう。独りだったのか、1人だったのか、俺にはわからない。ただ、何かが原因でナルトが1人なっていたのと。今はもうひとりじゃないのがわかった。
「ナルト…」
「何だってばよサスケ」
「お前の背負った秘密ごと俺が守ってやるから。たとえ何があっても、最後にはお前を守るから。」
「な、おれってばサスケに守ってもらわなくったって!」
「いいから、ほら満天の星空だ。
やっと、見れたじゃねぇか」
秘密。その内容はわからない、ただナルトが苦しそうな顔をしていたから、今はまだそれを知らなくていい。いつか、大人になってそらから知るので十分だ。
「…そ、だな。ありがとサスケ。」
それに、俺はかならずナルトを守る。その誓いのような願いを天の川が聞き入れてくれたと信じて。
不安そうなナルトの顔はもうに合わないから。俺はナルトを抱き寄せて、未来に向けてキスをした。
「何年たっても、毎年七夕はここにこよう。」
「俺はお前を守るから、」
「負の連鎖も、止めてお前を、お前自身を」
「守るから」
その青い瞳に流れ星が落ちる。やっとお前の隣にいれるんだ。
サスナルでたなばったばった!
ナルくんは祭りとか行くと里の人たちにいじめられるからダメだよ!っていう妄想。ううーんサスケくん目線きもーいあ