かわいいね、も
酷く痣が残るくらい噛んじゃうところも
優しいくせにめちゃくちゃにするところも
セックスがうまいねと言った私に
「違うよ、相性がいいんだよ」と返すところも
覚えてしまってるくらいにはうれしかったし


離れようとする私を
寝ぼけてるのに抱き寄せてくれた腕も

今日は余裕あるの?って
時間の無い朝、問う私に
「まだこうしてたいって思った」って
胸に埋めた顔をあげた時も

俺以外はダメだよ、俺のものって
思ってもない独占欲を平気で吐くところも


こうやって文字に起こして並べるくらいには
うれしかったんだよ


いまなにしてるのって聞けたらいいのに
明日ご飯に行こうって誘えたらいいのに

友人でも恋人でもない間柄に名前なんてなくて

恍惚な表情も
情けなく出す声も
熟睡したあなたの寝顔も
全部知ってるのに

どの他人より遠くて脆い関係なのは

あの日
流れに身を任せ委ねた私の煩悩のせいなのか
知る由もないけど

あの短く濃厚な日々が
彼にとってなんてことのない時間だったとしても
ドラマチックに思い起こしてしまうくらい逆上せたこの頭を
冷ますことはまだしたくないんだ


『香水変えた?』

どうでもいいくせに気づいてくれたところも

『ごめんね、なんとか埋め合わせするからね』

拗ねた私の機嫌を困り顔でとってくれるところも
ほんとに私のために時間作ってくれたところも


バレバレなのに
嘘を貫いてくれたところもほんとによかった


また会ってくれる?



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