ああ、
たとえば
貴方がジュリエットで
僕がロミオなら。
僕は、
【君を奪いにきました。】
「…で?」
「なんですか?」
「どうやってここに――あーやっぱいい。やたらリアルにグロテスクな話されたらやだし。」
一つ大きなため息をつくと彼女は水を一口、口に含んで見た目はとても品のある人なのに、令嬢らしからぬやり方で、ぐいっと服のそでで口を拭うと僕をにらみつけてきた。
「じゃあ何が聞きたいんですか?」
わざとらしく聞き返せば、白々しい、と吐き捨てるような声が聞こえたがこの際それは無視しておこう。
「どうして、君がここに来たかってこと。」
君にはなんの利益もないでしょ?と首を傾げる彼女を見て、笑いが込み上げてきた。
「…、なんで笑ってんのさ」
「貴方は何も知らないのですね」
何が、と彼女が言葉を発する前に乱暴にドアを蹴破り入ってきた不粋な輩を、片付けた。
「…っ!」
「貴方には、
貴方が知らないだけで利用価値があるんですよ」
少なくとも僕らには。
「どうです?ここももうすぐ残りの守護者達がやってくれば崩れ落ちる。
――ここには誰もいなくなる」
僕と一緒に来ませんか?
紳士的に手を差し伸べたつもりだったがどうも彼女はお気に召さなかったようでその手はたたかれた。
「どうせ、君だってここの人と同じでまた“消える”」
それならば、
ここで犬死にした方がマシだ、と彼女は言った。
「……もう、いやなの。誰かが消えるのは」
力をこめれば砕けてしまいそうな小さな肩は震えていた。
「たとえばそれが私を傷つけてた人だったとしても、私は、ただ、不変を望んでるのに。人はみんな、消えちゃう」
だからどうせ君も消えちゃうんでしょ?
「では、僕が一生君のそばにいる、と約束したら貴方はついてきてくれるんですね?」
「は――」
ちょっと待って、と彼女が口を開く前担ぎあげ、次の追っ手がくる前に窓から飛び降りた。
「こ、こここ3階…いだっ」
「黙ってないと舌噛みますよ。」
「これが黙ってられるか!だって私、まだYESなんて答えてない!」
「でも貴方の選択肢なんて最初からそれしか用意されてないんですよ。」
「何それ!横暴だよ!」
いつのまにか涙は引っ込んだようで彼女は眉をつりあげて声を荒げていた。
僕はそれが
僕の知る彼女の強がりと重なって見えて、少しだけ笑った。
「…大丈夫です、」
「…何が大丈夫なの」
そんなの決まってるじゃないですか
もう貴方を一人になんてしませんから
たとえば
貴方がジュリエットで
僕がロミオなら。
僕は。
僕は、彼みたいにジュリエットを掴み損ねたりなんか、しない
...END...
あとがき。
骸(+10)だと言い張ってみる。
ヒロインはマフィアがこぞって狙う何か特殊な力を持つ子って設定で、
骸が略奪みたいな?
ヒロインはとにかく人が死ぬのとか見るの嫌いな子。
で、最後に骸が話してる彼女とはヒロインちゃんとそっくりな骸の知り合いで故人とかいうどうでもいい話ありです(笑)“彼女”を助けられなかった骸さんは、“彼女”にそっくりなヒロインを“彼女”に重ねて、今度こそ守る、と誓う話なんですよ。わかりづらくて申し訳ない。
…てかロミジュリってしっかり話知らないんだよね。アバウトになら知ってるけど。
リア王は読んだんだけどロミジュリは途中で飽きました(笑)
そのうち時間あったら再チャレンジしたいです